20 黄昏時の邂逅
<前回のあらすじ>
これまでのことを説明。
呼び名は「骸骨さん」に決定。
【ユグドラシル】の種を植えて、二人は宮殿へ帰った。
空は赤く染まり、時刻はすでに黄昏時だ。宮殿内に穏やかな赤が満ちている。
私とポプラは、大広間で魔法談義をしていた。
そうして会話を弾ませていると、外に出ていた皆が全員一緒に宮殿へと戻ってきた。
ポプラの姿を目敏く見つけたツルギが、私に問いかけてくる。
「主、そちらの小さいのは?」
「小さくて悪かったわね!」
初っ端から険悪な雰囲気になってもらっては困るので、私は二人の間に割って入る。
「ツルギ、『小さいの』と言っては彼女に失礼だぞ」
「そうよ! 失礼よ!」
「む……それは失礼した。すまない」
目をぱちくりするポプラ。ツルギの態度に驚いたのだろう。
しかし、ポプラの硬直は一瞬で、すぐに言葉を紡いだ。
「素直なのね。謝れるということは良いことだわ。許します」
「ありがとう」
良かった、危機は去った。
お次はピッギーがポプラに話しかける。
「ぴぎー」
「あら、可愛いスライムさんね。あたしはポプラ。よろしくお願いするわ」
「ぴぎー!」
「そう、ピッギーっていうの。ねぇピッギー、あなたの頭の上に乗ってもいいかしら?」
「ぴぎー? ぴぎー!」
「良いの? ありがとう……あぁ、やっぱり気持ち良いわ」
こちらは何事もなく挨拶が済んだ。ポプラはピッギーの頭の上で腹ばいになっている。彼女の小さな体を柔らかく包み込んでいて、とても気持ち良さそうだ。
最後はコボルトたちが自己紹介を始める。
「おれ、でゅーく。こぼるとの、おさ。うしろの、なかま」
「デュークね。あたしはポプラよ。よろしく」
この二人も無事に自己紹介が済ませ、握手をしている。
「ほう、これは……」
ポプラはデュークの手の感触を楽しんでいるようだ。分かるぞ、ポプラ。コボルトの手はプニプニして気持ち良いもんな。
コボルトの手を堪能したポプラはその後、デュークの後ろにいたコボルトの手を見た。正確には、その手に握られていた光沢のあるものを見ていたのだが。
「それは何?」
「あ、あの、どろだんご、です」
「え? そんなに綺麗なのに!?」
そうだろうそうだろう。あれを見れば、泥だんごのイメージが崩れるに違いない。光沢のあるアレはもはや、宝石とも呼べる代物だ。
「ほしい、なら、あげる」
「本当? ありがとう!」
ポプラはコボルトの一人に泥だんごをもらって、瞳を輝かせながらそれを眺めている。よっぽど嬉しいのだろう。
「もらうだけじゃ何だか悪いわ。何か、あたしにできることはないかしら?」
コボルトの一人は少し悩んでから答える。
「じゃあ、なにか、もの、つくりかた、しりたい……」
「お安い御用よ!」
良かった、ポプラは他のコボルトたちとも打ち解けたみたいだ。小物の作り方は明日以降に教えるらしい。
「自己紹介も済んだことだ。夕食にするか」
ポプラという新たな仲間を得た私たちは、デュークたちが採ってきてくれたリンゴを分け合った。ポプラはリンゴが気に入ってくれたようで、おかわりをしていた。
いったい体のどこに納まっているのか、私にはそれが不思議だった。




