演劇部の第二幕!
演劇の第二幕です!
あれからしばらく保護者の話し合いが続きそのまま午後になってしまった
つまりは午後の演劇が始まってしまうという事でもあった
「あっあの・・・!みっ皆さんも一緒にがっ楽屋裏にいっ行きませんか?」
すると命が勇気を出してみんなを舞台裏に誘っていた
これには今まで彼女を見てきていた晃平達も驚いていた
しかし必死なのを見たからなのか保護者の人達も一緒についていく事にした
みんなで揃って舞台裏に向かうとそこには完全に屍と成り果てた好夜と慶太の姿があった
「マジで無理・・・本番やる前に・・・死ぬ・・・!」
どうにかアクションシーンを増やしそれを覚える事は出来たのだが
その為に殆どの体力を使ってしまいすぐに始まるであろう本番に迎える気がしなかった
「どうしよう・・・いくら始まってまだ数分ぐらいは出番がないから休めると思うけど
それだけの時間じゃさすがにこの体力は元に戻らないかも・・・」
さすがの足立もこれぐらいでは体力は戻らないと確信してしまったのか
これから始まる演劇をどうしよかと完全に戸惑っている様子だった
「でも時間を引き延ばすわけにもいかないでしょ?どうするの?」
敬子はどうすれば時間を稼げるかと考えるがあまり良い案は浮かばなかった
「それなら私達の演技の時間を少しだけ増やしたらどうかな?」
そこへ他の演劇に出る人達が現れて自分達の演技を増やすのはどうかと尋ねる
確かに足立もそれを考えてはいたのだが正直な話もうすでにかなり詰め込んでいるので
今更、増やすような内容は一つとして存在しないのだ
すると何を思いついたのか香野が急に目を輝かせ始めた
「それなら私にいい考えが一つだけあるわよ!」
そう言って何故か近くにいた命を連れて女性用の更衣室へと向かっていった
「・・・何だろう・・・凄まじく嫌な予感がするんだが・・・」
その光景を見て好夜は何故か背筋に嫌な寒気を感じていた
そして香野が笑顔で帰ってくると何故か扉を開けたまま誰かを呼ぶ
「あっあの・・・こっこれって・・・なっ何ですか・・・?!」
ゆっくりとみんなの元に現れたのは何と黒い洋服を身に纏った命だった
その姿に全員が目を奪われもっとヤバイ人間に関しては写真を撮りまくっていた
もちろんその中には連れてきた香野に好夜の母親の姿まであった
「実はこの劇でみんなの衣装作ってた時に布とかが余っちゃったから
もったいないと思って命ちゃん用の衣装を作ってたんだけど
・・・まさかここまでの威力とは・・・」
何やら恐ろしい子と言わんばかりの顔をしてはいるがその口から涎が止まらない香野
もはやその顔は完全に絵で表現してはいけないモザイクの顔だった
「でも確かに彼女がいる事によって演技の幅を増やす事は出来そうですけど・・・
さすがにどんな役にすればいいのか悩みますね・・・」
足立もこれには可能性を感じてはいたのだが問題はどんなシーンにするかだった
しかし演技の練習も何もしていない命は香野の後ろでずっと慌てていた
すると倒れている好夜がゆっくりと立ち上がって手を挙げる
「そっそれなら俺が一緒に出ます・・・!」
おそらく一人では演技出来ないであろうと判断した好夜は自分が一緒にやろうと考えたのだ
確かにみんなもそれが一番安全だという事は分かっていたのだが
彼を休ませる為に体を張ってくれるのにその本人を出してもいいのか悩んでいた
「動くのはきついかもしれないですけど演技するだけなら問題はないと思うので・・・」
そこまで言われてしまってはさすがに無下にするわけにもいかないので
足立は命も入れて演技の内容を少しだけ変えてみる事にした
「う〜ん・・・大まかな流れしか出来ないからセリフは完全にアドリブなるけど大丈夫?」
必死で足立も脚本を考えたのだがセリフまで考えている余裕はなく
これに関してはそのシーンに出てくる二人に任せるしかなかった
「・・・わっ分かりました・・・!がっ頑張ります・・・!」
それに対して命は食い気味に返事をしてみんなを安心させようとしていた
こうしていよいよ演劇の第二幕が始まった
『あれから二人は色々と話し合いまずはこの国を出る事になりました
その為には港に向かう必要があるのですがもちろん城からの刺客は迫っていました』
ナレーションが終わり場面が変わるとそこはとある部屋に変わっていた
そこには会長の演じる東方の旅人と姫様が向かい合って座っていた
「・・・やはり城からの刺客があるとしたら港で間違いないでしょうね・・・」
姫様はもしもまた先ほどのような刺客が現れるのならば港で間違いないと考えていた
「ええ・・・おそらくは今まで以上の人数を集めるのも間違いないと思います・・・
隠れてやり過ごすのは不可能と考えるべきでしょう・・・」
会長もまたこの港で刺客をやり過ごすのは無理だと考えていたが
やはり数が多くては彼らから姫様だけを守り抜く自信はなかった
「なら・・・警備の薄い場所を狙って船に乗り込むしかないわね・・・」
姫様の作戦では警備が薄い場所を狙って船を奪うしかないと考えていた
二人の会話が終わるとまた場面は変わり今度はかなり豪華な部屋へと変わっていた
そこには明らかに悪そうな男と好夜の姿があった
「わかっているとは思うが・・・あの姫様が国の外に逃げれば跡継ぎの話がなくなる・・・
絶対に生きてここまで連れてこい・・・いいな・・・?」
おそらく悪そうな男は姫様と結婚するはずだった領主なのだろう
そして領主は椅子に座っている好夜に必ず姫を連れてくるように告げる
「・・・わかっていますよ・・・
俺らみたいな奴は金さえもらえるのならなんでもしますからね・・・
それに・・・東方から来たその男には興味がありますしね・・・」
好夜は依頼とは関係なく東方から来ていた男を見て戦いと思っていた
「それと・・・この事はちゃんと極秘で頼むぞ?
もしも王にバレれば間違いなく死刑だからな・・・
まぁ・・・その王も邪魔だからいずれ暗殺するがな・・・!」
領主の男が出て行くと別の扉から命が演じる少女が入ってきた
「・・・お前か・・・いくら調子がいいからといって無茶をするものではないぞ?」
好夜は命が演じる少女の事をかなり大切に思っている様子だった
しかし少女の方はどうやら先ほどの会話を聞いて胸を痛めていた
「・・・どっどうしてこっこのような事を・・・!」
命は何故こんな酷い事をしているのかを問う
それに対して好夜は椅子から立ち上がりゆっくりと命の方へと向かっていく
「・・・決まっている・・・金の為だ・・・
これはたとえお前に言われてもやめる事はない・・・」
好夜は素直に金の為だと告げるが何やらそこには一筋縄ではいかない理由がありそうだ
「さぁ・・・お前も自分の部屋で休むといい・・・
昨日のように体調を崩してもすぐに医者は来てくれないんだしな・・・」
そう言って好夜は命を連れて部屋から出て行き幕が降りてきた
今の内に急いで大道具などを変えて港に背景を変更しそこに会長と姫様が一緒にいた
「・・・どうやらここが一番、警備が薄いみたいね・・・ここから一気に船まで行くわよ!」
会長と姫様は一気に出て行って港を徘徊していた刺客を倒して船へと向かっていく
まさしく殺陣というに相応しいアクションをしておりエキストラの人達もさすがだった
そこへ好夜と慶太が二人の前に立ち塞がった
「またお主か・・・もう一回、某に倒されたいと見えるが・・・
隣の御仁を見るにそう言ったわけでもないようだな・・・」
会長は慶太の方ではなく好夜の方がとても危険だと感じている様子だった
「ああ・・・俺もあんたと戦ってみたいと思ってな・・・
こうして直接対面するのは初めてだが・・・
なるほどな・・・直に見るとその強さが見て取れる・・・」
好夜は直接、見た事に対して余計にその男の強さのようなものが見えてきた気がした
「・・・お主も某が戦った者の中で一番の強者と見た・・・その目に宿る炎を見て・・・!」
「では・・・戦うとしよう・・・己の矜持を賭けてな・・・!」
すでに両者は戦うつもりでいたがそこに待ったをかける存在がいた
「兄貴!ここは俺にリベンジさせてくれ!頼む!!」
それは慶太でありどうやら前に負けたリベンジをしたかったらしい
そして自分の背中にある二本の剣を抜いて構える
「・・・わかった・・・しばらくはお前に任せてやる・・・」
せっかくやる気になったのに少しだけ冷めてしまったようで好夜は槍を収めた
「・・・お主が相手なのは少し不服だが・・・まぁ前座としては十分と言えるだろう・・・!」
会長は刀を抜いて慶太の方に構える
「その言葉・・・後悔させてやる!!」
慶太は凄まじい勢いで突っ込んでいき会長に切り掛かっていく
しかし会長は慶太の振り回す剣を簡単に捌いていき全く無傷だった
「なるほど・・・確かに前回に比べたら本気のようだが・・・
もはやお主の剣はすでに見切っている・・・!」
会長は簡単に慶太の剣を真っ二つに折り峰打ちで本人を倒した
「・・・やっぱりダメだったか・・・まぁいい・・・これで戦えるしな」
好夜は会長に向かって槍を構える
会長も先ほどのようにむやみに切り掛かったりはしなかった
同じく好夜もしばらく睨み合っていたがお互いに意を決したように突っ込んでいく
そして互いに凄まじい攻防を繰り広げる
そこには誰も立ち入る事は許されないまさしく二人だけの世界だった
「やはり強いな・・・!お前のような男と戦えるのを俺は待っていた・・・!」
好夜は会長ほどの強者と戦える事、喜んでいる様子だった
「某もだ・・・!だが・・・勝者はたった一人だけだ・・・!」
両者はお互いに距離を取り力を込めて一気に斬りかかる
そして・・・槍が粉々に切り裂かれ倒れたのは好夜だった
正直収まらなかったのでまだ続きます・・・




