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人類レヴォリューション  作者: p-man
アナナキ世界
76/109

2


「ディミ助ぇ?貴様殺されたいのか?」


ですよね。


僕はあれからディミトリーを真ん中にして、ふよちゃんにポータル移動してもらい、賢政院に帰ってきていた。


そしてそのまま、食堂に現れた仲良し三人組を見た魔王さまが、業火を纏って現れたのである。


「姐御!違うんです!これは修行です!」


「あぁん?うちの旦那と手を繋ぐのが修行だと?こらぁ。切り落とすぞおんどりゃあ」


なにを?腕を?

やめて?本当にしそうだから、あなた。


「あー、知里氏。修行というのは本当の事でね?これはディミトリーが付与師になる為に僕とふよちゃんが四六時中、ディミトリーに付与し続けて、それがディミトリーの内面と対峙するという意味が含まれているのだよ。半日ほど続けてないと効果ないってことだからこんな絵面になっておる」


「ほほう?まあ、ディミ助の表情的に邪な感じはしないし、むしろ男同士だし、百歩譲っていいとしてだ。このふよちゃんなるメスはなんなのだ?これではディミ助を可愛がるカップルのソレではないか?あぁん?焼却するぞ?あぁん?」


今度は標的を変え、ふよちゃんを下から舐めるようにガンを飛ばし、おでことおでこをぶつけて睨む魔王さま。

完全に田舎のヤンキーそのものである。


「チ、チ、チサト様。お、お、お許しを!ディミ、ディミトリー様の、今後の、発展と、前途を、祝して、その」


最早何を言っているのか定かではない、ふよちゃん。

これでは川の字に寝るなど宣えば、クリーチャーが来る前に地球が滅亡してしまう。


「おい待てズッコケ三人組。半日とか言ったか?今から半日は最早翌日の朝ではないか?あれか?私にこの惑星ごと吹き飛ばして欲しいのか?」


オウ!心読まれたのかね!?


食堂兼ホールの入り口を占領している僕らを横目にしながら、またこいつらかと、他の皆さんは憐れみの目を向けつつも素知らぬふりをしている。

その中でもいやらしい目付きをしていたダンディーズには後でしっかり文句を垂れようと心に決めていた。


「姐御!!さすがに僕もふよちゃんと一緒のお布団で寝るのは、恥ずかしいから!師匠とだけだから!」


なんか突っ込み方似てきたなこの子。

でもね、ディミトリーくん。

ちょっとズレてるのよ君も。


寝るのね!?

僕と一緒に寝る事は変わらないのね!?


「へ、へ、へぇ。ま、ま、まぁ男同士だし?そ、そ、それは、なんとも言えないが、ね?」


ディミトリーの至極真面目な表情に、なんとも言えない顔をしている知里ちゃん。


いや、わからんではないよマイハニー。

てか、偉いよ?可愛いよ?マイハニー。

ここで嫉妬するとディミトリーの男の子だという気持ちを蔑ろにしてしまう。

だけれども、どっからどう見ても可愛らしいこの子と僕が一緒に寝る事が我慢ならない。

僕ももし逆の立場ならば辛い!!


偉いよ可愛いよマイハニー。

その心意気!

僕も全力を持って誠意を尽くすからね!

ディミトリーは男!

僕は絶対にそれを蔑ろにしない!!


「知里ちゃん。これも付与師育成の為だ」


「くっ!!是非に及ばず!」


信長さん?

明智ディミトリーから焼き討ちにあったみたいな顔やめて?


「師匠!今日から師匠と兄さんところにお世話になります!」


「おし!わかった!最大限付与するから、お前も頑張って付与師になれ!」


「はい!!」


ディミトリーの始終一生懸命な姿に、知里ちゃんも嘆息してやれやれと言った様子。


一件落着した僕らは、知里ちゃんが陣取っていたテーブルに座らせてもらい、食事を漁りに行く。


「てか、今も付与してるの?ムネリン」


両手が塞がっているディミトリーの分までトレイを持ってあげている知里ちゃん。


「うん。一定量ずっと流してると最早意識しないでも勝手に流れて行ってるみたい」


「へえ、それ私もやろうと思えば出来るのかな?」


「素養は努力で補えるって言ってたから出来るとは思うけど、知里ちゃんのはかなり攻撃特化してるからディミトリーよりムズイんでない?」


「あー、そういう感じ?なるほど納得」


「てか本当に、あなたなんであそこまで強いの?」


「ぐへへ。多分ね?あの件があってからもっと強くなった気がする」


あの件。

今も思い出すだけで顔が火照る。

2年目にしての暴露大会&ピンキー事件。

そしてプロポーズ。


「僕は変わらないんだが?」


「え!?愛が足らないのかな?じゃあディミトリーの反対側に私が添い寝するという形を」


「却下。今度こそアナナキンヌにシバかれる」


「ちっ!」


どんな愚策だよ。

知里ちゃんの舌打ちを無視し、トレイに夕飯を乗せ、元の席に戻る。


「はい、ディミトリー様。あーん」


「えぇ、恥ずかしいよぉ。ふよちゃん」


「両手使えないでしょ?あーんしてください」


「むぅ。あーん」


なんじゃこれ。

僕も一応片手はそのピンキーな雰囲気の一員なのだが、全くの疎外感。


「なんじゃアイツら色気付きおって。はい、ムネリン。あーん」


「言ってるそばからとはこの事だな。大丈夫です。片手余ってます」


「ちっ!」


左からピンキーな声。

右から舌打ち。

僕はそのカオスの中、黙々と夕食を片付けることに集中した。


ーーーーーーーーーーーーー


何回だろう。

「なんだそれ?」

と、言われ続け、それに説明をしたのは。


僕達仲良し三人組の異様な光景に、通りすがる人々全員が疑問を投げかけてきた。


勿論先程のモヤモヤを払拭するべく、ダンディーズを見つけ出し、やいのやいのと突っかかってやる事も忘れていない。


やっとその喧騒から離れ、自室に戻ってきたのだが、最後の砦がまだ残っていた。


「なんスカそれ?」


億劫でしかねぇ。

こいつに至っては、億劫でしかねぇ。


僕とディミトリーが、僕のベッドに手を繋ぎ並んで座っているのを、対面のベッドに寝転がったアホに問われる。


「付与、修行、ディミ、寝る」


「どんだけめんどくさがりだよ!大体わかる僕が凄いんだからな!?」


わかってくれたか。そこはありがてぇ。


あとは風呂入って寝るだけになった僕達は、一旦ディミトリーの部屋から着替えやらの荷物を取って、ふよちゃんとのお別れを済まし、帰宅していた。


「え?一緒に風呂はいるんスカ?」


「アホンダラボケ。トイレと風呂まで一緒に済ませるかどチンカス。そこは休憩がてら離れるわ考えろヌスケ!」


「びっくりするほどの罵詈雑言だな!どんだけ説明に嫌気差してんだよ!ったく。ディミくんも大変だな、こんなのが四六時中一緒で」


「全然!師匠と一緒楽しいです!」


嗚呼、唯一の救いは隣の子が天使な事。


「師匠?やっぱりめんどくさいですか?」

「は?全然。は?全然」


間髪入れずに言ってやったわ。

至近距離でのその困ったような顔。

眼福ですけどなにか?


「なんでだろう。男同士だとわかっているのに羨ましい」


熊本くんのギリっと音を鳴らせる歯軋りを心地よく聞きながら、僕は先に風呂を済ませることにした。


「よし、ディミトリー。僕は風呂に入ってくる。休憩にしよう」


そう言って、久方ぶりに左手の感触が自由になった。


「ふぇー」


え!?

ディミトリーと繋がれていた手が離れると、力が抜けてそのままベッドに倒れこむディミトリー。


「うぇ!?どうした!?」


「ちかれたー」


僕の枕に顔を埋め、全身の力が抜け切った様子。

あ、やっぱキツイのか。


「ずーっと師匠から、ちげぇだろ!おい!ちゃんとしろ!てめぇ!ってげき飛ばされてるような感覚でした」


マジで!!?


「そんなに!!?全然そんな気はないぞ!?」


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