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お菓子造りは作るよりも食べる方が楽しい?!

今回は旅行二日目!

夜が明けて一行は朝食を食べながら今日の予定を確認する

「今日はこのまま和菓子作りだったな?どれくらいで着く場所なんだ?」

会長は命の知っているその和菓子店がどれくらいの場所にあるのか尋ねる

「そっそんなに遠くはないです・・・!バッバスでじゅっ十分くらいの場所にあるって」

どうやらここからかなり近い場所にあるらしくバスで十分で着けるそうだ

「そんな近くにあるって事は観光地のど真ん中って事だな・・・

 命のツテがなかったらその体験出来なかったかもな?」

確かに好夜の言う通りそんな場所にあるのならば

命のツテがなかったらおそらく予約する事すら出来なかっただろう

「おっしゃあ!それじゃあ今日はその人気な和菓子をみんなで作るぞ!!」

盛り上がる慶太だったがおそらく一番の不安要素である事をみんなは言わないのだった

朝食を食べ終わると好夜達は例の和菓子店へと向かっていた

「やはり観光地のど真ん中という事もあり人がかなり多いな」

バス停に着くとそこから既に人が多く人混みに流されそうになった

とりあえずみんなで一列になって歩いて行き目的の和菓子店にたどり着いた

「・・・なんというか・・・命の家並みに歴史がありそうだな・・・」

そこは改装などはされているが元は変わっていないからなのか

何か建物から威厳のようなものが感じられた

正直その建物を前にして好夜達は生唾を飲んだが命だけは慣れているのか普通に入っていった

「あらいらっしゃい命ちゃん!随分と大きくなったわね〜!」

中に入ると和服のとても綺麗なお婆さんがおり命の事を知っている様子だった

「命・・・もしかしてその人が蓮花さんの知り合いなのか?」

好夜はその光景を見て命が離していた蓮花の知り合いは彼女だと気がついたのだ

「はっはい・・・!こっこのお店のてっ店主のおっ奥さんです・・・!!」

どうやらその人はこのお店を営んでいる店主の奥さんらしく

今日はその店主さんが好夜達に和菓子作りを教えてくれるそうだ



「初めまして・・・今日作る和菓子ですが

 皆さんでも作れる簡単なものをご用意したので安心してください」

店主はまるで安心させるように告げるが正直、好夜はそれどころではなかった

(((めちゃくちゃ怖い・・・)))

お店の雰囲気から分かってはいたが店主もまるで昔気質の人間のようで

昔の偉人か何かなのではないかと思うほどの顔立ちをしており流石の好夜達も驚いていた

「ちょっとぉ?!!あの人に教えてもらおうとか俺無理なんだけどぉぉぉぉぉ?!!」

もはや完全に慶太は怯えている様子で今朝の張り切りはどこにいったのだか

とりあえず話を聞きながら和菓子作りを始めるのだが集中力は全くなかった

「やべっ?!なんか変な形になった!!」

そんな中で作っていればもちろん失敗するわけで慶太がその一人目だった

力が入りすぎた故に綺麗な形にしなくてはいけない和菓子が崩れ

なんとも言えない形になってしまい慶太は絶対に怒られると思ったが

「ああ・・・どうやら力が入りすぎたみたいだね・・・あまりもあるし

 今度はおじさんも手伝うからもう一回だけ作ってみようか?」

なんと店主は怒るどころか逆に自分も手伝いもう一つ作ると言ってくれたのだ

それを聞いて驚いていると命がひっそりと好夜に教えてくれた

「てっ店主のおじいさんはかっ顔は怖いですけど

 だっ誰かをりっ理不尽におっ怒ったりしません」

どうやら店主は好夜達が想像していたような人物ではなかったようだ

それからは安心して作業できるようになったのかみんなで黙々と作業を進める

「う〜ん・・・なんか命の作ったのと違って私のは微妙に崩れてない?」

完成はしたのだが敬子は自分の作った和菓子がどうにも崩れているような気がした

それを言われて明希音も見たが崩れているとは言ってもそこまで酷いわけではなく

素人が作ったものならばこれくらいで十分だろうという出来だった

「・・・そんな事を言ったら俺はどうなるんだ?」



「・・・いやまぁ綺麗だけど・・・さすがにその大きさは・・・」

晃平も出来たには出来たのだが明らかに大きさが一回りくらい違っていた

おそらくは彼の手に合わせて作ったからこうなったのだろうが

だとしてもこれを後で食べるのかと思うと何か感じるものがあった

(確かにあれじゃあホールのケーキを半分食べろって言っているもんだからな・・・)

そんな事を思いながら好夜は自分の眼の前にいた会長の出来を見ると

(・・・いや分かってたけどさ・・・やっぱりあんたは機械かよ・・・)

そこには先ほど店主が見本で作ったものと同じものが置かれており

好夜は本当に目の前の人物が機械で出来ていてもおかしくないと思うのだった

「それにしても・・・作ってみて改めて実感するよな〜・・・和菓子も芸術だって」

洋菓子もそうだが和菓子は特に繊細な部分をこだわって作っており

そのちょっとした手間や工夫こそが和菓子を日本の芸術だと言わせている由縁でもあると

作っていて好夜は改めてそれを実感する事になった

「確かに和菓子は昔の人が目で楽しめるように作りましたからね

 そういった意味では和菓子職人も芸術家と評される事もあります

 それに見合うだけの努力と苦悩もね・・・」

店主もそれに関しては同意しており和菓子職人は日本の芸術家でもあると告げる

そしてだからこそとてつもない苦労と努力をしているのだと

「へぇ〜・・・でも作ってみたら確かに苦労はしそうだな〜・・・

 毎回同じものを作れって言われても作れる自信はないわ」

慶太も先ほど失敗したからこそ完璧に同じ物を作る自信はなかった

それどころか日によって本当に違うものが出来るのではないかと思うほど

「もはやその辺は感覚かな〜・・・やっぱり最初は見て作ってそれで覚えてたけど

 この歳になってくるともう体が覚えてしまって考えるよりも先に作っているかな」

しかし和菓子を作り続けている店主はもう既にそれが体に覚え込まされており

今では頭が考えるよりも先に体が動いて勝手に作り出しているらしい



「さて長話も終わりにしてそろそろ出来上がったものを食べましょうか?」

そう言って店主はみんなに各々の出来上がった和菓子を食べさせる

「う〜ん!形は崩れたけど味は美味しい!!」

失敗してしまった慶太も食べれば美味しいと喜んでおり

他のみんなも満足のいく完成度ではなかったがそれでもやはり美味しいと思っていた

「いやまぁ・・・会長は別だと思いますけど・・・」

会長は何を言われているのかさっぱり分からなかったが

好夜はおそらく会長には失敗しても美味しいというものはないのだろうと思っていた

「みなさん!よかったらこれも食べていってくださいね?」

するとそこへ先ほどの奥さんが入ってきてなんと他の和菓子を持ってきてくれたのだ

「ちょっ?!さすがに商品を出すのはダメでしょ?!!」

さすがの好夜も体験で作った物以外を食べるのはダメではないのかと告げるが

「大丈夫!実はこれ今朝作られたんだけど突然先方さんがキャンセルされて

 うちでは既に在庫分はあるからどうしてもこの分だけ余っちゃうのよ

 だからみんなが食べてくれる方がウチとしてはありがたいのよ?」

どうやら先ほど持ってきた和菓子は全てキャンセルで残されてしまったものらしく

途方に暮れていたところに好夜達が体験に来たので食べてもらおうと考えたそうだ

「そうだね・・・これは生菓子だからすぐに腐ってしまうし

 食べてもらった方が作った物としても嬉しいんだよ」

店主にそう言われてしまっては断る理由もないので

好夜達はありがたくそのお菓子をいただく事にした

「う〜ん!やっぱり自分で作るのもいいけどプロのが一番美味しいわよね!」

香野の言う通りやはり専門家が作った物だからこそ違うとわかる味があり

それだけはどうしても体験では得る事の出来ない味だろう

「そうですね・・・今回の体験で和菓子がどれほどのものなのか理解が深まりました」

足立もおかげで和菓子というものに目を向けるいい経験になったと告げる



「ふぅ・・・さすがに食べ過ぎたな・・・」

自分達の作った和菓子だけではなくもらった和菓子まで食べてしまったので

好夜達はお昼前だというのに既にお腹がいっぱいの状況だった

「大丈夫?」

そんな中で最も酷かったのがなんと珍しく晃平だった

彼は自分が作ったみんなとは一回りも違う和菓子を食べただけではなく

食べなくても大丈夫だと言われたもう一つの和菓子も食べていたのだ

おかげで晃平は吐きそうというほどではないが既に口は和菓子のあんこでいっぱいだった

「だからあんなに無理しなくてもいいって言ったのに・・・」

こればかりはいつも優しくしているだけの明希音も苦笑いしており

晃平もいつものような冷静さは全くなかった

「・・・なんだが美里さんに介抱される津城くんって珍しいですね?」

確かに足立の言う通り今見ている光景はとても珍しいものだった

「そうね〜・・・向こうはいつも通りの光景だけど・・・」

香野もそれには同意し逆に向こうはいつも通りだと別の方を見ていた

「あんたね〜・・・いくらお金が掛からないからって遠慮くらいはしなさいよ!」

そこには完全に怒っている敬子とお腹が限界まで膨らんでいる慶太の姿があった

どうやら慶太は先ほどのお菓子がタダだと分かり残さずに平らげたみたいだ

「だってあんなに美味しいの残すなんてもったいないだろ?!

 だから全部食べたんだけど・・・さすがに食い過ぎてしばらく動けない・・・」

まさかの男子二人の暴走に残された好夜と会長も頭を痛めるのだった

「まぁあれだけ和菓子を美味しそうに食べてくれたらこっちとしては満足だけどね?」

しかし店主とその奥さんからして見れば美味しそうに全部食べてくれた二人は

客様の中でも本当に神様みたいな人だと嬉しそうに言ってくれた

「でも・・・やっぱり限度はさすがに覚えないとダメよ?」

そう言われて二人は言い返す事も出来ずただ頷いて返事を返すしかなかった



(・・・菓子で目が眩むのはどうやら女性だけでもないみたいだ・・・)

みんなもお菓子の食べ過ぎに注意!

お菓子を作る人はあまり量の多いのは人に渡さないでね?

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