23 そして玉座は主を迎える
真っ暗闇かと思われた秘密の穴だが、中は意外にも明るかった。と言っても、ぼんやりと明るい感じだ。扉の部屋と同じくらいの明るさである。光る花も咲いており、全く同じと言っても過言ではないだろう。広さもそこそこで、椅子を運び込めるくらいには余裕がある。ツルギと横並びすると、ちょっと狭く感じるくらいか。
さて、この穴は一体どこにつながっているのやら…。
「あるじ、ひかり」
先頭を歩いていたツルギが、指をさして言った。
見ると、確かに光が見える。あそこが出口だろうか。
「行ってみよう」
「ぴぎー」
そして私たちは、穴のつながる先を目にした。
◇◆◇
そこは光に溢れていた。地下であるはずなのに、まるで地上と変わらない明るさだ。見上げると、太陽のようなものが確認できた。あれが光源か。
足元には色とりどりの花々が咲き誇り、私たちは花園に迷い込んでしまったかのような錯覚に陥った。
「おぉ」
「はな、いっぱい」
「ぴぎゅぴぎゅ」
鮮やかな景色に見惚れること、しばらく。充分堪能したところで、私たちは動き出す。まだ、この場所の全てを見たわけではないのだ。
私たちは風に揺れる花々をかき分け、奥へ奥へと進んでいった。
すると…。
「何だ? …宮殿?」
驚愕する私たちの目の前に、まるで宮殿のような、巨大な建物が現われた。私たちは抑えきれぬ好奇心に従い、中へと足を踏み入れた。
しかしこの宮殿、ボロボロである。ところどころ壁が欠けているし、床が剥げている。
そんなボロボロ宮殿の中を進んでいくと、やがて、大広間のような場所に着いた。
「ぴぎー! ぴぎー!」
「おー、ひろい」
ピッギーは興奮したのか、大きく跳ねている。ツルギも、右に左に首を振り、広間を見渡していた。
そんな中、私は椅子を後ろに浮かせながら、とある場所へと向かった。気になったことがあったからだ。
「溝があるな…」
私は三段ほどの階段を上り、大広間を見渡せる一点に着いた。
その場所をよく見ると、足元に溝があるのが分かった。
私は何かに導かれるように、宙に浮かせていた椅子の脚をその溝にはめた。
「そしてピタリとはまるという…」
椅子が光ったり輝いたり、綺麗になったりはしなかったが、あるべきものがあるべきところに納まった感じだ。
私はそのまま、椅子に腰を落ち着けた。
「おぉ、圧倒的な安心感」
(ここだ、安息の地はここだったのだ…)
胸中でそう思っていると、ピッギーとツルギが近寄ってくる。
ピッギーは私の膝上に乗り、ツルギは正面に立った。
「あるじ、おうさまみたい」
「ぴぎぃー」
ふはは、苦しゅうないぞ。
「よし、今日からここに住むぞ! 楽しいスローライフを送るんだ!」
「おぉー」
「ぴぎー!」
私たち三人は、朽ちた玉座で拳を掲げ、互いの顔を見ながら笑いあった。
私たちの物語はこれからだ!
次話は設定集のようなものです。
2018/07/26
加筆修正。953字→1128字




