生徒会の仕事
今回は生徒会のメンバー紹介です
放課後になり二人は言われた通り
生徒会の見学をする為に生徒会室に向かっていた
「・・・やっぱりわからない・・・なんで俺もなんだ?」
その最中に好夜はなんで自分まで呼ばれたのかを考えていたが
その理由が全くと言っていいほど思いつかなかった
「もっもしかしたら部長が何か言ったのかも・・・」
すると命は会計をしている先輩が何か言ったのではないかと考えていた
「確かにその可能性もあるが・・・それだけで生徒会に誘われるか?」
しかしそれには少しだけ無理があるような気がした
確かに好夜の事を知っているの生徒会ではあの人だけだが
会長の性格を考えれば知らない人間をいきなり招待するようには思えない
つまりは彼自身が何らかの形で好夜を知っているということだ
「でもマジで見たことないんだよな〜・・・
部活でも後ろ姿だけだったし・・・」
しかし好夜の記憶の中には彼の事を知らず
向こうだけ知っているのが気がかりだった
「まぁ・・・言ってみれば分かるか・・・」
とりあえずその疑問はついてから直接本人に聞くことにして
生徒会室に急いで向かうことにした
「・・・ここか・・・」
生徒会室の前に着いた二人は大きく深呼吸をし扉をノックした
『はぁ〜!悪いんだけど勝手に入ってきて〜!!』
すると扉の奥から会計の人の声が聞こえてきて
勝手に入ってくるように指示する
「「?」」
二人はなんで迎えてくれないのか疑問に思うが
その理由は扉を開けてすぐに理解した
「悪いがそっちの書類を取ってくれないか?」
「はい!体育祭の種目って決まったの?」
「まだです!10種目以上あるので絞り込まないと!!」
「「・・・・・」」
二人はその光景を見て思わず唖然としてしまった
確かに生徒会は忙しい仕事ではあるが
問題はそこではなかった
役員が三人しかいないでのみんなで仕事を分散してやることができず
いろんな行事が重なっているこの時期はとても慌しかった
彼らはそれぞれがすごい勢いでその仕事をこなして行き
机の上にはその書類とまだ終わっていない書類の山で埋め尽くされていた
「・・・これは見学なんて場合じゃないんじゃないか?」
来て早々帰らなくてはいけないのではないかと好夜が思っていると
「二人とも〜!よく来てくれました〜!今すぐに手伝って〜!!」
どうやら誘ってきた張本人が先に参ってしまいこっちに泣きついてきた
「ん?その二人がお前が勧誘してきた後輩か?」
すると会長もようやくこちらに気がついて
見学をしに来た人なのかと二人を歓迎する
「見ての通り、今は仕事で手が離せなくてね・・・
すまないがそこに座ってしばらく生徒会の仕事を見ていてくれ」
しかしあまりに仕事の忙しい会長は好夜達に構っている時間はなく
仕事がひと段落するまで席に座って待っているように伝える
「・・・本当に大丈夫なんですか?
さすがにこんな量が終わるとは思えないんですけど・・・」
好夜は本当にこんな量の書類がすぐに終わるのかと不安に思っていると
「ぶっちゃけキツいのよね〜・・・確かに仁は超人みたいな人だけど
結局は一人だから働ける時間も限られてくるし 私も正直疲れてきたしね〜・・・」
どうやら本当に終わるかどうかわからない状況らしく
どうしたものかと会計の人が悩んでいると
「わっ私もお手伝いします!」
「俺も手伝いますよ」
見かねた二人が生徒会の仕事を手伝うことにした
「いいの?ごめんね〜本当は見学だけのつもりだったんだけど」
会計の人は申し訳なさそうにしながら
二人に何枚かの書類を渡し仕事を任せた
「任せてください」
書類を受け取った二人はそのまま仕事に取りかかった
そのおかげでみるみる内に書類の山が片付いて行き
夕方くらいになってようやく仕事が終わった
「はぁ〜・・・さすがに疲れた〜・・・」
仕事の終わった三人は椅子に凭れ掛かりぐったりとしていた
「それじゃあ俺はこのまま書類を職員室に持って行く」
すると会長は終わった書類を職員室に届けると言って生徒会室を後にした
「・・・マジで超人ですね・・・」
その姿を見て好夜は先ほどまで自分と同じ仕事をこなしていたとは到底思えず
まさしく超人だと思っていた
「でもほんとうに二人が手伝ってくれて助かったよ!
改めて生徒会の会計をしている香野 公香です
よろしくね?」
香野先輩は改めて自己紹介と感謝を二人にした
「同じく生徒会の会計をしている足立 久実です」
そしてもう一人いた仕事のできそうな先輩は足立というらしい
「新入生の如月 好夜です」
好夜は自分も自己紹介をする
「あっ朝宮 命でしゅ」
それを見習って命も挨拶をするが最後の部分で噛んでしまった
恥ずかしそうに命は顔を赤くして俯くが
(((・・・かわいい・・・)))
逆に三人はまるで小動物を見つかのように和まされた
「・・・こんなにいつも忙しいんですか?」
好夜は生徒会の仕事は毎日ハードなのかと確認する
「そんなこともないよ?
今日はもう直ぐ体育祭だし他のイベントも重なっているから忙しかっただけ
いつもは部活を兼任できるくらいの余裕はあるから大丈夫」
(いや・・・それは逆を言えばイベントのある時は
毎回これだけ忙しいってことじゃん・・・)
しかし好夜はその話を聞いてあまり大丈夫ではないと思っていた
「それにしても随分優秀な人達のようですね
おかげで助かりましたし生徒会に入るには十分だと思いますよ?」
すると足立先輩が二人に生徒会に入るのかどうかを聞く
「そんな簡単には決められないですよ・・・
おまけに俺は部活の大会とかもありますし・・・」
さすがにそんな急には決められないと好夜は答えを先延ばしにした
「そうか〜・・・二人が入ってくれれば心強いんだけどな〜・・・」
香野先輩も二人には入って欲しいと思っていたらしく
とても寂しそうにしていた
「だからこその見学じゃないですか・・・
しばらくいろいろ見せてもらってから決めますよ」
好夜は生徒会の見学をしてそれから入るか決めると告げる
「まぁ普通はそうだよね
とは言っても今日はもう遅いし・・・」
「見学をしてもらうとしたら明日だな」
「あれ?もう終わったの?」
書類を渡しに向かった会長が帰ってきて
香野はもう終わったのかと驚いていた
「その驚きは先生達も同じだった
おかげ様で明日はそんなに用事もなくなったし
見学をしてもらうとしたら明日だ」
先生達もこんなに早くあの書類が片付くとは思っておらず
だいぶ驚愕していたようだ
しかしそのおかげで明日はそこまで急ぎの仕事が入らない限りは暇らしく
二人の生徒会見学は明日行われることになった
「それじゃあ今日は帰るとしますか!二人も一緒に帰ろう!」
香野先輩はみんなで一緒に帰ろうと誘ってくれて
好夜達は生徒会のメンバーと帰ることになった
(・・・気まずい!!)
しかしその帰り道はあまりにも地獄だった
なぜなら二人がまともに知っているのは香野先輩だけなのだ
なので自然に会話の間を担うのは香野先輩なのだが
肝心の人はずっと命と話し込んでいた
おかげで好夜は全く接点のない二人と
一緒に歩くことになってしまっていた
どうやって話せばいいのか考えながら歩いていると
「・・・そういえばお前は俺と一緒に部活だったな?」
珍しく会長の方から好夜に対して話掛けてきた
「えっ?はい!そうです」
あまりに突然の事で思わず好夜はキョトンとしてしまうが
返事はちゃんとできていた
「どうだ?みんなはちゃんとやっているか?」
どうやら会長はあまり顔を出せない部活の心配をしており
どんな感じなのか好夜に確認する
「みんなちゃんとやってますよ?
それに部長を尊敬している後輩もたくさんいますしね」
しかしそんな心配がいらないくらい真面目に練習に取り込んでいた
その中でちゃんと会長を尊敬している後輩も少なくない
「そうか・・・今度行った時にはちゃんと労ってやらないとな・・・」
それを聞いた会長は今度部活に行けたらみんなを労うことにした
(・・・意外と普通の人なんだな・・・)
その姿を見て好夜は先ほどとはまるで別人だと思っていた
彼は超人と呼ばれてはいるが
決して冷酷なわけではなくむしろ情に熱い人間なのだと理解した
「・・・結構話が進んでるみたいね・・・」
それをこっそり後ろで見ていた香野先輩はとても嬉しそうにしていた
「どっどうして好夜くんを生徒会に誘ったんですか?」
すると命が今朝、好夜が疑問に思っていた疑問を聞いてみた
「実は入学式の日に仁が二人の事を見てたのよ
それでもしかしたら波長が合うんじゃないかと思ってね」
どうやらその理由は会長にあったようだ
入学式の日に遅刻をしてきた好夜達を会長は偶然目撃していたらしく
それを見て香野先輩は二人ならきっと気に入ってくれると誘ったようだ
「実際に私の狙いは当たってたみたいだしね?」
そう言って香野先輩は笑顔で歩いていく
その姿を見て関係のない命も嬉しくなったのだった
意外と気の合った仁と好夜
果たして二人は生徒会に入ることになるのか?




