21 続続・過ぎ去りし日の声
お菓子の香りに誘われて、今度は小さな客がやって来た。
「あら、あたしに黙ってお菓子を食べていたの?」
「妖精さん、いらっしゃい。私が作ったのだけど、良かったらどうぞ」
「え? これって、契約者が料理人に作らせたものじゃないの?」
「そうだ、今回は彼女が作ってくれたんだ。私が君に黙ってお菓子を食べてたわけじゃないんだぞ?」
「そうだったの。じゃあ、許すわ」
「理解してもらえて嬉しいよ」
「どうぞ、紅茶です」
「ありがとう」
「焼き菓子はたくさんあるから、いっぱい食べてね」
「ええ、もちろん」
「ところで、今日はいきなり来たが、何か用でもあったのか?」
「特にこれといって用はなかったわ。でも、どこからかお菓子の匂いがしてきたから……」
「君の鼻は凄く敏感なんだな」
「特定のものに関しては敏感よ」
「分かります。私も甘いものの匂いには敏感です」
「あら、メイドさんも?」
「もちろんです」
「それで言うと、我が騎士は私の匂いに敏感だな。遠く離れていても、居場所が分かるらしい」
「守る対象ですから」
「あなたって独特の匂いがするのよね」
「なに? 君も私の匂いに敏感なのか?」
「確かに、契約者の匂いは独特ね。魔力の質が関係しているのかもしれないわ」
「そうなのか。……臭くは、ないんだな?」
「ふふふ、どうかしら?」
「臭うのか? ど、どうなんだ?」
「私の口からは何とも……」
「主のは独特です」
「そうね、独特ね」
「曖昧にしてはぐらかすつもりか……」
そうして、本当のところが気になっている時、あいつの声が聞こえた。
「陛下、早急にお尋ねしたいことが……」
そこで私は目が覚めた。




