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朽ちた玉座の骸骨王  作者: 半信半疑
第二章
34/52

10 慈悲深き救いの手

<前回のあらすじ>

 目の前に現れたのは大きな黒い蜘蛛。

 コボルンと似た姿の犬たちを襲っていたところ、これを撃退。

「しょうり」

 戦闘は終わった。あっさりとした結末だった。些かあっさり過ぎる気もするが、倒せないよりはいいだろう。

 さて、次にすることは決まっている。後始末だ。


「さてと…」


 私は、こちらを見つめる犬たちの集団の元へ足を運んだ。まぁ、足を運ぶと言いつつ、浮遊して行ったのだが。

 彼等の近くへ行くと、一匹の犬が前に進み出てきた。他の犬たちに比べて体格が良いが、彼等の代表、なのだろうか。


「あなた、てき?」

「いや、私は君たちの敵ではない」


 尋ねてきた代表犬に、私は答えた。

 代表犬は安堵の溜息をもらした。不安だったのだろう。助けた後に攻撃を行なう野蛮な輩もいるからな。勿論、私たちは違うが。


「よかった。なら、あなた、だれ?」

「私は、あそこにいる彼等と一緒に、このダンジョンでのんびり過ごしている者だ」

「のんびり?」

「そう、のんびりだ」


 私が再度答えると、代表犬は黙り込んでしまった。何か気に障ることでも言っただろうか……? 今度は私が不安になった。

 けれども、その不安はすぐに解消された。代表犬が再び話し始めたからだ。


「おれたち、あなた、ついていく、だめか?」

「ついていくって……私たちとか?」 


 私が聞き返すと、代表犬は苦い汁でも飲んだような顔になった。


「おれたち、いえ、こわされた。けが、おおい。おそわれる、つぎ、ない」


 代表犬の沈んだ顔から目を逸らすと、完璧に破壊された、竪穴住居のようなものが見えた。さっきの黒蜘蛛の仕業だろう。その近くには、代表犬の仲間である犬たちがいる。互いの怪我の様子を確かめあっているようだ。九人いる彼等は皆、傷だらけである。痩せぎすな体で、放っておくと死にそうだ。


 私は考えた末、身内の三人に相談することにした。代表犬にはちょっと待ってもらうように言い、三人を集めて話をする。


「私は彼等を、私たちの宮殿に連れて行こうと思うのだが……」

「それは、いいこと。けらい、ふえる」

「ぴぎーぴぎー」

「わふーわふん」


 三人は、彼等を連れて行くことに嫌ではないらしい。若干一名、ちょっと考えが飛躍してるが、まぁ良いだろう。

 私は代表犬の元へ戻り、了承する旨を伝えた。


「ありがとう、ありがとう」


 目に涙をためて感謝を言う代表犬。

 私は尋ねる。


「お前たち、名はあるのか?」

「……なは、ない。が、しゅぞく、わかる。こぼると、だ」

「ではまず、お前に名をつけよう」


 これから一緒に住むのだから、いつまでも【代表犬】では都合が悪い。


「何か希望はあるか?」

「かっこいい、やつ」


 かっこいい、か。それなら……。


「【デューク】ってのはどうだ?」

「いい。おれ、でゅーく。よろしく」


 というわけで、代表犬改め、デュークが仲間に加わった。


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