体育祭近づく
もうそろそろ体育祭が始まります
生徒会に正式に入った二人は早速、放課後の会議に参加していた
「えっと・・・つまり後一ヶ月もないのに
体育祭の種目が決まってないんですか?」
そこで二人は衝撃の事実を聞かされていた
「ああ・・・本当は去年と同じ種目になるはずだったのだが・・・
いつも使っている道具が壊れたりしていてな・・・
修理してもらうにしても時間が掛かると言われて・・・
別の学校から借りられないか頼んだんだが
やはり自分のところでも使うから貸せないらしい・・・
そこで急遽、種目を変更することになったんだ」
どうやらかなり複雑な事になってしまっているらしく
それで急遽、種目を変更する事になってしまったようだ
「けどそれも全然決まらなくてね〜・・・
だから二人にも考えて欲しいと思ったわけ」
そしてそれで煮詰まってしまったから
二人にも何か案を出して欲しいのだと香野が言う
「えっと・・・ちなみにどんな案が出されたんですか?」
好夜はどんな案が出ていたのかを確認することにした
「これが出された案です」
足立が前回までに出された案の表を二人に見せる
「・・・これだけ出ていて一つもダメなんですか?」
そこに書かれていた種目は結構な数があったが
一つも認可されたものはなかった
「これで通らないんだったらさすがに俺達だけで考えるのは無謀ですよ
ここは他の生徒にも助けてもらいましょう」
「他の生徒?」
「・・・つう訳で・・・助けて!!」
好夜が助けを呼んだのは晃平達だった
「いや・・・いきなり呼ばれたから何かと思ったけど・・・
私達が勝手に話し合いに参加していいの?」
敬子は自分達が勝手に参加していいのか不安に思っていると
「大丈夫!すでに先生から許可は取った!!」
どうやら先生にはもう許可をもらっていたらしい
四人はこんな時だけ行動の早い好夜を呆れるような目で見ていた
「しかしな・・・確かに人数が多い方が案は増えるが・・・
この表を見るに認可される為の条件はかなり厳しいんじゃないか?」
晃平は先ほど渡された表を見てさすがにきついのではないかと告げる
「まぁな・・・でもその表はここにいる人達で考えたから正直ネタ切れなんだよ
だからここにはない種目を考えて欲しいって訳」
しかし好夜の言う通りこの表に書かれている
全ての種目は生徒会であげたものなので
正直な話これ以上の案が出てこなくなっていた
だからこそ新しい観点から案を出してもらおうと考えていたのだ
「そういうことならまぁ考えてみるか・・・」
そう言って晃平は表に書かれていない種目はないか考え始める
他の三人も考え始めるが中々良いのは思いつかなかった
「・・・てか騎馬戦が入ってないな?」
すると慶太が表の中に騎馬戦が含まれていないことに気がついた
「!それだ!!」
そしてそれがこの会議の決定案になるとは本人も思っていなかった
「・・・えっと・・・もしかして・・・決まり?」
こうしてようやく代わりの種目が決まり
いよいよ体育祭に向けて本格的に行動し始めた
「そういえば・・・俺達は生徒会の仕事もありますけど・・・
出れる種目ってどうなってるんですか?」
好夜は自分達がどれくらい参加できるのかを確認する
「当日はそこまで制限はないから大抵の種目には参加できる」
どうやらそこまでの制限はないらしく
それなりに参加はできるらしい
「う〜ん・・・そうなるとどの競技に出るか悩むな〜・・・」
好夜はそれを聞いてどの種目に参加しようか悩み始めた
「頼むから手加減してくれよ?お前の運動能力は別格なんだからな」
すると晃平はあまり本気を出さないようにと告げる
「・・・それ・・・お前らもだろ?」
しかしそれは晃平と慶太そして敬子にも言えることだった
この四人はトップクラスの運動能力を誇っており
とてもではないが他の生徒が敵う相手ではなかった
だからと言って出ないわけにもいかないので
四人の出場はかなり制限されることになった
「・・・そこまで制限されるとか・・・俺らはプロ選手か何かか?」
確かに晃平の言う通りここまできたら
もはやプロ選手が野良試合に混ざるようなハンデである
「まぁいいんじゃない?盛り上がってこその体育祭だし」
それに対して敬子はあまり何も思っていないらしく
むしろその方が体育祭が盛り上がると賛成していた
「・・・そんな風に考えられるとかスゲェな・・・」
その反応に慶太は素直に賞賛するのだった
「それじゃあ俺達は自分達の教室に戻って
何の種目に出るか考えるか・・・」
晃平達は何の種目に出るか考えながら教室にへと戻っていた
「そうか・・・忘れてたけどもう一ヶ月ないんだった」
好夜もようやく時間がないことに気づき
自分もどの種目に出るのかを考えないといけないと思っていた
「去年は私達、何に参加したっけ?」
去年、参加していた香野は自分達が何に出たのかを確認する
「確か私は100メートル走と借り物競争でした」
どうやら足立が参加したのはその二つだけだったようだ
「俺は忘れた・・・参加し過ぎて・・・」
会長はかなりの種目に出されたらしく詳しくは覚えてなかった
「私もそんなに覚えてないな〜・・・全く参加しなくて」
逆に香野は参加をしていなかったので
どんな種目があったのかを覚えていなかった
「・・・参加とかしなくていいんですか?」
それを聞いた好夜はせっかくの体育祭なのに
参加しなくてよかったのか聞く
「だって私根っからの文化系よ?
むしろ体育祭に無理に出る方が恥ずかしいでしょ?」
香野の言葉にも一理あった
体育祭は文字通り体育会系が活躍するイベントだ
しかしその一方で文科系は参加するだけで
恥ずかしいイベントになってしまう
そんなのに参加する意味があるだろうか?
「・・・すいません・・・」
「如月謝る必要はない
そいつは単純に動くのが嫌だっただけだ
実際は出た種目で一位を取っている」
それを聞いた瞬間に好夜は先ほどまでの気遣いを返せと思った
「香野もあまり後輩をいじるな」
会長はあまり嘘を吹き込まないようにと香野を注意する
「ごめんごめん!」
しかし香野はあまり悪いとは思っていないようだ
「そういえば命ちゃんは何に参加するの?」
そして話を逸らすかのように命に何の種目に出るのか聞く
「わっ私はかっ借り物競争に出ようと・・・」
あまり運動の得意ではない命は
あまり動かない借り物競争に出るつもりのようだ
「そうなると重要になりそうなのはお題か〜・・・
今年はどんなお題にしてるの?」
香野は今年はどんなお題が出るのかを聞く
「確か去年は物が多かったので今年は人物を優先するそうですよ?」
足立の話では去年は物に対するお題が多くて
クリアできない生徒が続出してしまったので
今回は人物の特徴を優先的に入れることにしたらしい
「そっか〜・・・じゃあそこで足の速い人とペアになるしかないね」
香野の言う通りこの借り物競争はいかに足の速い人物と組みかだった
その為に重要となってくるのはお題だ
もしお題が女子に対するものだったなら足の速い女子と組めばいいが
体型で指定されてしまうと中々にキツイものがあった
「う〜ん・・・なんか今更になって
大丈夫なのか不安になってきたわね・・・」
香野は改めてこの借り物競争は運次第になってしまうと思っていた
だからこそ運動が苦手な命にも可能性はあるのだが・・・
「・・・後でお題を点検したほうがよさそうだな・・・」
会長はちゃんと公平になるように
お題の再確認をすることにしたのだった
そして翌日になりホームルームは種目の参加決めとなった
「う〜ん・・・やっぱり出れる種目が限られてると
やる気なくすな〜・・・」
好夜は種目に制限が出されていたのでどんな種目に出るかで
結構悩んでいた
「そんなに迷うことなのか?
俺はもう決めたぞ」
そんな好夜に何でそんなに迷っているのかと晃平は聞く
「だってさ〜・・・数少ない学校行事だぜ?
どうせなら目一杯楽しみたいじゃん」
好夜は楽しみたいからこそどんな種目に出るか悩んでいたのだ
「・・・とは言ったけどさ・・・」
そして話し合いが終わりどんな風に決まったかというと
「・・・まさかの本命ばっかかよ・・・」
100メートルに騎馬戦そしてリレーをすることになった
おそらく体育祭の中で最も動く種目と言っていいだろう
「目一杯楽しみたいんだろ?よかったな」
もはや晃平の言葉はただの嫌味にしか聞こえてこなかった
しかも何も言ってこそいないがクラスのみんなも好夜に期待していた
なぜなら好夜の出る種目は全て特典が高く
総合優勝を狙うのなら間違いなく勝っておかねばならなかった
「・・・楽しい体育祭だよな?」
好夜は本当に楽しい体育祭になるのかと不安になるのだった
「・・・そっちもそっちで大変だったみたいだな・・・」
帰り道で好夜の話を聞いた慶太は自分も大変だったと話していた
「何が大変だったんだ?」
晃平は何が大変だったのか聞くと
「いや・・・何でかみんなあいつと組ませようとするんだよ・・・」
そう言って慶太が指差したのは命と楽しそうに話している敬子だった
「ああ・・・確かにお前ら息が合ってるからな・・・俺らの中で一番」
それを聞いた好夜は納得してしまっていた
二人は仲こそ悪いがその息はぴったりであり
お互いに何か言わなくても自然に合わせることができるのだ
(まぁ・・・正直それだけじゃない気がするけど・・・)
おそらくそれと同じくらいクラスのみんなは二人をくっつけようとしているのだろう
「おかげ様で二人三脚はあいつと組む羽目になった」
どうやら慶太は結局二人三脚に参加することになったらしい
「そうか〜なら一位はお前らで確定だな〜・・・」
好夜はその種目だけは勝てないと考えていた
「おっ!だったら当日どれだけ一位を取れるか勝負するか?!」
すると慶太は当日に勝負しようと持ちかけてきた
「いいぜ!やってやるよ!!」
「なんで男子はみんな勝負事にしたがるのかしらね〜・・・」
いよいよ体育祭だ!!




