第八話「彼の名……!」
「な、何だぁ?!」
オレは思わず声を張り上げた。ヒロは目を見開いている。空が、上で大爆発が起こったって……はぁ? な、なんなんだよ。もう……! オレは思わずヒロに問うた。
「おい、どういう事だ?」
ヒロは首を振って、
「分かりません……『案内人』は何も」
そう言って、ヒロは立ち上がった。
「おい、どうするつもりなんだよ?」
空の大爆発……それが起こったところは、今は黒く霞んでいる。
「とりあえず、山に……」
「山? また上るのか?」
気が動転しているのは向こうもそうらしい。視線がまばらだ。
「くそっ……!」
オレはヒロの手を掴み、山に向かって走り出した。
もうすぐで山の階段に差し掛かるという所だった。
「待て」
後ろから声がする。ったく、これで二回目か? 後ろから話しかけられるのは──と考える暇はない。オレは悪態をついて声の主を見た。
──男。強そうな。服装はこれまたSFに出てきそうな宇宙艦隊の提督のような格好をしている。何者だ?
まずい。
直感的にそう思う。
「ヒロ!! どうすりゃいい!!」
どうしたんだろうなオレは。
「分かるわけありませんよ!」
ヒロがこっちに向いて叫んだ。そりゃそうだよな。
「まぁ、待て」
畜生、そう呟いてオレはヤツに向かい直った。
「お前は何モンだ?」
「ハッ、ハッ、ハ!」
う、何だコイツ。突然ゆっくりと笑い出したソイツは、ズンズンとこっちに向かって歩いてきた。オレはあわてて後ずさりをする。ヒロも同様に後ずさりした。ソイツはオレとヒロ、それと、ソイツとの距離が大体5mくらいのところで立ち止まった。
「ワシか? よくぞ聞いたのォ! いや、聞いてくれると思っていた! フフフ、ワシはのぉ……?」
やけに焦らすヤツだ。オレはすっかり勘が狂っちまった。
「ワシはのォ……ハハハ! ……天上の将軍とも謳われる──正確には謳われた、じゃがのォ。おっと、どうでもいい! ええっと、そう、ガロンじゃァ!」
…………。
あ──……。どう反応すりゃいい。こいつはオレたちにとって敵なのか? で、名前は確か、ガロン? 天上の将軍? 一体何がどうなってるんだ。
とりあえずオレはゆっくり切り出した。ヒロは以前、ガロンとかいうやつを注意深く見ている。
「あー……えっと、それでガロンさ──」
「待ってください」
──あ? 何だよヒロ、そう言おうとした時、そのガロンとやらは、オレたちの後ろに移動していた。
次回予告:響き渡る怒声!!




