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人類レヴォリューション  作者: p-man
アナナキ世界
94/109

休息


どえらい試合だった。

死人が出てもなんらおかしくないまさに死闘。

アナナキ達もいつ戦闘不能の判断をするのか、困っている様子だった。

特に、バータルとも話していたがカメンガくんの実力は半端じゃない。

バータルの目が爛々と輝いているところを見ると、もう一度対戦したいのだろう。

あの根性。あの気迫。

そしてなにより、打撃がエゲツない。


朱さんもやはりかなりの格闘技術だ。

イザベルの機転で、ジョージさんの援護に回ったのは正解でしかない。

あのままだったら、ジョージさんは確実に戦闘不能になってた。


そしてなんだ?

なんなんだ?

あのマイスイートハニーは。

見ていた誰もが思った事。

前より強くなってない?

僕達第一隊の時、本気って言ってたよね?

上回ってるから!!

どう考えても、それよりふた周りくらい強くなってるから!!

どんどん突き放されている気がする。


でも一番驚いたのは、なんといってもディミトリーだ。

あんなに強く、逞しいディミトリーは初めて見た。

我武者羅に勝利に拘り、仲間を信じて戦う姿は、僕の方が教わる事だらけだった。

知里ちゃんとの最後の戦い。

こっちが妬けてしまうくらいにカッコよかった。


くそー!

みんなつえー。


デイジーも格段に腕を上げていってるし、アナさんに至っては一番油断ならない。

知里ちゃんとデイジーばかりに目が向いてしまうが、実力ではアナさんもその二人に見劣りしない強さがある。

ジョージさんのあのすげーカッコいい気魄弾もだし、イザベルは冷静沈着で完璧な状況判断。

まさに一発逆転の暗殺術。


ウカウカしてたら、本当にヤバい。

むしろ既にヤバい。


「おいおい、こりゃやべーな」


一緒にいたイヴァンも、軽口一つ叩かず固唾を飲んで戦況を食い入るように見ていた。


「チサトだけじゃねぇ。各々が確実に成長してる。しかも超スピードで」


「本当っすね。第一隊、存亡の危機」


「がっはっは!いや、笑えねえか」


「カメンガのアレは俺でも大ダメージだ。そりゃそうだよな。世界を相手に戦ってた18歳だ。努力する才能が無いわけない」


各々がこの第二隊、第三隊の戦闘で不安と焦りを感じていた。


「俺らも我武者羅に訓練ってだけじゃダメだな。各々の長所を伸ばす。これが成長のキッカケだ」


丸く円になってのミーティング。


「長所っていうと?」


「バータルは堅守。気魄のガード。さっきの戦闘でも散見されたあのバリアみたいな奴。あれを教えてもらえ!もう恥も外聞もねーぞ。俺たちは負けられないんだ」


「おう!チサトのあの他人すら守る防御。あれは俺も気になった!なんとか教えてもらってモノにする!」


「ムネは攻撃だ。気魄弾攻撃はお前の最大の長所。なんてったって無尽蔵だ。格闘も朱に近いくらいは出来るようになってる。だが、オールマイティ過ぎる。何か、そうだ!武器だ!お前武器を使え!」


「あっ!武器!体術を伸ばすのに専念し過ぎてて忘れてた。わかりました!すぐに取り入れます!」


「ブラッドはー、一番悩むな。気魄弾攻撃は十八番中の十八番だし。格闘つっても接近戦は熟練の域だしなぁ」


「がっはっは!えらく褒めるじゃねぇか。気魄弾攻撃でも、ジョージみたいなバリエーションがあるんだ。そこを突き詰める。実際あれ見てて嫉妬したくらいだ!まだまだおっさんでも伸びしろ見せてやるぞぉ」


いつも快活なブラッドも、その目はやる気に満ちて少し怖いくらいになっている。


「そして俺。俺もムネ同様だ。何か突出したもんがある訳じゃねえ。むしろムネの下位互換だ。なにか、なにかねえかなぁ」


腕を組んで首を傾げるイヴァン。

この人は歳下相手でも、自分の客観的評価を絶対に高く見積もらないし、低くも見積もらない。

ここで僕が、そんな事ないですよなんて馬鹿みたいなことは言えない。


「遠距離攻撃は?」


「ん?バータル。って言うと?どういう?」


「勿論、隊同士でも負けられねえ。だが、本番はクリーチャーだ。そうなった時、遠く離れた位置にいる奴にでも的確に命中させる。スナイパーみたいな攻撃はどうだ?」


「おお!いいなそれ!後衛にはもってこいだしな!なんだお前、脳味噌筋肉かと思ってたら意外と賢いな!」


ウレウレとバータルの頭を撫でるイヴァン。

屈強&屈強のじゃれ合いほど暑苦しいものはない。


「おし!なら俺もチサトやジョージに教えを乞うてこようかな!チサトのあの尋常じゃない威力と速さの気魄弾に、ジョージの大小様々な気魄弾。ダンディーズの成長を心待ちにしておけ!コゾーズ」


誰がコゾーズだ。

ドラえもんのトートバッグもらった事ねえわ!



そして第一隊も新たに見つかった目標に向けて各々の訓練に入った。


僕は目下、自分に合った武器の選択。

武器と聞いて、すぐに思い浮かんだのは、あの僕が殺戮マシーン化したときに出現させたというハンマー。

気魄で作ったとか言ってたが、まったく素面ではつくり方すらわからない。


しかも、何故にハンマー?

知里ちゃんの個性的なネーミングセンスにより、怒震などという名前を付けられてたな。

超絶使いたくない。


あと考えられるのはやはり、日本人で武器といえば刀。

その方向で考えるならば、武器は一つとは限らない。

武士といえば刀!

ではあるが、実際は多種多様な武器を扱えてこその武士だと聞く。


そして我が立花家。

全くもって武芸の嗜みなど無いが、母さんから小さい頃聞かされていた、僕の名前の由来となる武士、日ノ本一の勇将、立花宗茂のお話。


弓の名手であり、刀も槍も無双を誇る。

余談ではあるが、我が立花家家訓。

男は世に出て名を残す!

立花の女が家を守る!も、その柳川藩主、立花家にあやかったものらしい。


この宗茂さん。

元々は立花さんではなく、うちの父さん同様婿養子。

娘しかいなかった立花道雪が家督を継がせる為に婿養子として立花(その時は戸次家)に迎え入れたらしい。

しかしその婿養子を迎える前に既に家督を継いでいた娘の誾千代さん。

これまた勝気な性格で、いや家督私が継いだし、コイツいらねーんだけど、とツンケンして、夫婦仲は最悪。

結果別居して子が出来ず、その道雪の血は途絶える事となる。というのが通説。


故にうちの立花家は、その夫婦とは直接関係はない。

が、福岡出身であり、柳川生まれの一人っ子な母はえらくこの誾千代さんに共感し、色んな史実を研究。

その母曰く信憑性の度合いはわからんが、この誾千代さん、実は戦国一のツンデレ女子。


あの時代、側室をもうけるのは当たり前にも関わらず、側室とイチャイチャするなら私実家帰る!って言って立花山城から本当に柳川に帰っちゃう強者。

強者ついでに実際の武勇も凄く、加藤清正ですら、誾千代さんがいる柳川は通らんとこ?あそこ通ったら袋叩きあいまっせ!と進軍中のみんなに進言したり、秀吉さんにおみゃーさんちょっとわしの部屋おいでーな!と手込めにされそうなのを察して、侍女に鉄砲を持たせ、自分も甲冑を着て秀吉さんの部屋に行くマジパネェ姉さん。


そんな勝気な姉さん。

実際には宗茂を愛しており、宗茂出征時には自分自身愛用の紫色した甲冑を身に付け鉄砲片手に城を守り、旦那が帰ってきてその家が無くなってないようにと獅子奮迅。

しかし、関ヶ原で西軍についた立花家は敗戦し領地を没収されてしまう。敵対した東軍でありながら立花家をかってくれていた清正さんは、立花家家臣を雇い入れ、誾千代姉さんを熊本でも柳川に近い場所に移り住まわせ、世話をしてくれた。

誾千代姉さんは大好きな柳川から離れ、大好きな領民たちとも離れ、終いには絶対に柳川取り戻してやっかんな!と息巻いて旅に出た頑固者のバカ亭主と離れることになる。


そんな天下無双と謳われた夫立花宗茂がまた世に名を残せるならば、私の命と引き換えにしても構わないと天に祈り続け、実際に宗茂はなんやかんや頑張って関ヶ原西軍唯一の大名復活を成し遂げ、清正の下にいた家臣を連れて柳川藩主として返り咲いた。

そんなみんなの願いを一身に引き受けたように、誾千代姉さんは祈りが通じたのか熊本の地で宗茂に看取られる事なく病死したそうな。


またまた余談ではあるが、この誾千代姉さん。ぼた餅が好きなスイーツ大好き女子でして、僕も大人になり、なんとなしに誾千代姉さんについて色々調べ物をしたりしている時、ぼた餅が好きな勝気女子、マイスイートハニーに出会ったお話はまたの機会に。


実際そんな話を小さい頃から聞かされていた事もあり、僕もなんやかんやで厨二病を拗らせている節がある為、立花という名前に誇りを持っている。

天下無双、日ノ本一の勇将、かっこいいではないか!

という事で、武器と言えば刀!もしくは槍!はたまた弓!なんなら全部でもいいかなって思っている、立花です。



「刀か。日本人って感じだな!サァムライ!」


なんでだろう。

外国人、本当サァムライ好きだよね。

あれ?あんたんとこそのサァムライと一戦いや二戦ほど交えてなかった?

しかも福岡あたりで。


「でもやっぱりリーチが欲しいよな。槍ってのも良いな!」


「槍かぁ。刀!って方がカッコいい感じはすっけどな」


「おまっ!わかってないねぇ。サァムライは基本刀を腰に下げてたけど、戦は槍中心。後半になってくると鉄砲撃ちまくってんぞ」


「え!?サァムライは銃弾すら刀で受け止めるって思ってたぞ」


斬鉄剣もってしても、あの人だから出来る芸当だからね?


「まあでも俺の後ろから槍ってのは実際いいかもな!ついでに弓も!俺が受けて、槍で突く!俺が受ける前に弓で射る!完全なるコンビネーション!」


うん、嬉しいの。

君がそうやってコンビを組むことに嬉しそうなのは、僕も嬉しい。

でもね?

その両肩を掴んで頭振るの本当に意識失いそうになるからやめて?


「なんなら俺の背中に乗って駆けまわるか?」


なにそれ、倫理観なかったら乗ってたわ。

でも僕の友人に対する道徳心がそれを許さないよ?




「最悪それもアリだな」


思い描いちゃった。

なんかカッコよく思えちゃったんだから仕方ないじゃない。

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