人の話を聞かない存在
このさくはメタ発言系のネタ大好きですよー!!(唐突)
ボーソは今度こそ会話のキャッチボールが成立する相手が来るようにと祈り。輪廻の輪ガチャを回した。
今度は男だ。
この男は畑 内人 17歳で、山で山菜取りをしているところ上空から菓層 笑美が落ちてきて頭にぶつかり、それが互いの致命傷となり死亡した。
「あのー、もしかして私は死んでしまったんでしょうか」
彼は日本の山からいきなり花畑に移動したことからここが死後の世界だと推察したのだった。
ボーソは感動した、こんなにも察しがいい人間が来たことに。
「でもなあ、こっちよりも桜並木の方が好きなんですよね、僕。桜って落ち着きません?あと紅茶よりも日本茶の方が好みなんですよ。どうせならシュークリームより和菓子にしませんか、甘納豆とかかりんとうとか」
ボーソは思った、前言撤回こいつは菓層と同類だ。
そしてボーソは悟っていた、このタイプは逆らうだけ無駄だと。
「失礼、今準備する」
ぱちん、ボーソは指を鳴らした。
するとどうだろう周囲の風景が様変わりしていた。
一本の満開の桜の木の下で二人は机を隔てて座っている。
机の上にはかりんとうと甘納豆、さらには急須と茶碗が置かれていた。
「ありがとうごぜえます。そうだ、私は天国行きですか?それとも、地獄行きですか?刑期はいくらですか?それとも罰金制ですか?」
それでも前よりは期待できそうだと、ボーソは姿勢を正した。
「罰金制の地獄って有るんですか」
ボーソは不思議だった。
「娑婆じゃねえ、地獄の沙汰もぉ金次第ってぇ言葉があるんですよ」
ちなみに娑婆とは元々は仏教用語で、いわゆる現実世界、俗世のことである。
これが転じて刑務所や少年院の外の世界を意味するようになったのだが、畑は前者の意味で娑婆という言葉を使った。
「へー そうなんですか。初耳です。そういえばそちらでは頼みごとを相手にするときには、紅茶を出すのが常識と伺ったのですが?」
ボーソは一応、菓層から聞いた話の裏をとる。無論そんな常識あるはずがないが万一と言うこともある。
「ははっ なにを言っているんですか。まあ始めてから終わるまでに一時間以上かかる場合はお茶の一つぐらいだしても罰は当たりませんが、紅茶限定とは、面白い冗談ですねえ」
ボーソは義憤にかられていた、適当な事をほざいていた暴若無尽な女に。
「さてでは本題に入ろう。私は、異世界の神のようなもので、一般的にはボーソと言われている。若くして命を亡くした若者にチャンスを与える優しき神だ」
畑はこの言葉に違和感を覚えた。
「日本語間違っていますよ。(若くして)と、(若者)で二重表現だし、命は、亡くした ではなく、無くした ですよ」
こほん、ボーソは咳払いをした。
「君はなぜ私の話した漢字が読めるんだ?」
「このサイト (https://ncode.syosetu.com/n1155eu/3/)で読めたんですよ」
「ははっ 何を言っているんだ」
ボーソは畑のメタ発言に適応できなかった。彼はそういう神様なのだ。
「チャンスってなんです?」
「別の世界への片道切符だ」
だが畑には一つ気がかりがあった。
「その世界に大豆はありますよね」
「有るには有るが」
畑は胸をなでおろした。
「じゃあ豆腐は、納豆は、豆乳は、醤油は、味噌は、有りますか?」
そして興奮した畑は矢継ぎ早に質問を飛ばした。
「大豆は現地の人々にまだ発見されていないのですよ」
ボーソは失意の底に落ちた。
「Oh my GOD」
畑は神を恨んだ。
「なあ、本物の神様の前で神に祈らないでくれ」
こんなに近くにいたのか、いや神は別にいる。そうだろう作者。
「ところでお前は、キリスト教の神なのか?それとも日本の神道もしくは仏教、どの神なんだ?」
ボーソは急に柄が悪くなった畑に困惑した。
「どの神でもあってどの神でもないといえる。たとえばキリスト教での私は神の一部になるし、神道では八百万のうちの一柱にかろうじて数えられているし、仏教では雑魚仏。私がそちらの世界で使える力はとても弱い。だが、私の世界では今のところ使える力は非常に大きいのだ」
畑は失望した、ボーソが話をまとめる力がないことに。
「ほへー、聞いといて悪いですけど話が長くて全く聞いていませんでした。スンマセン」
ボーソは、開いた口がしばらく塞がらなかった。
「が、気を取り直して。そういえば、このような面接を始めた時に最初の相手が名乗りもせずにこくこく笑いながらうなずいてね。君と同じく、私の話が理解出来なかったのだろうね」
畑は今の状況を脳内で再現した。
・・・・
「いや いや いや 完全にビビられてますって、その名無しのごんべえさんに。そういえば名乗っていませんでしたね僕。畑と申します」
ボーソはその言葉をありえないと掃き捨てようとした。
「ビビられている。私が?ははっ、ありえない」
だが無理だった。
「いや、アリーエルでしょ」
「マジで」
ボーソは驚愕した。
ボーソは願う、冗談であってくれと。
「わりーと、マジーで」
だが一縷の望みを、神は聞き届けてはくれなかった。
「えっ」
「ソレは、相手を警戒しているときの行動です。それもかなり。僕が大豆の話を5分ほどした場合相手はほぼ決まってこのアクションをとります」
畑は淡々と苦い思い出を語るように話した。
その言葉はボーソはさらに驚愕させた。
「えっ五分、五分も、話し続けられるの!?」
その言葉が畑の魂に火をつけた。
「試してみますか」
「いいえ、結構です」
即答だった。
だがその願いも虚しく、
「大豆。字は大きい豆。じゃあここで質問小さい豆と書いてなんと読む?…はいっ、時間切れ。正解は小豆だよ。まあ、ソレは置いといて、大豆それは無限の可能性。まずは大豆の意外な話から、アジアでは多いんだけれども、まあ神様の死体から穀物が生まれるシリーズで日本は、米、麦、粟、小豆あと蚕が含まれる場合もあるんだけれども、ともにここで大豆も生まれたんだ。日本書紀や古事記にもそう書いてある。いわゆる五穀な。次、大豆の意外な話。SOYインクというモノに加工されて新聞のインクなんかにも使われてんだ。これがものすごくエコなんだ。まずインクを紙から剥がしやすい。よって再生紙にしたときにより白くなるんだ。次に大豆の至極当然な話。ユメスコ世界遺産に和食がエントリーされたけれどこれも大豆様のおかげだね。だって大豆抜きの和食なんて400年も歴史が無い若造が大半だし。そんなものだけ食べてなにが日本食はヘルスィーだ。全くもう。はいボーソさん、どうやったら外国人に寿司や天ぷら以外の主に大豆料理が流行ると思いますか?」
ボーソは愛想笑いした。それは恐怖の現れだった、どうすれば豆ごときをここまで語れるのかという。
「そのカオダヨォー」
畑は立派なスマイルをしながらそう言った。
「はっ、この顔あの男の表情にそっくりだ」
ボーソは気が付く、今のリアクションが最初の男と完全に一致していることに。
「つまりそういうことだ」
「どういうことだ」
ボーソは認める事が出来なかった、あの変人が自分を怖がっていた可能性を。
「Soy is grat ってことですよ」
・・・・・・・
ボーソは愛想笑いした。それは恐怖の現れだった、どうすれば豆ごときをここまで語れるのかという。
「やっぱりこの作品って倒置法 多用しすぎでしょ」
作者は思ったよー。悪いかよー。おい、お前を消すのに五秒あれば十分なんだよー。
畑は肝に銘じた。(へいへい、話進めますよ)
「でぇ、なんです。私は別の世界でなにをすればいいんですか」
ボーソは返答に詰まった。なぜなら、異世界からの侵略者から世界を護ってほしいのはやまやまだが菓層という悪しき前例の所為で特に目的もなくぶらぶら転移も無しではないのだ。
だが、それを認め続けると永遠に救世主が見つからない。
だが、前例の存在から否定は出来ない。
ボーソの脳内では二つの正論が堂々巡りになっていたのだ。
「で、どうなんすか、大豆の一籾もくれたなら文句はないんですけどね」
この男は無欲?なのか?下手したら大豆に欲情している変態野郎でも違和感はない。
「わかった。わかった。つけよう大豆を。あと一つお願いがあるんだ。異世界からの侵略者から民を護ってくれ。出来たらで良いから」
もうボーソはこの男ごときに世界を託さなくても良いと諦めていた。
「はいはい、出来たらやっとく」
ボーソは確信した、この男は天地がひっくり返らなきゃなにもしないであろう事を。
「君は世界を救うのになにが一番大切だと考えるかね」
一応、ボーソは世界の救済案を聞こうとした。
「穀物です」
ボーソの脳内で失望と納得と困惑が入り交じった。
「飯が無けりゃ兵は動かない、ですがモノは有限、税を引き上げれば民が干からびる。そこの調整が一番重要で一番難解な所だからです」
ボーソの脳内で失望と納得と困惑が消え去り畑への評価が(悪い意味で)すごい大豆キチから(良い意味で)すごい大豆キチへ変化した。
「なるほど。最後に一ついいか、もう少し人の話を聞いたらどうだ」
「あなたがそれを言いますか」
畑は笑いながら言った。
「それは、どういう意味だ」
ぷつん、ボーソはそう言いながら、畑を自分の世界へ送った。
畑 内人は 【聖豆生成】の能力で世界を救えるのか?こうご期待。
総評
スローライフ転生の斡旋なら悪くはなかったと思う。
だけどもこの仕事は慈善事業じゃねーんだよ。
異世界舐めてる奴は還れ。輪廻の輪に。
そうボーソは悪態をついた。
出来たら今度はもう少し好戦的な人間が来ますように。
そうボーソは心から願った。
このさくの裏話
こいつが例の作品の主人公(予定)だった奴ですよー。
ボツの理由はこいつにダンジョンマスターやらせたらギミックは面白いもののキャラのこれじゃない感がすごかったことですのよー。