21 咆哮は骸骨を震わせるか
俺たちは対アンデッド装備を引っ提げ、再び扉の前に来ていた。それぞれの手には、銀の光が宿っている。
銀を使った武器は、吸血鬼などの不死性を持つモンスターに効果がある。聖水は多少値が張ったが、きちんと人数分以上を揃えた。備えあればなんとやら、だ。
「準備は良いな?」
俺は扉の前で四人に確認した。
「大丈夫だ、問題ないぜ」
「いつでもいけるよ」
ジョンとリッカが応えた。エリックとセインも頷いている。四人共、表情は硬いが体までは硬くなっていない。戦う意思は赤々と燃えている。
「よし、扉を開けるぞ」
そして、俺たちは扉の中へと足を踏み入れた。
ダンジョン内にのみ咲く光灯花が、あの時と同じようにぼんやりと辺りを照らしている。
俺たちは慎重に中を調べた。
魔物が死角からいきなり現われることもあるからだ。実際、そういう経験は何度かあった。天井もしっかりと確認する。…大丈夫そうだ。
俺たちは警戒しながら探索を行なった。
しかし、その警戒はどうやら無駄だったらしい。
「奴等出てこないぞ」
「それだけじゃないぜ。あのリッチが座っていた玉座みたいなのが無くなってる」
「何処かへ逃げたのかしら?」
「見て。ここ、暗くて分かりづらいけど、焼け焦げたような跡があるよ」
リッカの指さす場所を見ると、確かに焼け焦げたような跡があった。割と広範囲にわたってできている焦げ目は、何らかの魔法を行使したことによる結果なのだろうか?
「スライムやスケルトンはともかく、ノーライフキングの奴なら魔法でつくれそうだが…」
「誰か、私たちよりも先に奴等を仕留めたのかも」
「有り得るわね」
「でも、誰がやったんだよ? そんな情報、街にはなかったぜ?」
俺は地面に手を触れる。焼け跡に熱が全く無いことから、結構な時間が経っているのが分かった。
「とりあえず、戻って情報収集するか。何か分かるかもしれん」
俺は色々と想像を巡らせるメンバーにそう言って、一先ずこの場から去ることにした。
2018/07/24
加筆修正。699字→806字




