第二十四話「神山へ」
「じゃあ、いくぞ」
ガロンの指がスイッチへと伸びる。
「はい」
知樹は目を瞑ったまま答えた。ここまま開かないつもりなのか? それもアリかもしれない。だが──。
「待ってくれませんか?」
オレじゃない、ヒロだ。しかしガロンはスイッチを押してしまったようだ。知樹の体が白く光る。
「あっ……」
ヒロが呟いた。そしてそれと同時にヒロの体は動いた。そして知樹の腕を掴んだ。オレは小さく動揺の声を漏らす。
そして次の瞬間、二人が消えた。
オレはしばらくの間言葉をなくす。嘘だろ? ガロンも悪態をついた。
「あのバカ……」
何やってんだ、あいつ! 知樹と一緒にテレポートしちまったぜ? なんてこった。
……ふん。仕方ない、こうなったらオレも行くしかないな。
ガロンは割りと驚いた様子だった。
「な、お前までだァ? どういう事だ」
「オレはヒロに着いていかないといけません」
「なぜだ?」
なぜって? そりゃぁ……、
「……ヒロは、オレの『相棒』だから」
ガロンは諦めたような表情をして、頭を横に振り、言った。
「そこに立て」
「……はい」
装置に立つ。テレポートって、一体どんな感覚だろうか。今までファンタジーの世界だけだと思っていたテレポート。まさかこのオレが体験するとはな……。ガロンがスイッチを押した。それといった感覚はない。ただ、目の前がちかちかしている。それと同時に、少し寒気が体中を這う。
そして、次に瞬きをした時、オレはあの殺風景な荒地のど真ん中に立っていた。
次回予告:次回、遂に第一部最終回!!




