ゲーマーの冒険者
朝。鶏の叫び声が聞こえて俺は目を覚ました。っていうか異世界にも鶏っているんだね。
「あ、お客さん!おはようございます!」
俺が着替えて下に向かうと、そこにはあの受付の子がいた。そして横には……。
「お客さん、起きたとこ悪いんですけど、お客さんにお客さんです」
そう、横には昨日の冒険者、いや俺の親友のゴウがいた。
「ゴウ!もう来てくれたのか!ちょっと待っててくれ、支度してくるから」
そう言って俺は部屋に戻り支度をしてまた降りてきた。
「じゃあ、行くか!」
そうゴウが言った。俺も出ようとしたが、俺はひとつだけ受付の子に話しておく。
「あの…受付の子も気軽に『大和』って読んでくれていいから。そっちの方が楽でしょ?……色々と。それに俺、この宿が気に入ったからさ…馴れ馴れしく呼び捨てで呼んでくれた方が変になんか気を使われるより良いからね」
俺はもともとそういうタイプなのだ。おかしいかも知らないが、変に気を使われるより、こっちの方がいい。
「……分かりました。では、私のこともメイと呼んでくれませんか?」
どうやらこの子はメイというらしい。宿側の意地か、俺にも呼び捨てをと言ってきた。やはり、とても真面目な子なんだろうな…。
「分かった。行ってきます、メイ」
いきなり呼び捨てで良かったのかという疑問もあるが、どうやらそれは良かったらしい。
「大和…いってらっしゃい!」
そう言われて俺はゴウとギルドに向かう。その途中で…。
「なんだ?大和、さてはメイちゃん狙ってるのか?」
俺は道中そんなことを聞かれ、寄り道して買ったときソーダのような飲み物を吐きそうになった。
「な、ななななんでそう思うんですか!?それ以前にメイちゃんまだ成人してませんよね!?」
俺が慌てて返すと、ゴウがポカンとしていた。しかし、すぐにゴウがこう言った。
「何言ってんだ大和、あの子は14歳だからすでに成人してるぞ」
「え!?」
俺は思わずそう口に出る。だが、俺は冷静を取り戻し、ゴウに問いかけた。
「成人って何歳だっけ?」
恐らくこの世界の者からしたら「馬鹿なのか?」と思われるだろうが、それでも俺にとっては大事なことだった。
「ん?成人は12歳からだぞ?それがどうしたんだ?」
「じゅ、12歳!?あ、いや、なんでもない」
小学校卒業で成人とかまじか…と思いつつ、「だったら…」なんて考えを持ってしまう俺だった。いや、可愛いから仕方がないよね!?
ギルドに着くと、そこは俺のイメージ(ヤンキーの集まり時々女性)とは違い、ワイワイガヤガヤの雰囲気の良いところだった。俺が入っていくと、「ん?新入りか?頑張れよ!」と応援もされたしとにかく「良いね!」と思った。
「登録ですか?それとも登録ですか?」
いや、初対面でそんなこと言ってくんの!?選択肢登録だけかよ!いや、つるんでくれるのはありがたいけど。
「…冗談ですよ。安心してください」
俺はホッと息を吐いた。
「それでは改めて、登録ですか?依頼ですか?」
「登録でお願いします」
「お名前は?」
「堺大和です。」
「かしこまりました。少々お待ちください」
そう言われて1分程。受付の人が戻ってくる。
「ではこちらが冒険者証明証となります。最初はFランクからとなります。因みに発行料は無料ですが、依頼を受け、失敗をしてしまうと違約金としてその依頼の報酬の2割をはらっていただきますがよろしいですか?」
「はい」
俺はすぐに答えた。考えても、あてがあるわけでもないので、失敗しないように頑張っていこう。ただその思いだ。
「では登録完了となります。頑張ってください。後、これから貴方の受付係となります、ユイです。これからよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
「では、頑張ってください」
こうして、俺は冒険者となった。