小瓶を拾う
グリフ島に行くには最低3日はかかる。
今までだって早くて3日か4日、遅くて1週間くらいかかった。
ところが、だ。
2日目の昼過ぎ、僕らは目的地のグリフ島に到着した。
早い、早過ぎる。
そのことを船長に言ったら「近道したからな」ってあっさり返された。
やっぱりそうだったんだ。
どおりで岩ばかりの危ないところだと思った。
ためしに、「僕も自分の船を持ったらあの航路を使わせてもらいますね」って言ったら怖い顔で「やめておけ」って言われた。「お前じゃ沈むのが目に見えてる」だってさ。
わかってたけど、はっきり言われると傷つく。
船の操縦って難しくって、ちょっと岩に突っ込んでどこかに穴が空いたりしたらたちまち沈む。
だから岩の多いところは危ないんだ。
何人もの船乗りがそこで命を落としてきた。
「カシアス」
船長が僕を呼んだ。
「ちょっと出てくるから、お前は積荷を下ろして船の掃除をしておいてくれ」
「わかりました」
積荷はそんなに多くない。
両手で抱えるくらいの木箱が3つと小さな小包が1つ。
それを港の受付に届けたらお次は掃除だ。
鼻歌交じりにデッキブラシを動かす。
キャビンを掃除しようと思ったところで、ふと床に転がる小さな小瓶を見つけた。
なんだこれ?
なんだかわからないけどかわいい。
このくらいもらっても大丈夫だよね…?
僕はその小瓶をそっとポケットに滑り込ませた。