6 新たなる者との邂逅
私は相変わらず、ぼろくも豪華な椅子に座っていた。意外なことにこの椅子、座り心地が良い。気が付くと眠りこけてしまっていることがあるくらいだ。
ピッギーは今、食べ物を獲りに行っていて、ここにはいない。私一人だ。
あれからピッギーとは、この場所で共に生活している。
唯一離れ離れになるのは、ピッギーが食べ物を獲りに行く時くらいだな。
「せめて椅子から離れることができれば、私も一緒に行けるのだが…」
一旦諦めてからも何度か挑戦してはみたのだが、この椅子は私を解放してくれなかった。立とうとするが立てない、その繰り返しだった。もどかしい限りだ。
しかし、進展もあった。それはピッギーに背中を押してもらった時のことだ。
「ぴっっっぎー!」
「…ふぁっ!?」
なんと、一瞬ではあったが、尻が椅子から離れたのだ。すぐに元の状態へと戻ったが、あの解放感は嬉しかった。
それから、日に何度かピッギーに背中を押してもらうことが日課となった。
少しずつだが、椅子から離れられる長さが伸びているような、そんな気もする。実際は錯覚なのかもしれないが…。
…いや、離れているに決まっている。私が決めた、今決めた。
まぁ、私自身の感覚は信じられないが、ピッギーのことを信じよう。あいつがいれば、私は大丈夫だ。
「早く帰ってこないだろうか…」
帰ってきて、食事の時間が終わったら、もう一度背中を押してもらおう。
そんなことを考えながら、私はピッギーの帰りを待っていた。
しばらくして、扉がズズズと音を立てて開き始めた。
私はピッギーが帰ってきたのだと思っていたが、何だか様子が違う。
いつもより、扉の開き具合が大きい気がするのだ。
(大物でも獲ってきたのだろうか?)
私はあの青い身体が見えるのを、今か今かと待った。
しかし、現れたのは剣と盾を持った骨だった。
…なにやつ?
2018/07/13
加筆修正。669字→748字