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プレゼント選びは面倒でもちゃんと選びましょう

今回は慶太と敬子のお話です

クリスマスパーティーまで一週間を切ったのだが

とある人物だけ未だにプレゼント交換に出す商品を選んでいない男がいた

「ぬぉぉぉおぉぉ!!マジでどうしよぉおぉぉぉ!!」

それは他でもない自分の部屋で頭を抱えながら転がり回る慶太だった

彼は今の今まで宿題の事ばかりに気を取られて

自分の提案したクリスマスパーティーの事をすっかり忘れていたのだ

と言ってもその大量の宿題ですら自分が原因なので自業自得なのだが・・・

とにかくもうクリスマスパーティー当日まで時間がなく

プレゼントをどうしようかと未だに悩んでいる慶太のところに

「・・・やっぱりこんな事だろうと思ってたけど・・・想像通り過ぎて呆れるわ」

どうせこんな事になっているのだろうと心配して敬子が様子を見に来た

敬子はまさかここまで予想通りだとは思っておらず流石に頭を痛めていた

「とにかくここで悩んでも仕方ないしプレゼントを買いに行くわよ!」

そう言って敬子はまず外に出さなければならないと考えていたのだが

どうやら事態は思っていた以上に悪かったようで

「・・・いや・・・プレゼント買う金・・・持ってないんだけど・・・」

その言葉を聞いて思わず敬子が叫んでしまったがそれも仕方ないだろう

宿題でプレゼントを選べていないのだと思っていたが

まさかお金すら持っていないとは思っていなかった

「あんたね・・・自分から発案しておいてなんでプレゼント買う金がないのよ?!」

敬子は正座をさせながらどうしてプレゼントを買う金がないのかを問い詰める

「じっ実はこの前の旅行でお土産とかいっぱい買い過ぎて

 おまけに宿題があるからバイトも入れてなかったし・・・気がついたら財布の中が・・・」

言い訳をしながらも慶太は自らの財布の中身を敬子に見せるのだが

なんとその中に入っていたのは百円玉が五枚だけというなんとも悲しいものだった

「・・・これじゃあプレゼントじゃなくてお菓子買うので精一杯じゃない・・・」



「・・・面目ございません・・・」



(どうする・・・流石に五百円で買えるものなんて少ないだろうし

 かと言って今から手作りじゃ間に合わない・・・私が肩代わりするにしてもな〜・・・)

実は敬子もプレゼントを既に買ってしまいもはや財布の中身はほとんど空だった

なので慶太の分も代金を払う事は出来ずどうやってプレゼントを用意させようか悩んでいると

「・・・そうよ!買えないんだったらアンタの持ってる物をプレゼントにすればいいじゃない!」

敬子はプレゼントを買うのではなく自分の持ち物で渡せばいい事を思いついた

それならば元から持っている物なのでお金は掛からないし時間も必要ない

しかし問題は慶太の持っている物の中にみんなが気にいる物があるかどうかだった

「俺の持ってるもんか〜・・・何かプレゼントできそうなもんとかあったかな〜・・・」

慶太は自分の押し入れを開いて何かプレゼントできないかと漁り始める

その中で色んな物が飛び出してくるのだが敬子からしてみればどれもガラクタだった

(・・・むしろなんでこんな物ばっかり買ってるのか謎だわ・・・

 ひと目見ただけでもういらない物だってわかるけど・・・今はとにかくプレゼント優先!)

今すぐにでも捨てたいという思いに駆られた敬子だったがなんとか我慢して

とにかくみんなに喜んでもらえるようなプレゼントを探していくと

「・・・あれ?・・・これって確か・・・」

色んなガラクタの中に一つだけ敬子にも身に覚えのある物があった

それは昔、慶太が壊してしまって自分が代わりに貸してあげた時計だった

(そうだ・・・確か小学生の時に慶太が動物園で腕時計を失くして

 私が代わりにこれを貸してあげたんだっけ・・・そういえば返してもらってなかったわね)

自分でも忘れてしまっていたその時計を見て敬子は少々呆れていたがそれ以上に気になった事があった

(・・・この時計・・・なんで今もこんなに綺麗なの?)

その腕時計は子供が着ける安物の腕時計で既に壊れていてもおかしくはないのだが

何故か敬子の持っている時計は綺麗なまま今も時を刻み続けていた

そしてもちろん・・・そんな風に綺麗で今も動き続けている理由は一つだけ

(・・・あいつ・・・もしかして定期的に手入れしてくれてたんだ・・・)



「あっ!そういえばそれ返し忘れてた!悪いけどもらっていってくれるか?」

そしてそこで空気を読まないのが慶太であり先ほどまで感動していた敬子に対して

まるで今まで忘れていたかのような言動をし殴られるのはお決まりの事だった

「全く・・・!とにかくプレゼントを探すわよ!!早くしないと時間ないんだから!!」

別に期待していた訳ではないのだがやはりあまりにも察してくれない慶太に怒りながら

とにかく急いでプレゼントを探していくと慶太が何かを見つけたようだ

「これなんていいんじゃないか?!・・・なんであるのか分からないけど・・・」

最後の方は聞かなかった事にしたとして慶太の持ってきたのは雪だるまの形をしたライトだった

確かにこれならば女子に当たっても大丈夫だろうしプレゼントに最適だろう

「アンタにしては十分なチョイスなんじゃないの?それじゃあ後はそれを袋に入れるだけね」

敬子もこれならば文句はないと早く包装しなくちゃと思ったのだが

「・・・先に聞くけど・・・この家に包装紙と買ってあるの?」

ふとここに包装紙があるのかその事実に気がついて敬子はその有無を尋ねると

本人はそんな物がこの家にあるとでも思っているのかという顔をしていた

「はぁ・・・それじゃあ私の家から持ってくるから待ってなさい」

敬子はため息を吐きながら家へと戻って包装紙などを持って帰ってきた

「・・・ちなみに聞けけど自分でやるつもりある?」

作業を始める前に敬子は自分で包装するかどうかを尋ねると

「・・・俺にやらせたらプレゼントごと破壊するかもしれないぞ・・・」

冗談抜きで本当にそうなりかねないので敬子は自分で作業をする事にした

その間に慶太はまだまだ残っている宿題の続きをする事になった

「敬子ちゃん!よかったらこのまま晩御飯一緒しない?」

すると慶太の母親が入ってきて敬子に晩御飯を一緒に食べようと誘う

「あ〜・・・それじゃあお言葉に甘えてもいいですか?」

いつもならばここで断りを入れる敬子なのだが包装の作業も残っているし

何よりも慶太が宿題をサボらないか見張っておく必要があるのだ



「・・・モウ・・・ナニモワカラナイ・・・」

案の定というべきなのか少しして慶太は頭から煙を噴き出して机に倒れた

(やっぱり無理だったみたいね・・・でも真面目にやってるだけマシかな?)

そう思いながら敬子は先ほど終わらせた慶太の宿題を見るのだが

「・・・これ・・・提出したら返されるんじゃないの?」

中身は間違いだらけでおそらく返されるのは目に見えていた

やはりこれは自分が夜まで様子を見るかないと敬子はため息を吐くのだった

そして敬子は包装の作業を終えて慶太の宿題を見る事にした

するとしばらくして慶太の母親が晩御飯が出来たと教えてくれてリビングに向かう

「ごめんね〜ウチの息子が馬鹿で勉強まで教えてもらっちゃって」

慶太の母はわざわざ勉強に付き合ってもらって本当に申し訳ないと謝っており

敬子としては本人の問題なので謝る必要はないと宥める

「そう言ってくれると助かるわ〜・・・なんか生徒会長さんにも勉強見てもらったみたいだし

 今回はもう学校から呼び出されないと思うんだけど〜・・・」

確かに慶太の母の不安通りあくまでも宿題をちゃんとこなしたというだけで

学校生活が今のままならば間違いなくまた学校に呼び出されるのは目に見えていた

そして二人して笑顔でご飯を食べる慶太を見ながら再び深いため息を吐くのだった

「なんか好夜くん達にも迷惑掛けてるみたいだし・・・本当にごめんね〜・・・」

改めて慶太の母は迷惑を掛けたと謝りながらお礼も言う

敬子も先ほどの事があるからなのか今度は素直にその言葉を受け取った

「それにしてもみんなでクリスマスパーティーか〜・・・

 なんかイマドキな感じがしていいわね〜・・・私もお父さんに何かしてもらおうかしら!」

皆がクリスマスにパーティーをする事はもちろん慶太の母も知っており

それが羨ましく思ったのは慶太の父に何かしてもらおうかと画策している様子だった

「あはは・・・まぁこいつが参加出来るかどうか分かりませんけどね?」

すると敬子は衝撃の事実をここで暴露し笑顔で食べていた慶太は喉を詰まらせる



「っはい?!もしかして俺参加できない可能性もあるの?!!」

慶太はどうして発案者である自分が参加できないかもしれないのか問い詰めると

「そんなもん決まってるでしょ・・・宿題が残っているからよ」

その言葉を聞いて慶太は納得すると同時に抗えない事実を突きつけられてショックを受けているようだ

「そんな・・・それじゃあ俺は・・・クリスマスパーティーに参加できないのか・・・!!」

クリスマスパーティー当日までに宿題さえ終わらせればそれでいいはずなのだが

どうやら既に慶太は諦めているようで参加出来ないと勝手に落ち込んでいた

「私だって正直、もうそんなに残ってないだろうと思ってたけど・・・

 アンタのやった宿題を見て半分以上も間違えてるのを知ったら普通に無理よ」

好夜は既に八割方宿題を終わらせていたのだが半分以上も間違えていたのだ

これを先生に提出などしよう物ならどうなるのか目に見えているだろう

だからこそ敬子としては何がなんでも宿題を直させる必要があったのだ

「という訳でも今日からここに泊めさせてもらって一気に終わらせるわよ!」

その言葉を聞いて慶太はこれからパーティー当日まで地獄が始まるのだと思い

やりたくないと言う思いで絶叫しながら部屋に連れていかれるのだった

(・・・正直・・・私一人だけで間に合うとは思えないんだけどね・・・)

そして敬子もまた自分だけで本当に慶太の宿題を終わらせられるのだろうかと不安に思うのだった

次回はいよいよクリスマスパーティー!

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