15 犬群と平穏~奇跡の水と天上の果実~
<前回のあらすじ>
「おれたち、なにか、てつだい、したい」
「では、果樹園の管理をしてもらおうか」
この後めちゃくちゃ管理した。
宮殿で魔法の練習をしていると、あっという間に時間が過ぎた。
時刻は既に昼だ。何かに熱中していると時間が過ぎるのが早いというが、あれは本当だったのだな。
私は行使していた魔法を止めて、隣で戦闘訓練をしていた二人に声をかける。
「ピッギー、ツルギ、昼になったから果樹園へ行こう」
「分かった」
「ぴぎー」
私たち三人は、仲良く連れ立って果樹園へと向かった。
◇◆◇
「あるじ、おかえり」
「ちょっと違う気もするが、まぁ、ただいま」
果樹園の入り口に着くと、デュークたちが手迎えてくれた。聞くと、私たちがこちらに来るのが匂いで分かったという。私は、自分にも匂いがあるのだと驚いた。骨に何か染み込んでいるのか?
「私に匂いがあるのか?」
「におい、ある。まりょく、それぞれ」
「あぁ、そっちの方か……」
体臭に気を使うべきかと思ったが、魔力の匂いか。というか、魔力に匂いがあるとか、初めて知った。面白いな、魔力。
「魔力の匂いはさておき、果樹園の管理の方はどうだ? やれそうか?」
「だいじょうぶ、たのしい」
楽しいのなら良かった。
「でも、ひとつ、ききたい」
「なんだ?」
「きに、みず、いいのか?」
あぁ、水ね。
「私たちが最初にここへ来た時、リンゴは既に実っていた。しかも、食べてもすぐに実るんだ。水をやることを考えなかった。そういうものだと思ったからだ」
「そうか」
「しかし、確かに、水をやらなくても良いというわけではないのかもしれないな」
私は魔法で水を生み出し、近くの木の根元にかけてみた。
途端、いきなり木が光った!
……ということもなく、木の見た目に変化は見られなかった。
そこで、木になっていたリンゴを一つもぎ取り、かじってみた。
「う……」
「う?」
「うーまーいーぞー!」
何だこの美味さは! まるで天上の食べ物のようだ!
私は思わず、口からビームを出しそうになった。
「ほら、お前たちも食ってみろ!」
それぞれが木に成っているリンゴを手に取り、かじりつく。
「美味い!」
「ぴぎー!」
「わふー!」
「うまい!」
「「「「「「「「「わふ!」」」」」」」」」
以後、果樹園の木には水を与えることが決まった。
だが、この話には続きがある。
実は、魔法で水を出せるのが私しかいなかったのだ。
皆が魔法を習いにきたが、残念ながら誰も水の魔法を使えなかった。ので、私が三日に一度、水をまくことになった。
今は、水をまく際の皆の目が恐い……。
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