7 骨身を削る対峙
やってきたのは骨だった。つまり骸骨だ。右手に盾を、左手に剣を持っている。
外見は私とほとんど変わらない。武器を装備しているかどうかの違いくらいだ。
骨は剣と盾を構えつつ、ゆっくりと私に近づいてきている。
(初めて見る相手だが、もしかすると話が通じるかもしれない。そうだ、対話は大事だ)
正直言うと怖かったのだが、私はありったけの勇気を振り絞り、骨に話しかけてみた。
「そ、そこで止まってくれ」
すると、骨は立ち止まった。構えは解いていないが、話を聞いてくれているのかもしれない。これは…脈ありか?
私は言葉を重ねた。
「や、やぁ。初めて会うが、どこの誰だ?」
おかしなことは聞いていないはずだ。事実、私達は今初めて会ったのだから。
しかし、骨は走り始めた。ものすごい勢いでこちらに向かってくる。ヒィッ!
「何故だ!?」
本当に意味が分からない。どうしてなんだ。
剣を構えて走ってくる骨には、こちらを害する意思がある。表情は骨ゆえに分からないが、絶対にそうだ。
どうにかしないといけないが、尻は椅子にへばりついて動けない。
逃げることも叶わないとは、本当に詰んでいる。
私は泣きたくなった。涙は出ないけれど。
最後の抵抗とばかりに身体を動かそうとしてみるが、やはり動けない。
そうこうしているうちに、骨は椅子の近くまでやって来て、左手の剣を振りかぶった。
(斬られる…!)
そう思った瞬間、目の前が真っ黒に染まった。
2018/07/14
加筆修正。415字→587字