第二十二話「知樹の決断……!!」
「『死を求めし者は死に誘え』。僕は死にたいと思っている。だったら正世へ戻って死ぬべきなんだと思います」
知樹はそう切り出した。まぁ言えてるな。ヒロは驚きを隠せないのか目を見開いている。
「……そう…ですね。それが一番いい手立てかもしれません」
「おい、ヒロ……」
「ですが、何も今いかなくてもいいじゃないですか?」
オレは極力黙って二人の対話を聞く事にしよう。いまさらだが、これは二人の問題だ。
「いや、いいんです。死ぬ覚悟は出来ています」
「……!」
ヒロの顔に戸惑いと驚愕の表情が順に表れた。ヒロは小さく笑って言った。
「どうやら何を言っても無駄のようですね」
「そんな……」
「どっちにしろ、決めるのは知樹ですけどね。明日の朝、ガロンの部屋へ行ってどう答えるか」
「……そうだな」
「でも、本当に戻るんですか?」
知樹はしっかりとした眼差しでヒロを見ていた。
「はい。では、僕は部屋に戻ります」
ヒロは溜息をついて言った。
「もう本当にこれ以上何を言っても無駄のようですね。もういいです。知樹、お前の勝手です」
知樹は頷き、扉を開け、この部屋を去っていった。
「オレはもう何も言わないことにした。お前ら兄弟のことはお前らで決めてくれ。もちろん知樹には留まっていて欲しい」
「はい」
ヒロはそう答えたものの、やはり少し気が重いのだろうか。少し、そっとしておくか。
オレは部屋を出た。
深呼吸をする。
「はぁ」
あ〜あ、色々話を聞かされて疲れたな。ちょっと散歩でもしてみるか。
そう思い、オレはポケットからガロンにもらった館内の地図を広げた。ふうむ。ここは寝室ばかりのようだな。このまま真っすぐ行って……右に曲がってずっと行けばガロンの部屋に行き着く。……ガロンに用はない。まぁいい。適等にいこう。
次回予告:知樹の答え……!?




