表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人類レヴォリューション  作者: p-man
アナナキ世界
74/109

3


「くっそー!さすがムネリンたち!」


ーーーっ!?


「え?ム、ムネリン?」


「や、やあ」


「ちょ!ちょ!ちょ!なんで目合わさないの!?ムネリン!?こっち見てみ!?見てみ!?」


あまりの風評により、僕の脳には知里恐怖症が叩き込まれていた。


「バータルか!なんかムネリンに言っただろ!?」


「い、いや、な、なにも?」


「おい待て!なんでお前も目合わさないの!?見てみ!?私を見てみ!?」


どうやらバータルも恐怖症を患った模様。


第一隊、第二隊の模擬戦が終了し、各々治癒も済ませ、本日の訓練は終了となった。

一日に何戦もするわけには行かず、第三隊のみこの後も訓練をしてから帰ってくるらしい。


「師匠ぉ、つよー」


ディミトリーがガックリと肩を落としやってきた。


「何言ってんだ。ギリギリだったじゃねえか。なんだあの気魄弾。どんだけ曲げたらブーメランみたいにして返ってくんだよ」


実際本当に焦った。

後ろを振り向いたら、何発もの気魄弾が迫ってきていて、冷や汗ものだった。


「あれは一回ピタッと止めて、戻ってこーいってしたら出来ますよ」


あれか?

英雄軍には、まともに解説できるやついねーのか?


「ディミ助。ムネリン相手によく頑張りました!えらい!」


そう言ってディミトリーの頭をわしゃわしゃする知里ちゃん。

おお、微笑ましい。


「姐御が、師匠やってこいって言ったのちゃんと出来なくてごめんなさい」


待て待て。やってこいだったか、本当に?

殺ってこいじゃなかったか?ん?


「なー!可愛いなコイツ、コイツ」


ちっこいのとちっこいのが戯れてる。

眼福です。


「にしてもですよ、知里様」


「うん、ごめん。なんで様付けなの?ムネリン」


どうしても拭い去ることの出来ない、あの魔王然とした戦いに、僕は無意識に様付けしてしまっていた。


「あ、つい。んで?なんであんなめちゃくちゃなの?君は。なに?え?なに?」


僕のなんと言っていいのかわからない発言に対し、その場にいた、バータル、ディミトリー、イヴァン、ブラッド、朱、カメンガが一様にしてウンウンと頷いてくれていた。


「うぇ!?なんでみんなしてそんな顔してるの?むしろ第二隊!あなた達は尊敬の眼差しを向けなさい!?」


「いや、尊敬つうか畏怖?」


おー、朱さん。言い得て妙。


「おい、チサト。俺絶対二度とお前とやんないから」


「なんで!?当初は手合わせしようって乗り気だったじゃん!タルタル!」


「だってお前、あん時全然本気じゃなかったってのがさっきわかったから」


ねえ、本気ってなに?

いつ出すの?本気。


「さっきのは本気!」


「「だろうね!!」」


うぉ!

僕とディミトリー以外の全員がハモった。


草原に一同、第一隊、第二隊が集まり、戦闘後の後日談。

昨日の敵は今日の友。って、昨日も今日も友ではあるか。


「次は第一隊と第三隊か。唯一チサトとやり合ったディジー率いる第三隊。これもまた厄介そうだな」


腕を組み、唸るイヴァン。


「あー、イギリス女か。確かアイツも前衛に出てくる指揮官だったな」


「大変だなそう考えると、バータルのポジション」


知里ちゃんは受けるわ、ディジーは受けるわでバータルが壊れるのが心配である。


「どんとこい!チサトは論外だが、他のは受け止めてやらぁ!」


と、言いつつも知里ちゃんすらもなんやかんや止めてたよ?

君はいつでも頼れるねぇ。


「あ、あの!ブラッドさん!」


おや?珍しい組み合わせ。

朱さんとブラッドが話しているのを見るのは、もしかしたら初めてかもしれない。


「んぁ?どうしたぁ?」


「隊は違うけど、気魄弾とか!戦術とか!教えてくれないか?あんたつえーよ!」


ほうほう。

戦場で合間見えた二人。

朱さんはブラッドの玄人っぽい戦闘に心を奪われた模様。

僕もブラッドの戦いは、見惚れてしまう時がある。


「がっはっは!ワシのファンか!おお!良いぞ!教えてやらぁな」


朱さんの肩をバンバン叩きながら、ブラッドも嬉しそうにしている。


「ぼ!僕は!イヴァンさんに!教えて貰いたいです!」


「あぁ?なんだカメンガ。お前は俺のファンか!くー!いいよ!全然教えちゃう!」


おー、ダンディーズモテモテだな。


「僕は!師匠に格闘を教わりたい!」


キタコレ。

いやむしろ元々僕のファンだし?

全然嬉しくはないけれども?


「なーんだよぉ、いいよぉ?ったくしょーがないなー」


「なんかムネリン。イヴァンに似てきたな」


「え、ごめん。マジやめて?」


「そんな!?なにがあった!?」


あれ?教える?

なんか忘れてる気がする。


「あ!!?」


「ど、どしました?師匠」


「ディミトリー、お前。付与覚えてみたらどうだ?」


失念していた。

付与師育成計画!


「うぇ!?僕も師匠みたいに付与出来るんですか!?」


ここは一つ。


「出でよ!アナナキ!」


「あのね?変な呼び方しないでも、来ますから」


うぉ!?

マジできた。

しかもなんでか熊本くんまで付いてきた。


「なにしてたの君たち?」


こいつら最近えらく仲良いな。


「クマモト様の個人訓練です」


「あぁ、なるほど。あの気魄銃の訓練か」


「いやマジ見たら驚くレベルで習得してるっスヨ?」


「へー。で、付与師の件なんだけどさ」


「もっと聞いて!もっと聞いて!」


うるさっ!

出てきたら出てきたで煩いなこいつ。


「タロー。私が聞いたげるからこっちおいでー」


ナイス知里ちゃん。

なんで、あやされてるの!?と言いながら、知里ちゃんに連れられていく熊本くん。


「付与師ですか?」


「そうそう。ディミトリーに付与教えたいんだけど、素養とかってあるの?」


「おう、これはうっかり。忘れてました付与師育成の件」


てめ。

いや、まぁ僕も忘れてたし。

是非に及ばず!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ