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イケメン過ぎる有島くんの悩み

作者: 有村梨沙

モデルは高校に居た時の同級生。

ほぼ実話。鞄の中チョコびっしりというベタをやってくれた人。

良く書いたつもりなので怒らないで欲しい。(…。)

俺の名前は有島翔。

ハッキリ言って非常にモテる。有り得ないくらいモテる。


「有島君、良かったらコレ、貰ってくれない?」


「私も…こんな、手作りのへたっぴなチョコレートだけど」



バレンタインの日になると、箱にたくさん、チョコレートを詰め込んだ女子達が一斉に此方に詰め寄る。一応予備で大き目のバッグを持ってくるが、それでも入りきらない。



「クールでだるそうな感じが良いのよね~」


「何考えてるか分からないトコ、あま~い眼差し。

見るだけでウットリしちゃう」



俺の事を見掛けた女子は皆、口を揃えてこう言った。

正直よく解らない。クールでだるそう?あまい眼差し?

俺はいつも、早く家に帰りたくて堪らないだけなんだが・・・



「自覚ないのかしらね~有島君は」


「余裕ぶってないトコもまた素敵なのよねーッ」



冷静にその状況を眺めていたら、黄色い声でそう騒がれるようになった。

自覚がないとか余裕ぶってないとか、一体何の話だ。

そもそも俺がこんなにモテてる事自体、あまり納得いっていないのに。


「有島君、コレあーげるっ」


「わ、私…有島君に、お話ししたい事が・・・」



ついには後輩まで来る始末。

あー、あと何人来る事やら。今日中にこの大量のチョコ、持って帰れるかなぁ。人に渡せたら良いんだけど、一応貰い物だしね、それは出来ないよ。



(あー嫌ださっさと家に帰りたい)



やりかけのFFクリアしてこの前買った新作のゲームしてぇ。

正直学校なんて来たくない。親が『大学行け』って煩いから渋々言ってるだけで別にやりたい事とかもねーし。行ったら行ったでこういう厄介事に巻き込まれるだけだし。まァ、あまり贅沢言う立場にないか。



「放課後…校舎の裏で。ずっとずっと、待ってます」


先程来た女子生徒の一人が、俺にそう言い残し教室を去っていった。

放課後、校舎の裏…うわー、マジかよ。早くかえりてーのに放課後って

しかも絶対告白だろ。同じクラスの奴とかに見られたら面倒だなー。



「はァ~疲れた。面倒くせ」



友人から聞いた話によると、俺は平成ナントカの山田涼なんちゃらっていう奴に似てるらしい。

誰だそれ。ジャニーズなんて全く興味無いから分かんねぇ。俺はアントニオ猪木が一番カッコ良いと思うんだけど、女子は違うらしい。



「良いよな~〇〇は。超モテモテで羨ましい位だぜ」


「別に良くないよ。知らん他校の女子から電話とかかかって来るし…

もう疲れた。別に俺そんな彼女とか欲しくないし」



サラリとした口調でそう言い放ち、くるりと背を向けた。



「何で俺、王子様的な扱いになってるんだ?テストは毎回赤点だし、掃除はサボるし…泣いてる人が居ても割とほっとくし」


「…さ、さァ知らん。あいつ等は顔が良ければ何でも良いらしい」


「同じクラスの金田の方がカッコ良いのにな。いつもすっげー親切にしてくれるし、滅多に怒んないし。絶対アイツの方がカッコ良いのに」


「…有島。女子とはそういうものだ」



ガックリと肩を項垂れ、級友は教室を立ち去った。

全く、世の中は理解出来ないことがたくさんあるなぁ・・・



「先程、〇×市(学校から少し離れた場所の地名)で強盗事件がありました。

犯人は未だ逃走中。皆さん、お帰りの際は身の回りの安全に十分ご留意下さい」



なんか物騒な事件が起きてるなぁ。

でもまぁ、何でも良いや。



「抜け駆けはしないって約束したじゃないのッ。

加奈子、アンタは親友である私を裏切ったのよ」


「裏切るって…付き合ってもいない癖に。

偉そうな事言うそっちだってどうなの。恋愛は個人の自由でしょッ」



なんか俺絡みの事で事件起きてるけど・・・

ま、なんかどうでも良いや。全てが。それより早くFFクリアしたい。



(俺って、本当イケメンの王子様でも何でもないんだけどなァ・・・)



流れゆく雲を眺めながら、ぼんやりとそんな事を想った。



(何でみんなこんな風にカッコ良いとか素敵だとか言うんだろう…

不思議だ、ファァ~あ、さっきより雲の数が増えてる)



ひとつ、ふたつ、みっつ。流れる雲の数を数えながら、しばしの休息に浸る。

こんな騒がしい人生が、波乱万丈な(?)人生が、

早く落ち着きますようにとそう心の中で願いを込めながら。


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