1 過ぎ去りし日の声
「あなた、またそんなところで寝ていらっしゃるの?」
「あぁ、君か…。うむ、この椅子に座っていると、どこであっても自然と眠くなってしまうんだ」
「そうなの? ちょっと座らせて頂戴な」
「いいとも」
「…あら、確かにこれは、眠気を誘う椅子みたいね」
「だろう? 私の最高傑作と言っても過言ではないよ」
「そうかもしれないわね」
「そこは断言してほしかった」
「ふふふ」
「ところで、君は何しにここへ?」
「あなたをお茶会に誘おうと思って」
「ほう、それはいい。丁度喉が渇いていたところだ」
「そう言うと思っていたわ」
「すでに用意していたんだな」
「自分でね。運ぶのは彼女に任せたけれど」
「焼き菓子と紅茶です」
「うむ、ありがとう」
「ありがとね」
「いえいえ」
「それにしても、寝ていたのがこの場所で良かった。綺麗な花々を見ながら飲む紅茶はすごく良いな」
「えぇ、そうね。いつもより美味しく感じるわ」
「そうですね、とても美味しいです」
「…今度、あいつを茶会に誘ってみるか。いつも眉間に皺寄せて唸っているから、偶には息抜きをさせてやらないとな」
「それって、あなたの左腕である、あの人のことを言ってるの?」
「今の私の言い方で、当てることができるとは思っていなかった」
「そう? 分かりやすかったけれど」
「そうですね、あの方はいつも、同じような顔で歩いていらっしゃいますから」
「そうよね、分かりやすかったわよね」
「ええ」
「あなたもあの人を見習って、もう少し苦悩しなさいな」
「私はどちらかと言うと、今みたいにのんびりと生きるのが好きなんだよ」
「そうね、あなたはそういう人だったわね」
「…こんな日々がずっと続くと良いな」
「そうね、本当にそう思うわ」
「そうですね、本当に」
そこで私は、目が覚めた。
お待たせしました。
区切りの良いところまで書けたので、投稿していきます。




