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朽ちた玉座の骸骨王  作者: 半信半疑
第一章
4/52

4 呼び声に応えし青

 停止した思考をわずかに稼働させ、私は音のした方を見た。

 条件反射のようなものだったかもしれない。しかし、それで良かった。

 何故ならそこには、信じられない光景があったからだ。


「と、と、扉が…あ、開いている…」


 何日も見つめた、あの重く閉ざされていた扉が、開いている。

 私の心を折った、あの扉が。

 途端、私の身体には力が漲り、思考がハイになった。依然として椅子からは離れられなかったが、そんなことは些細なことだ。


「どこだ? いったい誰が?」


 必死で探す。望んでいた存在が、ようやく姿を見せたのだ!

 顔をぶんぶん振り、視線を動かす。がしかし、その存在はどこにも見当たらない。

 頭上まで確認しても、そこには何もいない。幽かに見えた一筋の光がだんだん消えていく錯覚に陥る。

 私は深い落胆を抱え、視線を下げる。

 と、


 ぽよん。 


 柔らかい感触と共に、大腿骨に重みを感じた。

 見ると、そこには青い何かがあった。そうとしか形容できない何かだ。

 青い何かは、左右にゆっくりと揺れている。私が動かしているのではない。青い何かが、自分で、自分の力で動いているのだ。


 もしかして…。

 私は恐る恐る、青い何かを人差し指で突いてみた。

 ツンツン。


「ぴぎー!」


 こいつ、鳴くぞ!

 生きてる、生きているんだ!

 生き物なんだ! 私以外の生き物なんだ!!


 思考がその事実を理解するやいなや、私は青い何かを抱きしめた。


「よく来てくれた! 本当によく来てくれた! う、うぅ…」


 私は青い何かを抱いたまま、こらえきれずに涙を流した。

 嬉し涙だった。

 それからしばらく、私は泣き続けた。


2018/07/12

 加筆修正。555字→642字

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