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人類レヴォリューション  作者: p-man
アナナキ世界
80/109

バータル恋愛記


第一隊vs第三隊の結果。

ボロクソのメタクソに呆気なく負けたにも関わらず、その戦いから何故か恋の華を見出した武人バータルさん。

草原での話し合いではラチがあかず、知里ちゃんは後ろ髪を引かれつつも自分の隊に戻り訓練、僕とバータルは賢政院に戻ってきていた。


場所は僕の自室。

熊本くんは帰ってきていない所を見ると、エリームと特訓中なのだろう。


僕は男二人。

しかも話題は恋バナと、どこか矛盾した空間に身を置いていた。


「バータルや。其方の気持ちはよく理解したつもりでいるよ?だけれどどっこい。其方元々はディジーを毛嫌いしてなかったかい?」


僕は自分のベッドの上。

そして何故かいつもなら熊本くんのベッドに座るバータルは、なんの負い目か床に胡座をかいている。


「最初は印象悪くて、嫌な女だと思ってたが、あの性格も本当は素直じゃないだけで、根は良い奴だって気付いた。戦い方見てればわかる。真っ直ぐだ。美しい」


うん。

こいつの美点は、清々しい程包み隠すなどという不粋な真似をしない事です。

可憐だの。恋だの。美しいだの。

なんの恥ずかしげもなく言ってのけるのは美点です!

ですが!聞いてるこっちが恥ずかしいから!


「まあ、強ち間違いじゃないだろうけども。勢いが良過ぎない!?恋の突進が激し過ぎない!?突進超えて猛進まであるよ?」


「恋はいつだって猛進だ!」


名言生まれたよ。


「はぁ、まあそこまで言うなら否定は止めよう。だけれどどっこい。どないする気ですのん?あーた、すぐに告白しそうな勢いですやん」


「ダメか?今夜にでもと思ってたが」


べらぼうに速え。

ミハエルか!?シューマッハ過ぎるだろ。


「武田鉄矢もトラックに引かれるぞ!その速さは!一呼吸置いてみ?まだお前、名前呼び始めてもまもないべ?」


「あぁ、そうだな。なんで俺は!っくそ!なんでもっと早く名前を呼べなかった!?」


情緒よ。

どげなっとんかい。


岩みたいな拳で、大木みたいな足殴るんじゃないよ。


「過ぎたことは仕方ない。今からですよ旦那。まずは普通にお話出来るくらいなりましょうや。今晩飯食う時、一緒食べてみたら?」


「う、うん。だ、だ、大丈夫だろうか」


どこでへこたれるのか定かじゃねぇ。

告白急ぐ癖に、ご飯誘うのはヘタれるって最早意味がわからぬのだが。


「今日の事を引き合いに出してみろよ。戦闘でディジーの凄かったとことかを話のネタにして、それを話したいから誘いましたって感じで」


「ムネノリ。お前、天才か?」


「これで天才扱いなら石田純一はアインシュタインに相対性理論教えてるレベルですが?むしろ全人類靴下履かなくなるよ?」


「靴下を履かなければいいのか?」


「うん、ごめん。履いて?今のは僕が悪かった」


悪くねぇよ!

ダメだ。心の声が口をついて出てしまうと純真無垢なバータルは真に受けてしまう。


「じゃあ、まず!第一の関門!一緒に食事!これをクリアだな!」


「どんとこいや!って、第一って事は次もあんのか?」


「そりゃあるさ。てかさ、バータルや。君は彼女いた事ある的な発言してたよね?」


「あぁ、あれは想定だ。実際居たことはねえ」


おうおうおうおうおう?

想定とはなんぞや?

僕は想定の話で、心を乱されたのかい?

バッキャロ!


「なるほど。だけれど初恋って訳じゃないでしょ?」


あ、なんか今予知できた。


「初恋だが?」


ほれみたことか。

予知出来始めたよ?ぼく。


「ほうほうほう」


「おうおうおう?」


「バータルや?」


「なんだ?ムネノリ」


「約束をしよ?」


「お?おう」


「僕の、言う事を、聞く」


「ムネノリの、言う事を、聞く」


「自分で、勝手に、動かない」


「俺は、勝手に、動かない」


「それを、約束、しよう」


「それを、約束、する」


僕はゆっくりと、噛みしめるようにバータルとの固い約束を交わした。

でないと、彼は地獄を見る。

初恋の危険性。

それは男子の心を容易にブレイクしてしまう。

今ここでコイツをブレイクさせてしまうと、地球は滅亡する可能性大になってしまう。


「まずは食事!後の事はその食事での会話にて判断します!」


「わかった!まずは食事!」


「ほんじゃ!一先ず解散!デイジーが飯食うだろう時間はもうちょい先だ!その時に食堂で会おうぞ!」


「どんとこい!」


そう言ってバータルは僕の部屋を後にした。


え?大丈夫?これ?

乗っかって良い話?

そりゃあ友の恋路を応援したい気はあるさ。

だからってあんた、初恋とは知らなかったじゃない。

いくら純真無垢だとは言え、思い立ったら吉日を体現するとは思わないじゃない。


僕は一人になり、事の重大さから目をそらすように腕立てを始めた。

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