10 解放と束縛
ツルギが仲間となってから会話相手が増えた。これは喜ばしいことだ。一が二になるだけで、こんなにも心が軽い。
「ツルギは最初から剣と盾を持っていたのか?」
「そうだ」
「それまでの記憶はあったか?」
「わからない」
「そうか…」
私もそうだが、ツルギも自分の過去についてはよく分かっていないらしい。
まぁ、そのうち思い出すかもしれないからな。気長にやろう。
「そうだ、私に剣を教えてくれないか?」
「あるじ、けん、つかう?」
「あぁ、身体を動かしたくてな」
椅子から解放された私はうずうずしていた。ようやく自由に動けるようになったのだ。思いっきり身体を動かしたい気分だ。
黒い半透明の膜…長いから【シールド】と言おうか。もちろん、シールドのことも気になっているが、まずは身体操作が先だ。私、動く。
「わかった、すこし、まつ」
そう言うと、ツルギは扉の外へと出て行った。手には剣だけが握られていた。盾は私たちとお留守番である。
ピッギーを撫でつつ待っていると、ツルギは両手に剣を持って戻ってきた。
「あるじ、これ、つかう」
そして、右手に持っていた方の剣をくれた。
ツルギは私のために剣を獲ってきてくれたらしい。
胸がじんわりと温かくなった。この熱は染みる。
「ありがとう、ツルギ」
「あるじ、よろこぶ。つるぎ、うれしい」
ツルギ、なんて良い奴…!
最初は会話もせずにいきなり襲いかかってきたが、こうして接してみると良いところもあるんだな。
それから私は、ツルギに剣の扱いを教えてもらった。ピッギーは椅子の上でそれを見ていた。
「あるじ、こう」
「こうか?」
「そう。つぎ、はしる、きる」
「走って…うぉっ!」
ツルギの見せてくれる手本通りにやろうとしたら、何かに引っ張られるようにして転んでしまった。この感覚には覚えがある。
転がったまま考え事をしていると、ツルギとピッギーが近づいてきた。あぁ、二人を心配させてしまった。
「あるじ、だいじょうぶ?」
「ぴぎー?」
「あぁ、大丈夫だ。どうやら移動制限があったらしい」
その後、椅子から測って大股七歩が私の移動限界だということが分かった。
やれやれ、いったい何時になったら自由に動けるようになるのだろう…。
2018/07/16
加筆修正。775字→890字




