第二十話「灯家の家訓」
「秘密兵器? まさか……原爆の事かよ?」
はい、とヒロはうなずいた。嘘だろ?
「もし、原爆の事が彼によって漏れ出していたら、日本はアメリカに負ける可能性は低かったでしょうね」
「なぜそう言い切れる?」
「僕の独断ですよ。気にしないでください」
そう笑う。
「それで、どうしてお前の一族の話になってる」
「……そうですね。またあなたには今度でいいでしょう。今は知樹に対して言いたい事があったんです」
全く、遠まわしに言う奴だな。何だ? 灯家の家訓でも教える気か?
ヒロは知樹の方を向いて言った。
「知樹、灯家の家訓を全て答えなさい」
なんとその通りだった。家訓……オレの家にはなかった、はずだ。うん。
「え、あ、はい」
知樹は少々戸惑いながら答えた。家訓は全部で三つらしい。
彼が言うのはこんなものだった。
一、死を助長するような事は言わざるべし。
二、我慢しろ。
三、やるべし事は全うせよ。
「……以上のはずです」
なんともありきたりな家訓だな。まぁ、言えてるが。ヒロはうなずいて、
「ええ、確かにそうです。ですが、あなたはもう一つの家訓を知らない」
「……え?」
なんとまぁ。兄だけが知っている秘密ねぇ? なんていうか、なぁ。
「これは代々の長男にだけ伝承される家訓です。本来ならば弟などに教えてはいけないのですが……」
「ならどうして今さら?」
と俺は問う。ヒロはフッと笑って答えた。
「どうせ知樹は死ぬのでしょう?」
次回予告:ヒロの放った言葉にレンが……!!




