余りが出る事もある
正月ネタだよ!
正月を終えてみんなで新年を満喫していたのだがここで命の家では問題が起きていた
「・・・おせち・・・残ってしまいましたね・・・」
それは正月で親戚やお得意様に配ったはずのおせちが残ってしまっているという事だった
流石にまた親戚などに配るわけにはいかないのでどうしようかと思っていると
「そうだ!どうせならば好夜様達を呼んで一緒に食べるのはどうでしょうか?」
すると実吉が今から好夜達を呼んで食べてもらうのはどうかと提案する
しかし親戚にすら配らないものを好夜達に食べてもらうのはどうかと命は思っていた
こちらが困っているのならば助けてくれるとは思うのだが作った身としては喜んで食べてもらいたい
だからこそやはりここは呼ばない方向でどうにか消費しようと思った時だった
「ですが・・・既に好夜様は遊びに来ておられますが?」
既に好夜が遊びに来ていたようで命はどうしようと大慌てで残ったおせちを片付けようとしたが
「急に遊びに来て悪かったな!・・・ってそれっておせちか?!」
好夜は台所に来ておりしかも残っていたおせちを見つけてしまったのだ
しかし本人はまるでおせちをずっと見ていなかったように喜んでいる様子だった
「実は今年はおせちを作ってくれなかったからさ〜・・・食べたかったんだよな〜・・・
これって残り物か?!俺も食べても大丈夫なのか?!!」
どうやら本人はおせちを本当に食べたかったようですごい勢いで命に尋ねる
その勢いに命は無言で頷くしか出来ずそれを見て好夜は嬉しそうにおせちを食べた
「うんめぇぇぇえぇ!!やっぱりおせちを食べてこそ正月って感じがするよな〜・・・!」
好夜は本当に美味しそうにおせちを食べており命は安心したような表情を浮かべていた
しかしそれでもまだおせちは残っておりそれで困っているという事を好夜に相談した
「なるほどな〜・・・でも心配する必要なんてないんじゃないか?
これだけ美味しければ家でおせちを食べても美味しいと思えるしあいつらも喜ぶだろ?」
それに対して好夜は実吉の言う通りに他のみんなを呼んで食べてもらうべきだと告げる
それほどまでに命の作ったおせちは美味しいと思ったからこその答えだった
命はその言葉に勇気をもらいやはりみんなを呼んでおせちを食べてもらう事にした
「いや〜・・・正直、私もおせちを食べたかったからありがたかったわ・・・
どこかの誰かの所為で私は食べ損ねたんでね・・・!」
どうやら敬子もおせちを食べていなかったようでその原因である慶太を睨んでいた
肝心の慶太も宿題の所為で食べている余裕はなかったようで今も真っ白に燃え尽きている
「俺は明希音の家から分けてもらったが・・・正直あの量ではな・・・」
一人暮らしの晃平は明希音に分けてもらったらしいのだがあまり量はなく
高校生の男子としては流石に物足りなかったようで今回の誘いを嬉しく思っていた
「私も他の家のおせちがどんな感じなのか気になっていたので嬉しいです」
明希音も命の家がどんなおせちを作っていたのか気になっていたらしく待ちきれないと言う様子だった
「でも珍しいな?前までならこんな風に残る事はなかったんじゃないか?」
確かにきっちりしている命が失敗するのは珍しい事だと誰しもが思っていた
しかし実際には命の方もとある事情でこのような失敗をしてしまったのだ
「じっ実は・・・りょっ旅行でいない家が多くて・・・そっそれで余ちゃって・・・」
どうやら命の話では今年は旅行で島から出ていた方が多かったようで
おせちを配る家が少なくなってしまいこうして余ったそうだ
おまけにそれを伝えるはずの命の祖父が飲み会で潰れてその事を忘れていたらしく
それを知った蓮花さんにこっ酷く怒られたのは言わなくても誰もが分かった事だった
「なんというか・・・今年は例年と比べて随分と事件が多いな・・・」
晃平は今年が始まったばかりなのにそんなに事件が起きていて大丈夫なのか心配する
しかし命はそれ以外の事は大丈夫だったようで問題ないと言う顔をしていた
「それならいいけど・・・あんまり大変そうなら俺らの事も頼れよ?」
それを聞いて安心する好夜だったがそれでも心配な事には変わりないので
命に困ったときはいつでも自分達を頼ってほしいと頭を撫でると命は顔を赤くしながら照れていた
(((完全に二人だけの世界に入ってるんだよな〜・・・まぁいいけど・・・)))
そんな二人の様子を見てほっこりしているとどうやらおせちが出揃ったようだ
「よし!それじゃあいただきます!!」
「ん〜!やっぱり命の作る料理は美味し〜!食べてないけど家のおせちよりも美味しいわ!」
敬子は命の作ったおせちを食べて本当に美味しそうな顔をしていた
家で食べてすらもいないのに自分の家で作ったものよりも美味しいと言ってしまうほど
そして他のみんなもそれに賛同するかのように美味しそうにおせちを食べていた
「はぁ〜・・・やっぱりおせちを食べると正月って感じがするな〜・・・」
久しぶりにおせちを食べたからなのか好夜は満足そうな顔をしていた
「確かに・・・だがあまりそれを感じたくない奴もいるみたいだぞ?」
それを聞いて好夜は一体誰の事なのだろうと思っていると目の前に抜け殻の慶太の姿があった
おそらくは先ほどの正月と言う言葉を聞いて自分の宿題が終わっていない事を思い出してしまったのだろう
しかしこれに関しては自業自得なので誰も悪いと思う必要はなかった
「でも実際におせちって作るとかなりの量になるから作ったりする家は少ないよな?」
確かに好夜の言う通りおせちは作るものが多くどうしても余ってしまう傾向にある
だからこそ家で作らずに買ったり分けてもらったりして自分で作る家が少なくなった
そしてそれは自分の家がそうだったからという思いもあるのだろう
「まぁ作る為の材料も少なくなってきたって言うのもあるだろうからな・・・
こればっかりは時代の流れというしかないかもしれないが・・・寂しいものである」
当たり前だと思っていた事が無くなっていくと事は同じく自分がそれだけ歳を取ったという事
経ってしまった時間を巻き戻す事は出来ないがそれでも変わらないでいてほしいというものもある
しかし時が経つとはそういう事なので変わらないでいてほしいというのはある意味でわがままなのだろう
「だよな〜・・・でもそれが成長するって事なんだよな〜・・・」
それは好夜も分かっており何やらしみじみとしたような表情を浮かべているのだが
「いやあんたらまだ高校生でしょうが・・・しかもまだ一年生・・・」
敬子の言う通りまだ二人は高校生であり成長を感じるにはまだ早すぎる
そこまで早熟する必要はないだろうともう一人の成長しない男を見て思うのだった
「さてと・・・そういえば余っている物といえば忘れてた物があったわね」
するとここで敬子が何かを思い出したようで急いで何かを取りに向かった
「実は福袋を買ったんだけど家族も一緒に行ってたらしくて買いすぎて余ったから
ここで開けてみんなで欲しい物を分けようかなって思ってたのよ」
どうやらこれは家で買い過ぎた福袋らしくそれが余ってしまったので
敬子はここで開けてみんなで欲しい物を分け合おうと思って持ってきたそうだ
「ああ・・・確かに福袋も大量に買ったりして中身が被ったりするから余るよな」
福袋は基本的に同じ物を入れたりする事が多いので被るものが多く残る事が多いのだ
そう言った意味でがある意味で運の要素が強いし残ってしまう可能性も高い
「とりあえず中を開けてみるか」
好夜はとにかく持ってきたのならば福袋を開けて本来の目的を楽しむ事にした
それぞれ福袋をもらって中を開けるとその瞬間に再び事件が起こってしまった
「・・・なんで六人で袋を開けて中身が三種類しかないんだよ・・・」
その事件とは何故か六人で福袋を開けたのに二人ずつの商品が被ってしまったのだ
被ったのか敬子と慶太のペアに明希音と命のペアと好夜と晃平のペアだった
「えっと・・・まずは私達からですけど・・・冬服のコーデですかね?」
まず最初に明希音達が商品を広げて女性用のセーターやスカートを見せる
しかもそれはトータルコーデになっているのでそれが二つあるという状況だ
「・・・次は俺達なんだが・・・これは誰かのいるのか?」
次に晃平と好夜が商品を広げるのだがその中身は何故かアクセサリー系だったのだが
完全に二人とも中身が被っており一つも違うものがなかったのだ
しかもこちらはかっこいい形のアクセサリーなので男子が身に付けるのだろうが
((・・・俺・・・こういうのつけないんだよな〜・・・))
残念ながら当てた本人達はこういうのをつけたりする事はないので確実にワンセットは余るのだ
「・・・まぁどうするかは後で決めるとして・・・最後は私達なんだけど・・・
なんか系統が違いすぎてどんな反応をすればいいのか分からないんだけど・・・」
そして最後に敬子と慶太のペアが当てた商品をみんなに見せる為、床に並べたのだが
何故かその商品達は学生にとって必需品である文具類が並べられた
((((・・・気のせいか・・・何かを暗示しているようにも感じる・・・))))
「とにかくこれをどうやってわけたらいいのかしら・・・
てかそもそもこれ要る?要らないのなら持って帰るけど」
敬子もまさかこんな結果になるとは思っておらずこれらをどうしようか対応に困った
流石の好夜達でも要らないのではないかと思っていたのだが
「私達はこの服を貰いたいと思います!丁度、冬服が欲しかったので」
しかし明希音達は服が欲しくて自分達が当てた商品はもらう事にした
これを見て少しは希望を持てると思った敬子は今度、好夜達の方を見るが
「「「いや・・・流石にこんなジャラジャラしたアクセサリーは要らない・・・」」」
残念ながらアクセサリーの方は持って帰る事になり最後に残ったのは文具なのだが
みんな同意の元でその全ては慶太に渡す事になった
「はぁ?!なんでみんなして無言で俺に全部渡すんだよ?!!」
「「「むしろそれを全部使い切るぐらいに勉強しろ」」」
「・・・あい・・・」
福袋・・・欲しいのもあれば要らないものも入ってる謎
 




