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人類レヴォリューション  作者: p-man
アナナキ世界
58/109

3


「名付けて!ダンディーズスペシャル!」


頭を叩かれながらも、悪怯れる素ぶりのないイヴァン隊長と、それを快活に笑うブラッド副隊長。


いや、どっちかまともになれ。

隊長、副隊長揃ってアホは、流石にやばい。


「アホですか?アンタたち。丘消えてますやん!」


「お前にだけは言われたくなかったぞ、ムネ」


ぐっ!!

こいつら!痛い所を!


「な、な、何事ですか!?またタチバナ様が!!?」


「なんで丘消えたら僕を疑う!?今からそれ改めなさい!丘が消えたら第一隊の誰かって、改めなさい!」


急いで文字通り跳んできたエリーム。


「あぁ、すまんすまん。俺らだわぁ」


ニヤニヤしながら謝んな!

悪びれろ!

僕だって悪怯れるくらいはしたぞ!?


「な!?イヴァン様とブラッド様が!?何があったんですか!?」


「いやまさかあそこまでの威力になるとは思ってなくてな?ちっさい奴で練習してたから、フルパワーがあんな核爆弾みてぇになるとは!なぁ?」


「がっはっは!笑っちゃいるが実際ヤベェと思ってっからなワシたち」


ヤベェと思ってたんかい!

あまりの驚きに笑顔が張り付いてんのか!?


「ど、どうやってお二人で?」


未だに血色の悪いエリーム。

大変だね、あんたも。


「二人の気魄を合わせて気魄弾にして発射」


「がっはっは!簡単に言ってるが結構苦労してっからな」


お互い肩を組んでニコニコしているが、額の汗凄いよ?


「にしても、気魄って合わせれるのか?って事はバータルとも出来るのか?ん?」


イヴァンとブラッドで出来たならば、僕らも!と、バータルを見ると、口を大きく開け、目も大きく開けたままのバータル。


「おーい、バータルやーい」


え!!?

動かないんだけど!!?


爆風を受けたままの状態で固まっているバータル。


「お、おい!バータル!?」


「うぉ!?あ、あぁすまんムネノリ。あまりの破壊的格好良さに意識が飛んでた」


口を開けたままだったので、塵が入ったのか、ぺっぺっと吐き出しながら理解不能な発言をしている。

爆風でやられたか?


「お!さすがバータル!いいぞ!その調子で追いついて来い!」


「ちょっとお黙り!アホ隊長!」


ちぇっ、と不貞腐れて草を蹴るイヴァン。

さっきの威厳ある格好良さどこいった!?


「初めて聞きました!気魄の融合!これは歴史的大発見ですよ!!イヴァン様ブラッド様!少しお話を!!」


またもやいつも通りの反応をしているエリームが、誇らしげなイヴァンとブラッドに話を聞いている。


「おい、バータルや。真似しようなんて思うなよ?」


「なんでわかった」


やっぱりか!?

いや、僕もちょっとは思ったが、そこまで本気でもないぞ!?


「ムネノリ!!俺らも必殺技を考えないといけないと思う!!」


珍しく顔を紅潮させ、僕の肩を鷲掴みにするバータル。

ダメだ、遅れてきた厨二病だ。

治癒し切れるだろうか、大人の厨二病。


「ちょ!ムネリン!なにあれ!?」


喜色満面な笑みで無くなった丘を指差しつつ、走ってくるもう一人の厨二病。


その知里ちゃんに限らず、ゾロゾロと他の英雄達も寄ってきて、エリームとダンディーズの居るところへ集まってきている。


「チサト!!あれは隊長と副隊長の必殺技だ!ダンディーズスペシャルだ!」


「なに!?必殺技だと!?クソ!やられた!なんだあの威力!必殺技と言えば私!私と言えば必殺技!その専売特許を横取りされてたまるか!!」


「おい待て厨二病罹患者ども。そう血気盛んに必殺技を生み出そうとするんじゃないよ。丘何個あっても足りねえよ」


「ムネリンにだけは言われたくない」

「ムネノリにだけは言われたくない」


ぐっ!!

何も言えない!!!

わざとじゃないのに!僕のはわざとじゃないのに!!


僕がこうして心を痛めているのに、ダンディーズは一躍時の人となってホクホクした顔してこちらへ帰ってきた。


「がっはっは!まるで有名人になった気分だ!なぁイヴァン」


「そりゃそうだろ?なんてったって現時点最強コンビだ!だろ?ブラッド」


コイツら。

調子に乗る時は止めどないな!

未だに肩を組んでいるダンディーズ。


「な!!?最強コンビだと!?ムネリン!愛の力を!今こそ!」


「待てチサト!ムネノリは俺と最強コンビを組むんだ!なぁ!?友情パワーだ!」


あぁん?と両手を腰につけて下から覗き込むように、バータルへメンチを切り出す知里ちゃん。

それを上からガンッと見下ろすバータル。

視線は火花を散らして互いを射殺さんばかりに威圧しあっている。


「がっはっは!モテる男は辛いな!タチバナ!」


能天気お気楽おっさんが!

元はと言えば、おのれらのせいじゃ!


「けけけ。ムネ。どっちを選ぶんだぁ?」


てめっ!

余っている掌で口元を押さえ、いやらしい目をしているイヴァンが、さっきの必殺技並みの破壊力を投下してきた。


カッ!と視線を解き、僕の方を見てくる御二方。


「オォ?マイハニー?マイベストフレンド?スロースロー」


ドウドウと猛牛と猛虎を諌める僕。


「ハニーに至っては単体での必殺技が似合うんじゃないか?個体最大火力とかボカァかっこよ過ぎて惚れ直すまである。バータルも気魄弾ってより武人ってイメージだからなぁ。格闘系の必殺技が似合いそうだ!」


「個体最大火力」


「武人」


へっ!どうでい!マタドールもびっくりの回避だろうがい!


流し目でイヴァンを見やると、悔しそうな姿が目に入った。

いや、僕をどうしたい?


「ムネリン!!個体最大火力!!待ってて!すぐ作ってくるから!惚れ直せ!」


「武人たるもの見苦しい所をお見せした。さすが我が友、正き道を指し示す素晴らしい友に巡り会えた事、我が一生の豪運!」


ふぅ。

なんかこれはこれで良くない気もするが、回避とは一旦過ぎれば後は知らんが世の理。


冷や汗を額から拭い去り、うんうん!それがいいよ!で済ませておいた。



だがこの時は、後に回避は巡り巡って帰ってくるのだということを、僕はまだ知る由もなかった。

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