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人類レヴォリューション  作者: p-man
アナナキ世界
62/109

4


どうも、本当に今日という日に感謝している立花凛です。

どうぞよろしく。


『うっま!なんこれ!バリうま!ねぇ!これバリうま!ん?そっちのもうまそうやね?ちょっとくれん?』


立花家、知里家、ご両人不在の中、対面にて夕食中。

お料理は、普通でした。


そんなガッカリな夕食中、脳内にずっとギンの忙しない声を流されながらも、千景ちゃんのお母さんからの質問やら世間話やらに、必死な笑顔で相槌を打っています。


さっき知ったのですが、これ、私の頭の中からでもギンに話しかけられるらしく、口を動かさずして意思疎通が図れるのはとてもありがたい。


てか、なんでそんなこと出来んの?

話せた瞬間は、嬉しさでそんな事考えてもいなかったが、これってどういう仕組み?

わからんことが多過ぎる!


けど!気にしなーい!結果オーライ!


『あげません!あんたいつもそんな事考えながらこっち見てたの?』


『ケチくさー』


『あんた口の利き方後で教えてあげるね』


異常な程の博多弁。

イントネーションがモロ!

家族総出から掻き集めた語彙力、そして言い回し。

明らかに立花の人間だとわかるその喋り方は、憎らしくもあり、可愛らしくもあるのがいかんせん厄介である。

大方、私。

次点で母。

口が悪いのは確実に兄。


おい、父。

どこまでいっても報われんな!

私は結構慕ってるよ!父!


「凛ちゃん。千景とたまにお買い物とか行ってくれてたんでしょー?ありがとねー。あの子誘われないと出ないから」


なぜ私ばっかり集中的に話しかけてくるのお義母さん!

飽きたか?富江に!

そりゃああんだけ長話してたら、話す内容も無くなるわな!


「いえいえ、千景ちゃんはお姉ちゃんみたいだと思ってますから」


そうですけどね!?

いや、そうなんだけれどもさ!


服は毎回ユニクロ、カバンも持たずにポケットに財布と携帯のみって!

どこの男子高校生だよ!

大体スッピンだし、寝癖そのままだし、下手すれば歯磨き粉ほっぺにつけたまま出てきてたことあるよ?

そりゃ心配にもなるでしょう!?


そして!訂正させてもらおうか!

八割五分、千景ちゃんからの電話によって、誘われていますから!私が!!

立花を兄、妹でヘビロテしてるからね!

あの人!


『ちかげ?あのメス犬か』


はっ!!?


『どうしたギン』


『私あのメス犬嫌い。敵』


敵とみなしてた!?

お前まさか!ヤンデレ系妹犬!?

あながち予想通りで逆に驚いたわ!


そういえば千景ちゃんも、家に寄って行くか聞いた時、頑なに拒否してたが、何かコイツらあったのか?


『まさか喧嘩とかしてないよね?』


『なんかお兄ちゃんと帰ってきて部屋に入って楽しそうに暴れてるみたいだったから出てきた時に一回噛んだった、おもっくそ』


え、ごめん。それ聞いていいやつ?

さすがにわかるよ私も、もう18だもの。


あかん!そう言えばこういうこともあるのね!?

物言わぬギンだから知っていることがあるのね!?

触れんとこ!!


『噛んじゃダメ!』


『はーい』


コイツいつもこの調子で返事してたのか。

小生意気な!


『ねえ、お姉ちゃん』


『ん?どした?』


『お兄ちゃん帰ってこんの?』


『うん、まだまだずっと先になるよ』


『ほんと?ほんとに帰ってくる?』


え?なに、その不安を煽るような言い方。


『帰ってくるよ。またギーンて抱きついてくるから大丈夫』


『お兄ちゃん困っとうと?』


いやー、どうだろう?

困ってんのか?アイツ。

千景ちゃんも太郎ちゃんも居るし、案外暢気に構えてそうだけど。


『んー。どうだろう。でも大丈夫だと思うよ?』


『助けに行く?』


は?

なにを言いだしたのかね、この子は。


お?でも待てよ?

私って英雄ってのの妹なんだよね?

って事は血繋がってるし、むしろ私も英雄なれるんじゃないか説!


『申し訳御座いません。それは無理です』


『オウ!トウチョウネ!』


いきなりの介入に、目を見開くだけに留めた私を誰か褒めてくれ。

アナナキ♀からの不意の介入。

心臓に悪いから!


『英雄は同じ血族間でも突出した精神性の持ち主にのみ与えられる称号です。ですので、兄弟間でも長兄長女次兄次女関係なく、誰が選ばれるかはその精神性の高さで決まります。もちろん準英雄の方は英雄のご家族という敬うべき存在なのですが、だから英雄になれるかというとまた別となります』


『精神性!?アイツのどこが?』


『タチバナ様は英雄軍でも突出した精神性の持ち主ですよ?お兄様を誇りに思われて下さい』


突出!!?あれが!?

精神性もロクなもんじゃねえな!


って、ん?精神?


『ねえ、それ精神的な病気関係する?』


『ーーーーー』


『お?おーい』


『よく気付かれましたね』


やっぱりか!


『いやメンツでちょっと』


『しかしそれが精神性に重要な影響を及ぼすのです。病気と名付けたのは人間であり、我々はそう捉えておりません。申し訳御座いませんが、これ以上は秘匿となります。失礼します』


わーお。

なんか凄いとこ踏み込んで聞いちゃった感じ?

しかし、アレが英雄になれる要素って残酷じゃね?

しかも突出ってアンタ。

そう言えば千景ちゃんもゴリゴリに強いって一紀くん言ってたな。

あんまり、触ってほしくないんだけどなぁ。

兄ちゃんも千景ちゃん太郎ちゃんも大丈夫なんだろうか。

あ、太郎ちゃんは関係ないのか。


ーーー関係ないのか?



ふとして現れた大きな懸念材料に、私は少し憂鬱な気分になった。




『助けに行く!?』


『行きません!』

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