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鏡界の境界  作者: 嵐風颪
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第十一話「鏡士」

「オレのお前らに対する用とは──」

 コホン。そこでヤツは咳払いをした。何が飛び出してくる……? こんな時は大抵が驚きの一句だ。……さぁ、くる。

「鏡士の育成、だ」

 ん? この響きはどこかで聞いた事が……。

「キョウシ……? モノを教える教師の事か?」

 というオレの疑問にヒロが即答する。

「違います、鏡の戦士……と書いて鏡士、です」

 分かりづらいな。しかしまた何だ。鏡士って……。

「さっき僕が言おうとしたのはこの事ですよ。僕は鏡士である……と言いたかったんですが。……もちろん、あなたもその鏡士ですよ」

 ……鏡士……。オレが? でも一体何をやりゃぁいいってんだ。『案内人』、あんたヒロにだけ説明しすぎだぜ? ……あぁ、そうか。オレはいまいち記憶力が良くないからな。

 ガロンがさて、と呟いて、

「お前たちはこの──」

 彼は後ろを振り向きそこにあるどでかい舟を見上げ、話を続けた。

「──空船に乗ってもらい、鏡士として活動できるようになるまで育てる。まぁそれがオレの目的だ」

 鏡士としての活動……。一体何をすればいいんだ?

「それはまた後だ後。一気に話すとォ、こんがらがるかも知んねぇしな。さ、ついて来い」

 と言ったらすぐさま方向転換、そして空船とかいうのに向かって歩いていった。オレはヒロに問いかける。

「おい、これは信じていいのか?」

「ええ、大丈夫です。『案内人』はそう言ってました」

「……お前の時の『案内人』はえらく親切だな」


「さァ食え! そして寝ろ!」

 俺たちは空船に入ってすぐ食堂に案内され、豪華な食事を目の前にした。おおお。もてなしが良すぎる。ふうむ。このガロンとかいう人、割と信用できそうだな……と、飯で釣られるほどのオレではない。オレはしばし怪訝な目でその食事を見つめた後、ヒロに無言で聞いた。ヒロは微笑み、彼の前におかれたパン(らしきもの)をパクリとかじった。オレもそれに倣う。ふむ。なかなかいけるぞこのパン(らしきもの)。

 ガロンはハッハッハと豪快に笑いながら食事をどんどん口にしていった。ほんと陽気な人だよ。

 ふむ、やはり今日は疲れたな、と食事を食べ終わってから思う。今日っていつからだ? この鏡界に巻き込まれたのが……16日の夜だっけか。で、それからあの山から下りて数時間……。さすがにこれはきついな。

 オレは一つ欠伸をする。

 ガロン率いる空船のスタッフの皆さんは結構気が利いていて、食事が終わる事を告げるとすぐさま寝室に案内してくれた。その寝室とは簡素なもので、ベッド、机、椅子、そして窓があるくらいの部屋だ。

 ともかく、寝るか。オレはベッドに滑り込む。

 はぁ、疲れたな。ほんっと。

 あーあ。

次回予告:次回……レンとヒロが聞くものは?

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