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そんな彼の活躍はダイジェストでお送りします

ボーソは自らの愛する世界に飛び込んだ。


ここから先はダイジェストでお送りさせてもらう。


ボーソはまず、送り込んだ六人の救世主候補にコンタクトをとろうと考えた。


最初に会ったのは畑 内人だった。


畑は身寄りのない大地主の老人と一緒に畑をいじっていた。


畑は村中のおじいさん、おばあさんに好かれていた。

これは、畑の孫気質に端を発しているのだろう。


そうしている内に救世主候補の一人である石田 姫路が私に接触を図ってきた。


彼女は自身の能力で動画を撮りそれを国中に拡散しようとしているらしい。


まあ、二人の救世主候補と神である私がいる農村に、魔族の先兵が攻め込んできた。


魔族とは、一月ほど前に、この世界に現れた侵略者だ。

紫の肌に角、さらに羽が生えている個体もいる。

おそらくだが、異次元からの侵略者だろう。

根拠は、彼らが出現する直前に世界と世界の間にわずかな歪みが観測されたことだ。


で、その魔族の大群だが、私の神としての力を振るってみたらあっけなく勝てた。


その活躍をここに記させてもらおう。

魔族の魔法による遠距離攻撃を水の結界で華麗にはじく私。


そして川の水を操って、激流に魔族を巻き込み、下流に流してやった。


別動隊を畑が倒したという連絡も受けた。

畑の能力で生成した大豆を投げているだけで倒せたそうだ。


畑から、敵からかっぱらったという剣をもらった。


その剣は大豆の聖なる気を吸い取り、魔族に対して大打撃を与えるそうだ。


私は石田 姫路とともに次なる救世主候補の元へと向かった。


次に出会ったのはプラモデルを実体化させてくれと頼んだ男、秋月 平太だった。


彼は、戦車を持ってきたのは良い物の、バイクの免許さえ取っておらず、どう運転して良いか分からなかったが、戦車を溶かして、鉄クズとして利用しようとした、ジャンク屋に弟子入りしていた。


彼は今日と明日を生きるのが精一杯で魔族と戦う余裕はないと断られた。


だが、同じ日本人と思われる人間がなにを成したのかの噂話を教えてくれた。


身元不明の黒髪の少女がスイーツ造りで圧倒的な才能を見せているとか、身元不明の美少年が東と西の長きに渡る戦乱を終結させたとか、身元不明の荒くれ傭兵達のカリスマが現れたとか、そういった内容の噂だった。


そうしてボーソと石田 姫路は次の救世主候補のいる場所へ向かった。


そこにいたのは菓層 笑美だった。


菓層はこの世界のスイーツ造りの技術と元の世界のスイーツ造りの技術を融合させようとこの世界のパテシェ達と頭をひねっていた。


私がこちらにたどり着いたことも彼女はなかなか気が付かないようだった。


彼女は私に気が付くとスイーツを大量に振る舞ってくれた。彼女曰くスイーツを食べた感想が聞きたいとのことだった。


どれも美味しくいただけた。優劣など素人目にはつけられなかった。

アドバイスを求められたが、なにも言えなかった。


彼女は最後に私に、この世界のスイーツ造りを教えてもらう機会をくれたお礼として、紅茶の指輪とかいう原理不明のアイテムをくれた。


このアイテムは念じると紅茶が出てくるという謎の指輪だ。


ボーソは、役に立ちそうで役に立たないバランス調整がすごいと思った。


次に、上音 尽の元へ向かった。


上音は私のことを『残念なイケメンの神様』と呼んでいた。


上音は王都での長きに渡る婦人会の対立を、両方のボスに気に入られ、なおかつ絶妙な舵取りで和解へ持ち込んだ婦人会の救世主に祭り上げられていた。


上音に魔族と戦う決意はあるか聞いてみたところ、様々な物価の高騰を押さえるために魔族と戦う計画があることを上音は話した。


また上音からもう一人の日本人が傭兵ギルドでカリスマを発揮するも魔族に単身突撃し帰ってこないのが現状らしい。


私はもう救世主候補に頼るのはあきらめて自身の力で魔族の大群を圧倒した。


その結果、魔族の残存戦力はわずかとなり、魔族は最後の生き残りをかけた争いを王都に仕掛けることを決意した。


私はそれを察知し王都へ向かった。


王都で私の活躍を映像付きで石田が説明してくれた。


そこに上音と畑が現れ魔族と人間の全面抗争を行うから、神様は黙って御輿の中にいろと言われてしまった。


上音は言った。

「ボクを残念なイケメンの神様がこの世界に呼んだ理由をボクなりに考えたんだ。間違っていたら言ってね。正直魔族は残念なイケメンの神様一人でもどうにか出来るんだ。でも僕たちが必要だった理由はこの世界の人々が世界を護る勇気を与えるためだったんじゃないかって」


畑も言った。

「今の言葉に補足な。お前一人で世界を救ったらこの世界の人間が神様だよりの弱い人間になってしまう。それを避けるために俺たちを呼んだんだろ?世界を護る旗頭として」


彼らの推測は私の考えの外にある物だった。

だが、肯定せざるをえない物だった。


なぜならこのまま私が世界を救えば、この世界の民は困難に際し他人が何とかしてくれる、そんな甘ったれた考えを持つことは容易に予測が付くからだ。


だから私は彼らの意見を受け止め、戦場でなにもしないことを誓った。


全面戦争の宣戦布告を敵が魔力通信で行ってきた。


魔力通信とは、0と1の魔力信号を発信機から魔力通信技師が出力し遠く離れた受信機で受け取り、意味のある言葉に魔力通信技師が翻訳する、この世界で最もメジャーな通信手段である。


その通信によると決戦は明日の明朝だという、非戦闘員達を逃がしつつ決戦に備える戦士達。


ここで、やっかいな魔族について特筆しておこう。


まずは黒いマントの魔族だ。

この魔族はどこからともなく姿を現す能力を持っていて、果物の産地を執拗に狙い物価を高騰させている元凶の一人だ。

つぎに巨大な鎌を担いだ魔族だ。

この魔族の鎌の切れ味は異常で鉄の鎧ごと屈強な戦士を引き裂いたそうだ。

また、各地の馬車そのもの及び馬車の揺れの軽減具の作成所などを襲い、流通を滞らせて物価を上げている最大の原因だ。

最後に冠の魔族

この世界では本来、王様しかつけることを許されていない冠をつけた魔族。圧倒的なカリスマの持ち主らしいが、魔族の捕虜からしか情報を得られず、この世界の民からの目撃情報は得られていない。


夜が明けた。


双方、決戦の準備は整い、決戦の幕が上がる。

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