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人類レヴォリューション  作者: p-man
アナナキ世界
61/109

3


うぃっす!立花凛でっす!

どうぞよろしく!


そうこうしている間に、夕飯タイム!


アナナキから夕飯の準備が整ったと聞いて、いそいそと出て来ました私とギンです。

だって!

こんな豪勢な建物なんだから、そりゃあご飯も豪勢でしょうよ!という期待。

飲み物はファミレスと同じドリンクバーだったけど。

いやむしろ、それは良い!

逆にありがとう!

ダージリンとかアールグレイとか出てきたら、お母さん栄養失調になっちゃうからね!


「ねぇギン。ドギーマン越えてきたらどうする?」


私の問いがわかるのか、舌を出し、目を輝かせ、尻尾を激しく振るギン。


そこそこお主もわかりやすい女だな!


花より団子。

至極当然ばっちこいまである!



ところで先程の一紀くんの1ブロックという謎ワード。その意味が解明するのは早かった。

いや本当に1ブロックだわ。

先程のロビー同等の大きさが1ブロック。

それがロビー含めて三つ。

しかも、最後のブロックは知里家か、立花家かの扉に行く用途しかない。

二つ目も結果的に食堂に"繋がる"通路でしかない。


なして?なしてそんな勿体無いことをする?

私とギンなら、1ブロックで悠々自適に過ごせる自信がある。

いやむしろそっちの方が部屋より広い!

置いてあるのは壁掛けの鏡とその下に台、あとはフッカフカのソファが卓袱台ほどのテーブルを挟んで二脚のみ。

敷き詰められたこわっこわの絨毯に、仕事させてあげてくれ!

いる!?そんな端っこまで!

多分あのスペース前人未到だと思うわ。


はぁはぁといきなり肩を揺らしだした私に、ギンが『おぉ、なんだ?どうした?』って顔している。

目に見える全てに突っ込んでたらなんか疲れた。


「おや?リン様どうされました?」


タイミング悪くアナナキ♀に見られてしまった。


「いいえ、なんでもありませんですわ」


あ、なんか口調までお嬢様気分になってるわ私。


「そうですか。あらギン様、ええ、はい。ご用意しておりますよ?」


ん?なにしてんの?

なんでギンと会話してるみたいな雰囲気出してるの?


「あ、あのぉ、まさかギンと喋ってます?」


「ええ、そうですが?」


ワオ!常識かなぐり捨ててきやがった!


「え?まじで?本当にそんな事できるの?」


「ええ、出来ますよ?あ!そうですね!リン様はギン様とは繋がっていらっしゃるので会話を用いてはいらっしゃいませんでしたね!」


ツナガッテイル?

二人はいつも以心伝心的な?

心の距離繋ぐテレパシー的な?


「話してみますか?」

「はいもちろん」


え!!?マジで!?

ちょっとちょっと!感動しそうなんだけれども!?8年連れ添った妹とはじめての会話なんだけれども!?


「それでは私を通しての思念伝達を行いますので、脳に語り掛けてくる形になります。大丈夫ですか?」

「オフコース」


ドッキドキやぞ!

ドッキドキやぞ!

ゾックゾクするやろ!


アナナキ♀はおもむろにギンの頭に手をやり、それを私の頭に乗せ、手を戻したかと思うと、私に目で『どうぞ?』と合図してくる。

それに恐る恐る従い、ギンに目をやる。


「あー、ギン?」


『わー!びっくりした!!』


テンション高っ!

しかも声可愛い。子どもみたい。


「わかる?私?」


『え?お姉ちゃん』


死にそう。

人生で言われたい言葉No. 1を、言われたい子No. 1に言われた!!

涙が!ダメっ!私、泣いちゃダメ!


『あ!ドギーマンでもよかよ?私』


さっきの話かい!

しかもしっかり博多っ子やな!


「いや、ここは欲張りなさい?」


『んー、あのね?言える時が来るとか思わんかったっちゃけどね?』


「なに!?やめてね!?感動系弱いから!」


『私、高いよーって奴より普通に出される奴の方が好きっちゃん!』


なんの話やねん。

いいよ、ドッグフードの話は。


「わ、わかった。それは今後改善するとしてだ。もっと!もっとこうなんか!あるでしょ!?」


『もっと?あー、足臭いよ?』


殴るぞテメェ。


「んー?いいよー?違うよー?お姉ちゃんになんかあるでしょー?ほら!日頃の、ほら?ね、ほら?」


『日頃?散歩?あれ疲れる。あとはー』


「ギン?」


『っ!?それ!それ怖い時の顔!なに?なんかした?』


こいつ。

まぁびっくりするほど立花家だわ。


いやでも、驚くほどの新鮮さ!

私と会話が噛み合っている事にも驚きだが、返答と顔の表情がピッタリ過ぎて、トリックだのなんだのと疑う余地が全くない。

むしろ思ってそうな事過ぎて信憑性しかない。


「どうですか?ギン様との会話」


ずっと私たちの会話を前にしていたアナナキ♀が、にこやかな笑顔で話しかけてきた。


「え?もう終わり?」


まだ!まだ話し足りない!


「あ、お望みであればずっとそのままにも出来ますよ?」

「お願いします」


キタコレ。

あー、兄に感謝してる。

私今、過去最大級に感謝してるわ。

小さい頃川で溺れそうになってたのを助けてくれた時の700倍感謝してる。


『ねえねえ?お兄ちゃんは?帰ってこんの?』


ぐっ!

その言い方。

聞き覚えというか、言い覚えがあるというか。

そうか、この子は私で博多弁覚えた口か。


「今、ちょっと遠いところに行っててまだ帰ってこないよ?」


『え!?どんくらい?』


「結構長くかな」


『え、やだ。早く早く!』


いや私にもそういうニュアンスの話せえや!


と思いつつも、垂れた目が一層垂れているように見え、少し可哀想になってきた。


「お兄ちゃん好き?」


『ちかっぱ好き!』


言ってたか?私ちかっぱなんて。

むしろ福岡住んでてちかっぱって言う人見かけた事ないまである。


「ちかっぱって誰に教わったの?」


『めんたいワイド』


テレビ見とったんかい!!

しかもローカルチョイス!絶対それ私がつけてたやつ!


『あと華丸』


大吉も言うたれ!

兵庫出身やけど、二人で一つやから!むしろ大吉あっての華丸やから!

福岡の誉れやぞ!二人共な!


と、私の脳内キャパシティが限界を迎えそうな時、ぞろぞろと部屋から夫婦+恐らく親類になるだろう親子が丁度同時に出てきた。


『あ、ババア!』


絶対言えない。

絶対お母さんにはこの事黙っていよう。


私の心を読んだのか、アナナキ♀も私を見て頷いてきた。

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