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小瓶の中身は


「カシアス」


船長がいつもと変わらない声で僕を呼んだ。


「お前のポケットに入ってるものをこいつらにくれてやれ」


僕のポケットに入ってるもの? 果物ナイフをくれてやればいいのだろうか。


僕は左のポケットに手を入れた。


「違う」


船長の声。


「反対側だ」


反対? 何も入ってないはずだ。もしかするとこれは船長からの無言の合図で、僕は不意をついて何かをしなければいけないのかもしれない。


でもいったい何をすれば……。


恐る恐る右のポケットに手を入れた。すると、


「あ」


コツンと何かが指先に当たった。ひんやりしたそれを取り出してみる。それはこの間拾った小瓶だった。


でもこれ、何も入ってないけど。


「なんだこれ? 」


銃を持った奴が僕の手からそれをひったくった。


「そいつをしらないのか」


船長の声は挑発的だ。


「まぁ見た目でわからなければ開けてみな。その香りを嗅いでもわからないなら……」


「嗅げばわかるんだろう! 」


怒鳴ったのは僕を捕まえている方。


「早く開けろよ」


また怒鳴った。今度は仲間に。さっきからこいつはずいぶん急いでいるようだけど……。


思わず船長を見た。バッチリ目が合う。船長が顎でくいっと船のヘリを指した。逃げろってことか。チラッと海賊達を見ると、2人ともなかなか開かない小瓶に夢中だ。僕を捕まえている手が緩んでいる。チャンス!


渾身の力で海賊の手から転がるように逃げ出した。ポンッと小瓶が開いたのとほぼ同時だった。


「なんだ?いい香りだな……」


「ん、これは……」


小瓶に顔を近づけていた海賊達がふいにドサリと倒れた。


「え?」


僕が呆気に取られているうちに、船長が海賊達の側まで行ってしゃがみ込む。


「おい、ぼーっとしてんな、ロープ持ってこい」


「あ、はいっ」


言われて慌ててロープを持って行った。

「あの……」


「大丈夫、寝てるだけだ」


「そうなんですか」


ほっと胸を撫で下ろす。


まさか、何も入っていないと思っていた小瓶にこんな恐ろしいものが入っていたとは。


でも船長なんで僕が持っていたこと知ってたんだろ……。



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