大晦日までにする事
いよいよ一年が終わります
クリスマスを終えて大晦日まで一週間を切った好夜は家で大掃除をしていた
と言うのも旅先から家にお土産などを送っていたのでそれがかなり溜まっていたのだ
それで部屋に入りきらなくなってきたので大掃除も兼ねて整理する事にした
「しかし・・・今更だけどかなり多いな・・・小・中の服は捨てたとして・・・
それでも収まるかどうかギリギリだな・・・」
好夜が買ってきたお土産はそれなりに場所を取るものが多く
着れなくなった服や古くなった物などを捨てたとしても収まるかどうかは微妙なラインだった
とにかくまずは先ほど言った二つを捨てようと袋に入れていく
やはり三年分も溜まっていたのもありかなりの服や古い服は捨てるは捨てる事になったが
お陰様でタンスの中はかなりスペースが出来ておりそこにお土産を詰めていく
しかしやはりと言うべきなのか幾つかの物は余ってしまい捨てるのも勿体無いので
どうすればいいのか考えていると部屋に母親が入ってきた
「随分と片付いた見たいね?それで?そっちの余ってるのは入らなかった物って事?」
母親の質問に対して好夜は素直に答えると一枚の紙を見せつけられた
「それならこのバザーにでも参加して売ってくればいいんじゃない?」
それはバザーを開くというチラシであり出品に関しての申込みが出来るという物だった
確かに母の言う通り捨てるのが勿体無いと思うのならば売ってしまうのが一番いい手だろう
「それじゃあこれに申し込むとするか・・・日付は・・・明日じゃん?!!」
早速、申し込もうとした好夜はチラシを詳しく見るとなんとバザーをやるのは明日だった
それを見て好夜は急いで申込みをしてなんとか場所は取ったが後は売る物の選別をしなくてはならない
(小物系とは別に家に置いていても場所を取らないからいいとして・・・
大きい物に関してはそもそも売れるかどうかすら分からないから・・・
やっぱり売るのはあまり大きくない置物とかがいいかもしれないな)
好夜はお土産として買った置物を並べていきそれを売る事に決めたので
少しでも綺麗に見えるように拭いたりなどしてピカピカに磨き上げる
「よし・・・!とりあえずこれで十分だな!」
一方その頃、命の家でも同じく大掃除が行われていたのだが居るのは命と実吉の二人だけだった
と言うのも命の家族はこの時期になると仕事が忙しくなって帰っている暇がないのだ
だからこそこの大掃除はいつもこの二人が一緒にやる事になっていたのだが
「やはりこれだけ大きいとやりごたえがありますな〜・・・」
命の家は二人だけで掃除するにはあまりにも大きくかなり苦労するのだ
なので本当は好夜達にも手伝いをお願いしようと思ったのだが
みんなも大掃除で忙しいと思い呼びかけるのをやめた
「とっとにかくがっ頑張りましょう・・・!」
命が気合を入れて再び掃除に戻ろうとした時、玄関のインターホンが押された
誰かが来たのだろうと玄関に向かうとそこには敬子と晃平の二人がいた
かなり珍しい組み合わせだったので何をしに来たのだろうと思っていると
「いきなり押しかけて悪かった・・・今、家の水道が壊れて工事中なんだ
それで家に居られなくなって他も大掃除やら年末でやってなくてここしか・・・」
どうやら晃平がここに来たのは家の水道が壊れてその工事で家に居られなくなったからだそうだ
それで命の家の大掃除を手伝う代わりに工事が終わるまでここに居させてもらおうと思ったのだ
「私も同じ感じかな〜・・・家の大掃除はみんなでやってるし
やる事も無くなったからここの手伝いに来ようかな〜って」
敬子も同じく家に居てもやる事が無くなったのでここに来たようだ
しかし命としてはお客さんに手伝ってもらおうわけにはいかないと思っていたのだが
既に二人は命が何かを言う前に家へと上がって既に大掃除を始めていた
「それにしても・・・命の家ってなんか高価そうな物が多いから
捨てるとかそう言った感覚は出ないわよね〜・・・どうしてるの?」
そんな中で敬子は命の家にあるような物に関してはどうやって仕分けしているのかを尋ねる
「そっそれはお祖父ちゃん達がじっ自分達でやるらしいのでわっ私はやってないです」
しかし命もこればかりは手を出すわけにはいかないので自分がやる事はないそうだ
「それじゃあ私達が捨てたりするのも出来ないか」
「そういえば好夜とかも大掃除してるんだっけ?後で様子を見にいく?」
掃除が早く終わりそうな敬子は終わったら好夜の家にでも行こうかと提案するが
命してはもちろん邪魔をしたくないので首を振って拒否する
「それじゃあ聞いてから行くってのはどう?」
それならばと敬子はまず本人に聞いてからいく事にした
そう思って敬子が電話をしようと何故か向こうから電話が掛かってきた
「あんたから電話なんて珍しいわね?何かあったの?」
敬子は一体何があって電話したのかを尋ねてみると
『実は家で出たいらない物をバザーで売ろうと思ったんだけど値段がわかんなくてさ
それでみんなに聞こうと思って・・・てかどこにいるんだ?』
とりあえず売る物を見せたいので好夜はみんながどこにいるのかを聞いてみる事にすると
「晃平と一緒に命の家にいるわよ?これからあんたの家に行こうかって話をしてたんだけど
そういう話なら商品を持ってこっちに来なさい!いいわね」
言うだけ言って敬子は電話を切ってしまい命は本当にいいのか不安に思いながら
二十分ほど待つと好夜がバザーに出す商品を持って命の家に現れた
「お前な・・・流石の俺でもここまで持ってくるのは疲れるんだぞ・・・?!」
息切れしながらも好夜は敬子に文句を言って少し休んだ後、商品を並べた
「・・・お前・・・流石にこの数は多すぎないか?」
晃平の言う通り確かに好夜の持ってきた商品の量は多かった
しかし三年分のお土産というのならばその理由にも納得が出来るだろう
「でも地方限定のお土産とかもあるから値段とか付けられないわよね・・・
おまけに昔の物だから今はもう売られていない可能性とかもあるだろうし」
好夜の持ってきた商品を見ながら敬子はこれに値段を付けるのは厳しいと考える
と言うのも実は本人が買った時はどれほどの値段をしたのか覚えていないのだ
そこから差し引きして売るのがバザーでは当たり前なのだが
それが分からないのではやはり他の人の意見を聞くしかないと考えたわけだ
「そうだな・・・地方限定の物は千円くらいから始めたとして
それ以外の物に関しては最高でも千円以下から始めた方が売れるだろうな」
晃平の言う通り値段をつけるのが難しいのならばそれくらいで考えるのがいいだろう
しかし詳しい値段を決める為にはそれぞれの用途を聞いておく必要がある
その利便性によっては値段を変えなくてはいけないと考えたからだ
「えっと・・・これは普通の置物だけどこれは電池で動いたりもするぜ?」
そう言って好夜は動物の置物を見せるのだが明らかに動いたとしてもいらない物だった
これに関しては安く売るしかないと考えて晃平は別の商品を見ていく
その中で使えそうな物だけを高く売る事に決め値段を考えていく
「う〜ん・・・可愛い物とかに関しては子供とかに買ってもらう為に
予算的には五百円くらいにした方がいいでしょうね」
敬子は動物系の可愛い物は子供でも買える値段に考えて
それ以外は大人が買うかどうかを悩む値段にする事にした
「それじゃあこれで値段は決定にして売れ残ったら値段を低くするか」
これで値段は決まった好夜は商品を持って帰ろうとしたのだが
急に携帯に電話が入り出てみるとどうやら母親からだったようだ
しかも電話に出た好夜の様子が明らかにおかしく文句を言おうとしているのだが
勝手に向こうから言いたい事だけを言われてそのまま切られてしまった
「・・・なんか聞いたらダメそうだけど聞くわ・・・何があったの?」
聞くには嫌な予感がしたが聞かないわけにはいかないので敬子は何があったのか尋ねる
「・・・両親が正月まで旅行に行くって電話があった・・・しかも今日から・・・」
まさかの事態に話を聞いたはずの好夜ですらどうしようという顔をしていた
「今はまだいいとしても年末だよな〜・・・ほとんどのお店や休みになるし
そん時までに冷蔵庫の中も入れておかないといけないし・・・
はぁ・・・なんか急に年末でやる事が増えちゃったじゃんか・・・」
好夜はどうやって年末を過ごせばいいのだろうと頭を悩ませていると
「それならばこの家で過ごしてもらうのはどうでしょうか?」
飲み物を持ってきた実吉がこの家に泊まってもらおうのはどうかと提案する
それを聞いて命は何を提案しているのだと顔を真っ赤にして慌てるが
「因みにですけど理由を聞いてもいいですか?」
好夜は何かちゃんとした理由がありそうだと思って話を続けてもらう
「実は私のその日は息子夫婦のところで過ごそうと思っているので
そうなってしまうとお嬢様が一人になってしまうので好夜様が居ると安心できるのです」
どうやら実吉は自分が家に居なくなってしまい命一人になってしまう事を心配したようだ
好夜もこの時期は命の家族が家に帰らないのを知っていたので
それを言われてしまうとむしろ泊まらない方が悪いのではないかと思っては居るのだが
「・・・流石に年頃の男女が二人になるのはまずいでしょ・・・」
それでも倫理的にそれだけはまずいだろうと好夜が拒否しようとした時だった
「それなら俺と明希音がここに泊まって行こうか?」
なんと晃平と明希音の二人が正月までここで泊まると提案してきた
「実はさっき俺も電話が来てマンション自体も工事をしなくてはいけなくなったらしく
正月まで直らないと言われてしまってな・・・だが男の俺が増えても意味がないから
明希音にも事情を伝えて泊まってもらおうと考えているが・・・それならいいか?」
まさかの味方から裏切られるとは思っていなかった好夜に断るという選択肢はなかった
次回はお泊まりとバザーになります




