ゲーマーのキズナ
「先程はどうもありがとう!私は冒険者のゴウだ」
「僕は堺大和と言います」
「大和って言うのか…宜しくな!それと、こちらは商人のペテラ=ブレスレットさん」
「どうも…いやー、先程は予想外の大物が出ましてな……ゴウくんだけでは難しかったのです。あれはエントカゲと言いまして、自らが炎属性でありながら、炎属性を弱点とし、代わりに水属性に耐性を持った特殊な魔物なのです」
ペテラさんが言うには、そういう特殊な魔物だったらしい。
「お礼に何かしたいのですが…」
とペテラさんが言った。それに対して、大和はすぐに反応した。
「だったら、街へ送っていってはくれませんか?」
「えぇ、もちろんですとも」
返事は早かった。早速出発しようとしたのだが…
「ゴウさん、それは何をしてるんですか?」
エントカゲの鱗を削いでいるゴウを見て大和は聞いてみた。
「あー、これは討伐証明と、素材用として持っていくんだ」
「ヘェ〜」
どうやら、こちらの世界では討伐証明として魔物の体の一部を持っていかなければならないらしい。取り終えたところで、馬車が出発した。
「ところで提案なんだが…」
馬車の中でゴウが話しかけてきた。提案とは何だろうと思いつつ、大和が返す。
「はい、何ですか?」
「大和……お前、冒険者にならないか?」
そう来たか…。定番イベントの冒険者…なりたいけど…
「ゴウさん、それって僕でも出来ますか?」
大和は自分の実力を気にしていた。しかし、それは杞憂に終わることとなる。
「いや、大丈夫だ。ギルドにはよぉ……ランクってもんがあるんだ。下からF,E,D,C,B,Aとあり、最高位がSだ。Sランクは世界に5人しかいないんだぜ。で、俺はそのDってとこなんだが…Dは冒険者として一人前を表すんだ。さっきの戦闘でそのレベルをお前が超えていたのは分かる。大丈夫だよ。それに冒険者ってのは経験を得て成長していくんだ。安心しろよ」
大和は良かったと思った。返事は決まった。
「はい、是非冒険者になります!」
「良かったぜ!一緒に頑張ろうな!」
「はい!」
こうして、俺は異世界で絆を結んだ。それは俺にとって地球ではないものだった。しかし、この世界に来て、俺は……俺は!
(そうだ…俺はこの世界で生きていくんだ!)
そう胸に刻んだ。そんな大和の目の前に、街が姿を現した。
「見えてきましたよ!あれが私たちの街、アレスティアです!」
俺はこのとき、とても興奮していた。
不定期のんびりと更新していきたいと思います。