10 慈悲深き救いの手
<前回のあらすじ>
目の前に現れたのは大きな黒い蜘蛛。
コボルンと似た姿の犬たちを襲っていたところ、これを撃退。
「しょうり」
戦闘は終わった。あっさりとした結末だった。些かあっさり過ぎる気もするが、倒せないよりはいいだろう。
さて、次にすることは決まっている。後始末だ。
「さてと…」
私は、こちらを見つめる犬たちの集団の元へ足を運んだ。まぁ、足を運ぶと言いつつ、浮遊して行ったのだが。
彼等の近くへ行くと、一匹の犬が前に進み出てきた。他の犬たちに比べて体格が良いが、彼等の代表、なのだろうか。
「あなた、てき?」
「いや、私は君たちの敵ではない」
尋ねてきた代表犬に、私は答えた。
代表犬は安堵の溜息をもらした。不安だったのだろう。助けた後に攻撃を行なう野蛮な輩もいるからな。勿論、私たちは違うが。
「よかった。なら、あなた、だれ?」
「私は、あそこにいる彼等と一緒に、このダンジョンでのんびり過ごしている者だ」
「のんびり?」
「そう、のんびりだ」
私が再度答えると、代表犬は黙り込んでしまった。何か気に障ることでも言っただろうか……? 今度は私が不安になった。
けれども、その不安はすぐに解消された。代表犬が再び話し始めたからだ。
「おれたち、あなた、ついていく、だめか?」
「ついていくって……私たちとか?」
私が聞き返すと、代表犬は苦い汁でも飲んだような顔になった。
「おれたち、いえ、こわされた。けが、おおい。おそわれる、つぎ、ない」
代表犬の沈んだ顔から目を逸らすと、完璧に破壊された、竪穴住居のようなものが見えた。さっきの黒蜘蛛の仕業だろう。その近くには、代表犬の仲間である犬たちがいる。互いの怪我の様子を確かめあっているようだ。九人いる彼等は皆、傷だらけである。痩せぎすな体で、放っておくと死にそうだ。
私は考えた末、身内の三人に相談することにした。代表犬にはちょっと待ってもらうように言い、三人を集めて話をする。
「私は彼等を、私たちの宮殿に連れて行こうと思うのだが……」
「それは、いいこと。けらい、ふえる」
「ぴぎーぴぎー」
「わふーわふん」
三人は、彼等を連れて行くことに嫌ではないらしい。若干一名、ちょっと考えが飛躍してるが、まぁ良いだろう。
私は代表犬の元へ戻り、了承する旨を伝えた。
「ありがとう、ありがとう」
目に涙をためて感謝を言う代表犬。
私は尋ねる。
「お前たち、名はあるのか?」
「……なは、ない。が、しゅぞく、わかる。こぼると、だ」
「ではまず、お前に名をつけよう」
これから一緒に住むのだから、いつまでも【代表犬】では都合が悪い。
「何か希望はあるか?」
「かっこいい、やつ」
かっこいい、か。それなら……。
「【デューク】ってのはどうだ?」
「いい。おれ、でゅーく。よろしく」
というわけで、代表犬改め、デュークが仲間に加わった。




