25 黄金祭~優れたる御業~
<前回のあらすじ>
ポプラが住み着いて一月。
ユグドラシルの木も大きくなったので、宴でもするか。
ポプラが料理を作ってくれるらしいが、心配だ……。
日が暮れてから、私たちは揃ってユグドラシルの木の下にやって来ていた。
魔法で周囲に明かりを浮かせているので、そこまで暗くはない。
私は料理を並べるためのテーブルを用意するため、地面をいじった。
それぞれの身長には差があるので、私やツルギ用のものと、ピッギーやコボルトたち用のものをそれぞれ用意する。表面は平らにならした。光沢が出るまで、とは言えないが、そこそこ綺麗に仕上がったように思う。
「よし、料理を並べてくれ」
「分かったわ」
ポプラが皿に載った料理を並べていく。とても美味そうな料理たちだ。
皆が解散した後、私はポプラを監視、もとい見守っていたのだが、自己申告通り、彼女の料理技術は優れていた。
料理を並べ終えたところで、皆に水の入ったコップを持たせ、乾杯の音頭をとる。
「では、ユグドラシルの木の生長を祝って、乾杯!」
「乾杯!」
「ぴぎー!」
「わふー!」
「かんぱい!」
「かんぱーい!」
皆の視線は料理に向けられていたので、前口上は短くした。
「さぁ、ポプラの作ってくれた料理を食べよう」
「リンゴのパイを作ったのよ!」
そこからは宴だった。皆、美味いものを食べることでができて嬉しそうだった。
料理を作ったポプラは、ピッギーやコボルトたちに囲まれていた。美味い美味いと褒められているらしい。彼女の顔はにやけている。嬉しそうだ。
私はそんな彼等を、少し離れた場所で見守っていた。
しばらくそうしていると、忘れていた記憶の断片がよみがえり、目の前の光景と重なって見えた。
親しい誰かと、紅茶を飲みながら談笑するという、何でもない記憶。
それは、いつかの夢にも見た、懐かしい思い出だった。
突然のことに固まったままでいると、ポプラが皆の輪から抜けてこちらへとやって来た。
「どう? 楽しんでる?」
「あ、あぁ、勿論だ。美味い料理をありがとう、ポプラ」
「ふふ、どういたしまして」
どうにか答えを返すことができたが、少しつまってしまった。
会話はそこで途切れ、私は空を見上げた。ダンジョン内の空にも、月が輝いていた。やわらかな光が静かに降り注いでいる。
「ねぇ、骸骨さん」
「何だ?」
横で同じように月を見ていたポプラが、口を開いた。
私は月を見つつ、それに応えた。
「あなたは、最下層に向かうべきよ。忘れた記憶を取り戻したいのなら」
驚いて、私は隣に目を遣った。ポプラは真剣な顔をして、私を見ている。
「……最下層に行けば、記憶を取り戻せるのか?」
「恐らくね。話せば長くなるんだけど」
私は頷き、ポプラに続きを促した。




