第十四話「二度目の……!」
ハテナマークがオレの顔に浮かんだ矢先、慌ててガロンは付け加えた。
「あっ、いや、そういう意味じゃない。ただ、終わりって事があるかもな、っていう事だ。この世界が壊れるだなんて、まずあり得ねえから」
だよな。ビビらせるなってんだ。
ヒロが再び口を開く。
「……では、これから僕達はどうすればいいでしょうか?」
「んー……そうだな。まずァ、甲板に行ってくれや。甲板は鏡士の練習場の一つになっている。そこで指導してるディーナっていう男に事情を説明してくれ。そうした──」
落雷のような空気の裂ける音がその場を貫いた。オレは反射的に叫んだ。
「なっ、何だ!?」
襲撃か?! ヒロは目を見開き、あたりを見回した。
ドン!
ついオレはビクッとなってしまう。ガロンだ。そばの机を手で思いっきり叩いたのだ。
「またかあのバカ野郎ッ!!」
そういうなり彼はズンズンと部屋を出て行った。畜生、オレたちはどうすりゃいいんだ。
「おいヒロ! どうする!」
「待ってください。あんな感じの音、前にも聞いたでしょう?」
「前? ……あの大爆発か?」
ヒロはこくりと頷き、すぐさままわれ右、ガロンを追っていった。オレもヒロに続く。
そこに広がっていた光景はまさに地獄絵のような……ものではなく、少々黒煙が立ち込めているだけだった。一体何が爆発したっていうんだ? そこにいた何人かの人──鏡士見習い達は一人の少年を怒鳴り散らしていた。
「ばっか野郎! 今日で二回目だぜ?!」
「あんな音出してくれたら、こっちの心臓が持たないんだ!」
視線を急いでめぐらせる。怒鳴っているのは四人。気づくとガロンもそこにいた。オレの隣にも一人いる。いや、こいつはヒロだ。ん? その隣にも一人いるじゃないか。
背は高い、二メートルはありそうだが、その割には体は痩せ細っている。口には煙草を加え、殺伐とした雰囲気をかもしだしているこの男。ディーナとかいう奴か?
「どうすんだ?」
オレは怒鳴り散らされている奴を一心に見つめるヒロに呟いた。しかしヒロからの返事はこない。どうした?
「おい、ヒロ!」
オレは不審に思ってヒロをのほうに向いた。
「──ヒロ?」
彼は棒立ちしていた。怒鳴られている少年を見つめてだ。どういうことだ。ヒロがこんなになってるのは二回目だ。前はガロンが現れた時……あやふやに何か呟いていた。今は硬直しているように呆然と突っ立っている。どうなってる。
「おい、ヒロ!!」
オレはヒロの肩を掴んだ。ヒロは目を見開いて小さく呟いた。耳を傾けてなんとか聞き取れる程度の音量だった。怒鳴り声にかき消されていたところもあるだろうが、彼はこう呟いた。
「なぜ……知樹が……なぜここに?」
次回予告:驚愕の再会、そして真実!!




