19 来たるべき時のために
さて、三人とも無事に生きていることを喜んでばかりもいられない。
私たちの存在は、あの人間たちに知られてしまった。
それはもう、するっとまるっと知られてしまったわけだ。すっぽんぽんの丸裸だ(…服は着ているけれども)。
このままここにいると、近いうちにまた襲撃されてしまうだろう。そして、面倒なことだが、それを迎え撃たなければならないだろう。
「せめて椅子の呪いがなければなぁ…」
ちらりと目を向けるが、椅子はうんともすんとも言わない。まぁ、椅子なのだから当然か。
逆に、物を言う椅子などあるのだろうか。その場合、椅子は自分の意思で動くのか?
「こいつが自分で動いてくれれば、話は楽なんだが……ん? 動く?」
その時、私の脳内に電流走る。
(いや、骸骨なのだけれども。白骨体なのだけれども)
私は思わず、一人ツッコミをしてしまった。…まぁ、そんなことは今はどうでもよろしい。他に試すべき重要なことがある。
私は思い付きの前段階として、ツルギに一つのお願いをした。
「ツルギ、お前、この椅子を持ち上げられるか?」
「やって、みる」
ツルギは肘置きを掴んで、持ち上げ…た。
「あるじ、できた」
「おぉ、そんなに簡単に持ち上がるとは思ってなかったぞ…」
人間たちが来る前に試したことはなかったが、こんなに簡単に持ち上げられるのか。
これなら案外、何とかなるかもしれない。
「しかし、クリアすべき項目はあと二つある」
私はツルギに椅子を下ろさせた。
そして、椅子に手をかざし、再現する現象をイメージしてから魔法を唱えた。
「【フロート】」
するとどうだ。目の前の椅子が宙に浮いたではないか。
「良し、上手くいった」
どうやら、二つの項目の内の一つはクリアできたようだ。
もっと早く試していればよかったかもしれない。…まぁ、結果論だが。
「あるじ、おめでとう」
「ぴぎー!」
「あぁ、ありがとう」
よし、残るは一つだ。
私は両の拳を胸の前で握った。ピッギーとツルギも私の真似をした。
三人で気合を入れた。
思わず和んだ。
2018/07/22
加筆修正。669字→819字




