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勢いで投稿します。
次話からあっちにいきます。どっちかな??
「くっそ・・・まだログイン出来ない・・・」
先ほどから何度も『ココロノアリカ』にログインを試しているのに、全くログイン出来ない。パソコンのチャットツールで、友達にログイン出来たか聞いてみたところ一緒に始めようと約束していた友達たちは、もう既にログインが出来ていて最初のチュートリアルも終わっているようだ。
「はぁ。完全に出遅れた。とりあえずうん○してからもう一回試してみよう。」
そう言いながら重い腰をあげ、トイレに向かうのであった。そこには『ココノアリカ』サービス開始前の気持ちの悪い笑い声や、新しいおもちゃを与えられたようなわくわくしている感じはもうない。わくわくしている感情は、あるにはあるのであろうが、今まさのり君の心を支配している大半の感情は焦りだ。
他に追随を許さず、他のプレイヤーを煽ることに楽しみを覚えたまさのり君には、サービス開始当日のサービス開始直後にプレイ出来ないということは、相当な痛手のようである。
うーん、みんなログイン出来てるのに、なんでログイン出来ないんだろうか?もしかして、俺のネットワーク回線が悪いとかか?それくらいしか考えられないよな。
そんな事を考えならがトイレのレバーを下げ、ゆるい肛門をしめて腰をあげる。
出すものをだしすっきりしたまさのり君は、心の中でため息をつきながらまたログインを試そうとパソコンの前に向かう途中に異変に気づく。
「あれ?」
『ココロノアリカ』を起動していたはずのパソコンのモニターには、大自然を背景に目をつぶっている女神が大きな光の球を抱いている絵が表示されていた。その光の球のちょうど下あたりに、ゲームにログインする為のIDとパスワードを入力する画面が表示されていて、そこにはID masanori0731 Pass ******と表示されている。
モニターにはまさのり君がほぼ毎日、5年間に渡り慣れ親しんだ光景が表示されていた。
「なんで『タカラノアリカ』が起動しているんだ?」
パソコンのモニターには何故か、トイレに行く前に必死にログインを試みていた『ココロノアリカ』ではなく、先日やめたはずの『タカラノアリカ』が起動しているのであった。
「えっ?なんで?え?」
軽く混乱しながらも、モニターを凝視する。背筋に冷たい何かがぞくぞくっと這い上がるのを必死に抑えながら、極めて冷静に今の状況を整理しようとする。まさのり君は幽霊とかオカルトとかは全く信じないが、自分の目で見たことは信じるタイプである事から余計に今の状況が理解できない。
「俺は『ココロノアリカ』を遊ぶために、さっきまで必死にログインを試みていました・・・。ちょっと、うん○がしたいなぁと思いトイレに行きました。すっきりして戻ってみるとなぜか『タカラノアリカ』が起動しています・・・。・・・?」
冷静に考えたところでまさのり君には現状を把握することが出来なかった。にわとりみたいに三歩歩いたら、三歩歩く前の行動を思い出せないような鳥頭でもない。そこでまさのり君はさらに異変に気づく。
「あれ?パスワードもすでに入力されいる・・・。それにマウスのカーソルも何故かログインのボタンに合わせてある・・・。」
『タカラノアリカ』は、今すぐに起動してくださいと言わんばかりの状態で万全にスタンバイされていたのだ。
そこでまさのり君は少し思案する。先日売ったはずのアカウントだし、きっとアカウントの購入者がパスワードも変えているだろうと。おそらくこのままログインのボタンを押してもログイン出来ないであろうと。
まさのり君は混乱している中、一度思考を停止させて左クリックを一度押すだけで始められる状態であった『タカラノアリカ』を目の前に、カチッとマウスを一度クリックさせた。
カチッとマウスをクリックした瞬間。
『『私は怒っています!!!』』
大自然を背景に目をつぶり、二次元であることをいいことに絶世の美女に仕上げられた『タカラノアリカ』のシンボルキャラクターでもある女神が、モニターの中でくわっ!!っと目を見開き、大きな声がスピーカーから流れたのである。
今まで慣れしたんだログイン画面が急に変わり、スピーカーから大声量でいきなり怒鳴りつけられた。まさのり君は大きく後ろに飛びのき座椅子からひっくり返って頭を打ち、そのまま気を失ってしまうのであった。