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人類レヴォリューション  作者: p-man
アナナキ世界
95/109

2


「やっほー!ってなにそれ!?」


僕の掌には巨大な団扇の形をした気魄が顕現していた。


「刀」


「ほう、ムネリンがそういうのなら、私の認識が間違えているのだろう」


信用という罵声。


「うぇーん。出来ないんだよぉ」


「か、か!かわゆい?!このムネリン見れるなら一生出来なくていい!」


こっちは必死なのに!!


僕はバータルを対面に置き、フルパワー気魄弾使用の為、気絶していた知里ちゃんが全快するくらいの時間をかけてもなお!

刀どころか、棒状にも気魄の形状を変えられていない体たらく!

飽きちゃったバータルは、対面で腹筋、腕立て伏せ、スクワットをもう何時間続けているのだろう。


「はぁ、なんで無意識の時はハンマーなんて作れたんだろう」


手に持った異形のモノを体内に吸収し、肩を落とす僕。


「そういうものだよ。往々にして」


「人をフィクションな世界のキャラ扱いしないで?」


「師匠、ちょっといいですか?」


今まで黙って知里ちゃんの横にいたディミトリーが、申し訳なさそうな顔で挙手した。


「はい、ディミトリーくんどうぞ」


「こうすれば?」


はいでたー。

一番やる気失せるやつ。


ディミトリーの手には、複雑な模様まで胴体にあしらわれたハルバードが握り締められている。


「破門だてめえ」


「うぇ!!!?嘘です!!これ嘘!」


嘘な訳あるかい!

ゴリゴリのハルバード横に立てて、弁慶スタイルで堂々と向き合っとるやないかい!


「そういうものだよ。往々にして」


知里ちゃんとディミトリーの間に立ててあるハルバード。

そのハルバードを知里ちゃんは下から舐めるようにして見て感心したように呟いている。


「おお!なんだそれ!カッチョいいな!」


やっとドMの境地から戻って来なさったバータルが、ディミトリーのハルバードを見て僕の隣に並んだ。


汗ひとつかいてないのはなんで?


「し、師匠!!破門はいや!破門はいや!」


「わかったわかった。冗談だよ。にしてもなんでそんなすげーの作れんの?」


「部屋で暇な時気魄をボールにして遊んでたら、あれ?これ僕も師匠みたいに武器作ったり出来るんじゃない?って」


発想とはいつの日も突飛。

エウレーカ。


「どうやってやってるの?」


気魄ゆえに赤一色ではあるが、模様なんかも凝っててカッチョいい。

相当難しそうだ。


「気魄弾を作る感じです。気魄弾って一回出来てしまえば次からは勝手に思い描くだけで作れるじゃないですか。アレみたいにこの武器も部屋で一人黙々と作ってたら完成して、次からは勝手に保存されてたみたいに同じのが出てきます」


ほうほう。

そんなことできんのか。

ってことは僕が作ったっていうハンマーも作れるのでは?


「なるほどね。怒震の時は記憶に無いから作れないんじゃない?」


先読みで潰されたよ僕の希望。


「じゃあ黙々と僕も元になる形を作らなきゃダメってことか」


「よし!これ作ろう!ムネノリ!これカッチョいい!」


「いや槍もそんな変わんないぞ?刃が付いてるか付いてないかだ」


このカッチョいいハルバードなる武器。

太い棒に槍のような穂が付いていて、その下に斧刃が付いている、突いて良し斬って良しの優れもの。


だが!

僕の大和魂が不粋だと言ってる!

槍は槍!斧は斧である!


「ねえねえ。これみんなに教えてあげたら?あの怒震の時も思ったけど、凄い強度だし、衝突の時も気魄なだけあって、爆発したみたいな衝撃だったよ?各々作れるに越したことはないだろうし」


一理あるどころかその通りである。


「ディミトリー!これみんなに教えてこい!」


「うぇ!?僕がですか?」


「あたり前田のクラッカー。今んとこお前しか作れないんだ。イヴァンとかそれこそデイジーとか喜ぶんじゃねぇか?」


イヴァンは遠距離を攻撃する手段を考えてたし、デイジーのレイピアもアナナキ最先端技術の結晶とは言え、折れないとは限らない。

自分で作れれば、破損した時も換えが効く。


「わかりました!ふよちゃんと一緒にみんな集めて教えて来ます!」


恥ずかしさと嬉しさが混じったような顔で、ハルバード片手に駆け出していった。


「知里ちゃんやバータルは?武器作んないの?」


「あー、俺は盾なら欲しいかな。攻撃的な奴はムネノリに任せる。俺の出る幕じゃねえ」


ほんと惚れそうなんだけど。


「私もそんなに惹かれないやも。むしろ武器が耐えれるかって話?」


ほんと惚れ直しそうなんだけど。


「でもでも、信玄好きな私的に!軍配とかは良いよね!ロマンだよね!」


「んぁ?なんだその軍配って」


「あー説明難しいなぁ」


「バータル。お前相撲好きだろ?」


あの華麗な四股。

相撲好きじゃないわけない。


「好きだぞ!!モンゴルではブフの大会にも出てたし、一時期は日本に行って力士になりたかったぐらいだ!」


「マジで!?すげえ!っと、それは置いといて、その相撲の審判してる人わかる?」


「行司か?」


なんだこいつ。

ガチ相撲好きモンゴル人だな。


「そう、その行司さんが持ってるあの団扇みたいな奴だよ」


「おー!!あれか!!あの黒いやつ!!」


黒オンリーなのかは知らんが、わかったようでなにより。


「でも知里ちゃん。アレ持ってなにすんの?」


「指揮したり!防御したり!」


この子完全に上杉謙信と武田信玄の一騎打ち想像してんな?

謙信の放った騎馬からの一振りを、信玄が軍配で防ぐ一幕。

ロマンと言われればわからんでもない。


「うわ!想像が膨らんできた!欲しい!欲しすぎる!むしろそれは気魄じゃなくてアナナキ達に作ってもらう!」


「え?作ってもらうの!?」


「うん!デザイン重視!だって機能性皆無じゃん!」


そうですね。

仰る通り。


その後、僕は草っ原に胡座をかいて、ああでもないこうでもないを繰り返し、まずは刀を作ることにした。

バータルと知里ちゃんは、バータルのお願いにより、気魄でのバリアの習得を教えてもらうことになり、僕の近くで2人して殴り合い始めてた。

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