22 俯瞰する王と秘密の部屋
私たちは身を寄せ合い、目の前の球体に映る映像を見ていた。
「どうやら戻るようだな」
「もどる」
「ぴぎー」
【フロート】の魔法を使って椅子ごと移動する方法を思いついた私は、頼もしい二人と共に、すでに扉の場所から脱していた。扉の外に椅子を運べるのかは問題だったが、幸いにして何とかなった。
現在位置は、扉の場所から二層ほど下の階層にある大空間だ。周囲に敵影はない。
というのも、出てきた奴等は皆、私たちが倒してしまったからだ。結構な数が襲ってきたが、私たち三人にかかればどうってことなかった。
そして今、扉の部屋に残してきた【ヴィジョン】の眼球を通して、人間たちの様子を見ていたというわけだ。ツルギもピッギーも、食い入るように魔法の眼球を見つめている。
以前は魔法を使う私しか眼球の視点を見ることができなかったが、今は応用によって、私以外の者にも見せることができるようになった。これも、強くなったおかげだろうか。
「偽装工作をしてはみたが、効果があったのかは微妙なところだな」
「にんげん、うたがい」
「ぴぎゅー」
扉の部屋から出る際、私は一計を案じた。『巨大な火の魔法で椅子もろとも私たちが消し飛んだ』さまを演出したのだ。そのまま誰かに倒されたと勘違いしてくれれば良かったのだが、人間たちは疑っているらしい。意外に疑り深いな。
「まぁ、そのうち勝手に納得するだろう」
時が経てばなんとかなるはずだ。人間は自分の都合のいいように記憶を改ざんする生き物だからな。
「まぁ今はそんなことより、早く安全地帯を見つけなければならないが…」
「あんぜん、だいじ」
「ぴぎー」
ツルギと二人して、腕を組んで唸る。ピッギーも唸った。
そう、安全は大事だ。扉で守られているようなところがどこかにないだろうか…。
私たち二人が考え事をしている間、ピッギーはぽよんぽよんと地面を跳ねて遊ぶことにしたらしい。
いや、この大空間の安全を確かめているのかもしれない。なんて良い奴なんだ、ピッギー。
なんて思っていると、ピッギーが壁を叩きはじめた。壁の強度を確かめているのだろうか。そうだな、壁の強度も大事だ。ちょっと叩いたくらいで崩れ去るほどに脆い壁では、おちおち会話もできない。さすが、ピッギーだ。
「ぴぎー? …ぴぎー!」
私が一人で感心していると、突然ピッギーが声を上げた。
「どうしたピッギー?」
「どうした、ぴっぎー」
「ぴぎー!」
私とツルギはピッギーのいる壁の近くへと近寄った。
そこには、ぽっかりと口を開けた、穴があった。中々大きい穴だ。
「ほう、隠し通路か」
「かくしつうろ」
「ぴぎぴぎ」
これは良い。隠されていたということは、人間たちには知られていない可能性がある。もしかすると、安全地帯が手に入るかもしれんな。
私たちはワクワクしながら、穴の中へと足を踏み入れた。
2018/07/25
加筆修正。1029字→1145字




