ゲーマーの意地
「ふわあぁ?」
大和が起きると既に昼になっていた。
「げ…早寝早起きという俺のモットーが……」
と言っても、幾度もの魔法の使用により、体に負荷がかかっていたのも事実であり、「こればかりは仕方がないな」と大和は考えていた。
「しかし、魔物が襲って来なかったのは奇跡だな。拠点に傷が無いから分かるが…それだと攻撃されなかっただけとかもあり得るだよな……いや、それは無いか」
そう言った大和は水魔法の『ウォーター変形』で飴くらいの大きさにして水を飲んだ…いや、食べた。
「本当に便利だよなー」
と言ってのほほんとしていた大和に不吉な影が横切った。
「なんだ?」
そう思い大和が見えた方向に向かうと、そこには猿とゴブリンの姿が見えた。
「これは…!?」
大和はどうしようか迷ったが、どうやら戦いの雰囲気なので、見ていることにした。
『ウギァ!』
『ゲ…!』
違いが叫んだ後、勝負が始まった。
ゴブリンの棍棒攻撃を猿が躱し、猿の空中蹴りが決まって猿が勝った。
「これが弱肉強食……」
大和はここが戦いで溢れていることを改めて理解した。そのとき、猿がこっちを向き、大和と目が合った。それは餌を見る目だった。
「なっ!見つかった!」
大和はこのとき焦っていた。
(どうする……逃げた方が良いか?しかし、あの戦いを見る限り倒せないわけではない…それに逃げてばかりではこの先生きていけない。ここは……やるしかない!)
この間僅か1秒……この時間で大和は答えを出す。
「かかって来いよ……猿野郎ッ!」