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暴露大会~ルビ~

 三人のあいだにしばらく気まずい沈黙が流れたが、意を決して、颯爽と手をあげたのはルビだった。そう、彼は停滞が何よりも嫌いなのだ。


「それなら早く済ましちまおうぜ。学生生活だってこの実習だって、苦労して三人でやっとここまで来れたんだ。いろんなことがありすぎて、もう今さら他に何が起こっても、お前らのどんな暴露話聞かされようと、俺は驚かない自信があるぞ。

それに、俺もいつかは言わなきゃいけないってずっと思ってたことがある。それがたまたま今日になったってだけで、だから俺に不都合なことなんか何もないわけで、つまる話が、その、なんというか……」


「長い。ひたすらに前置きが長い。一番手を名乗り出たのなら、さっさと始めてくれないか」


 マイスが感慨もなく急かしてくるため、ルビはこの冷淡な幼馴染に噛みついていた。


「わ、わかってるっての、うるせーな。せめて心の準備くらいさせてくれてもいいだろっ」


 喚き散らしたあと、ルビは小さく息を吐いて、ソルエルのほうに向き直っていた。


「……好きだ、ソルエル。お前のこと、ガキの頃からずっと好きだった」


 静謐な洞窟の中に、ルビの緊張した声だけが響き渡る。ソルエルは、しっかりと自分だけを見て話すルビの目から捕らえられたように、その場を動けなくなっていた。


「わざわざ言うまでもないだろうけど、後から勘違いしてたなんて言われちゃたまんねーから、ちゃんとはっきり言っとく。俺の好きは、友達の好きじゃない。お前にキスしたり、それ以上のことだってもっとしたいと思うような好きだ」


 大胆なことを言われて、ソルエルは大いに赤面していた。それでもルビの告白は止まることを知らず、長年の思いの丈を爆発させるように、聞いているこちらが恥ずかしくなるような熱い言葉を、容赦なくソルエルに浴びせかけていた。


「昔はそういうのよくわからなくて、この気持ちがなんなのか気づくまでは、ひたすらお前のこといじめてるだけの嫌なやつだったよな。たぶん俺は、お前が転校してきたときから、ずっと好きだったんだ。恥ずかしい話だけど、今思えば一目惚れだ。

それ以降も、お前と仲良くなっていくうちに、努力家なところとか、本当は泣き虫のくせにいつも泣くのを我慢するところとか、控えめに笑うところとか、ときどき妙に肝が据わってるところとか、お前のいろんな部分を目にして、ますます好きになっていった。

実習が始まる少し前に、俺がお前に言ったこと、覚えてるか? もしお前が退学になって路頭に迷っても、俺がなんとかしてやるって話。あれ本当は、俺が卒業したら、結婚してほしいってお前に言うつもりだったんだよ。俺に意気地がなくて、結局言えずじまいになっちまったけど……」


 ルビは一気にまくし立てたあと、それからは、もう耐えられないとばかりに顔を覆って勢いよくその場にしゃがみこんでいた。どうやらここまでが彼の限界のようだった。


 長年告白できなかったことを、開き直ってぶちまけるように語り尽くしたのだから、彼にしてはかなりがんばったのだろう。

 しかし、いくら待てども、洞窟内に真実の炎はともらなかった。


「お、おい、こんなに恥ずかしくて死にそうな思いしてんのに、まだだめなのかよ……。ありえねえ、地獄かここは」


「――ルビ、あともう少しだ。もう少しだけがんばれ。私たちも最後までちゃんと聞き届けるから」


 マイスがいつになく、ルビの気持ちに寄り添うような激励の言葉をかけていた。長年ルビのこじらせた恋を応援し、見守ってきた彼だからこそ、何か思うところがあるのかもしれなかった。


 ソルエルも、マイスに呼応するように深く頷く。ルビがどんな思いで今告白しているのか、それをないがしろにしようとする者など、この場には誰一人としていなかった。

 ルビがマイスに背中を押される形で、言い淀んだ言葉を再び紡がせた。


「ソルエル、俺……。俺本当は、お前が俺のことなんか、ただの友達としか思ってねーって、ずっとわかってた。わかってたからこそ、告白だって先延ばしにしてたんだ。答えを聞かされるのが怖くて。はっきり失恋するってわかっちまうのが、怖かった。今の関係が壊れることも」


 ぽつりぽつりと、ルビが俯き加減のままでつぶやいた。ソルエルの元からでは、彼の表情は見えないままだ。


「でも、それと同時に、もしかしたら、上手くやればいけるんじゃないかって、小ずるく思ってる自分もいた。お前が俺のことを好きじゃなくても、お前の性格を考えたら、断って俺が傷つくのを、見ていられないんじゃないか――って。お前のそういう性格を知ってたから、だから俺は、お前の弱いところに付け込んで、あわよくばって思ってた。

お前は自分に自信がないし、嫌なこともはっきり嫌とは言えない。たとえ俺のことを好きじゃなくても、強く迫ってどうにか丸め込んじまえば、もしかしたら、思ってるよりもずっと簡単に俺のものにできるんじゃないかって、頭のどっかで計算してたんだ。

最低だよな。自分でも、言っててドン引きしてる。恋人とか考える以前に、友達としてむちゃくちゃ失礼だ、こんなふうに考えてるなんて。

自分が意気地がなくて告白できないでいたくせに、急にトゥーリが現れて、お前を取られちまうと思った瞬間に、自分でもびっくりするくらいの嫉妬に駆られて、おかしくなりそうだった。だから、お前のこと理不尽に束縛しようとしたり、お前を不安にさせるような一方的なキスもした。

ソルエル、俺、本当はこんなやつなんだよ。ごめんな、ソルエル。怖がらせてごめん、ごめん……」


 消え入りそうな声でルビが謝罪を繰り返していると、ルビの胸元に、小さく燃える炎がぽっとともった。不思議なことに、熱さはまったくなかった。


 その炎は、ルビの手元をすっと離れると、洞窟の壁に寄り添うようにともり、静かにその場に落ち着いて、こうこうと燃え続けていた。

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