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最愛物語  作者: 吉田 幸一
9/15

第8話 お父さんの帰宅

「幸一さん、朝ですよ」

起きたら、最初に早貴ちゃんの笑顔を見る。今日も良いことがありそうだ。

「この笑顔と頭撫で撫でには御利益があります」

と言っても嘘じゃないだろう。

こんなに嬉しそうな早貴ちゃんを、起きてすぐに見られたのだから。

「早貴ちゃんの笑顔には、見る人を和ませる力があるね」

なんて言った時の顔が目に浮かぶ。


正直に言って、早貴ちゃんはよくやっている。

学業と家事(3人分)の両立は俺にはできない。

それを何事もないかのように、当たり前のようにしている。

早貴ちゃんは良いお嫁さんになる。そう言っても過言じゃないだろう。

ただ、背中の傷のせいで、相手が現れない可能性もある。

幼なじみの東圭一君に振られたらしく(本人は嫌われたと思っていて)、ショックを受けて、少し元気がなかったが、漸く元気を取り戻したようだ。因みに『漸く』は『ようやく』と読む。

さて、今日は七月の終わりの金曜日。早貴ちゃんのお父さんが帰ってくる日である。

「幸一さん。夕御飯は何が良いですか?」

なんか夫婦みたいな会話だな。

「何でもいいよ。早貴ちゃんに任せる」

いつもと同じ会話。

しかし、しつこいようだが、お父さんが帰ってくるのである。

日本中で有名になった事件の被害者が、まさか自分の娘とは思っていないだろう。

俺は、お父さんに連絡しようとしたが、連絡先が分からなかった。

だから、お父さんはただ、早貴ちゃんの夕食を楽しみに帰っている途中なのである。

「事件のことを話すのは、食後がいいかな?」

俺はそう考えながら、早貴ちゃんと一緒に家を出た。


OP


何だか、いつもと同じ日常だな。

文芸部に行って、あいつらと駄弁って、末本の迷言を聞いて、早貴ちゃんの弁当を食べて……

これが、俺の日常。できるだけ長く続いてほしい。

失って初めて分かる幸せというものを、俺は今掴もうとしている。いや、既に味わっている。

そう思いながら、俺は早貴ちゃんの弁当を食べた。

「ふう」

「見て良いか? お前の小説」

後ろからパソコンを覗き見ているのは、文芸部の甲田だった。

「ああ、見て良いよ。そっちはどうだ?」

「俺はネタがない」

不思議だ。ネタならそこに転がっているのに。

末本と合田を見ながら、俺はそう思った。

甲田も俺の視線に気付いたらしく、ああそこにあったな、と頷いた。

「さてと、一段落ついたし、何かするか?」

ジャラジャラ・・・・・・

末本は待っていたかのように、麻雀の準備をした。

「今日は負けない。ケーキを賭けて勝負だ」

末本が冷蔵庫の方に指を差したので、中を確認すると、ホールケーキが一つ入っていた。

そう言えば、真二さんの誕生日って今日だったような気がする。

「その賭け乗った」

「乗った」

「……勝負だ」

ところで、あのケーキは誰が買ってきたのだろうか?

もしかして、山田か? あまり見かけない奴だが、一応文芸部員だ。

「いや、俺が買ってきた」

末本、お前太っ腹だな。

「俺が勝ったら、全員から1000円を徴収する」

前言撤回。

「もし俺が2,3位だったら、全員から500円徴収する」

……

「万が一俺が最下位なら、持ってけ泥棒!」

俺達泥棒かよ。

まてよ、あのケーキ一体いくらなんだ?

「一五〇〇円だった。レシートもあるぞ」

つまり、末本はマイナス一五〇〇円からスタートするのか、そして勝ったら+1500円になる。

最下位じゃなければ、損はしないのか。

「分かった。とりあえず冷蔵庫を閉めよう」

食えなくなったら困るからな。




早貴ちゃんside


韮田君に噂が本当だったことをばらされたけれど、特にクラスメイトは変わらずに、私を無視する人もいれば、話しかけてくれる人もいた。

 特に何も変わらないクラスで、ふと物思いにふけていた。

あれから、圭ちゃんに返事を聞いていない。

「圭ちゃんは、早貴ちゃんのことを嫌いになった訳ではなく、ただ単に、今は返事が出来ないだけだ」

と、幸一さんに言われたことを思い出した。

それからは、待ってみようと思った。

この前、屋上で圭ちゃんに告白してから、私は心が揺れ動いていた。

圭ちゃんのことが好き。でも、幸一さんのことも好き。

どちらかと言えば、圭ちゃんのことが好き。

だから、私はずっと圭ちゃんの返事を待っていた。

昼休みに、みんなでお弁当を食べていた時に、私は圭ちゃんと三谷さんを見て、何となく気付いてしまった。そう言えば、二人は前よりも、私が事件に遭う前よりも仲良くなっている。気になる。気になってしょうがない。多分これは嫉妬だと思う。

でも、一方で仕方がないと思う自分もいる。韮田君に言われたように、私は醜い傷物だから、まともな恋愛とは程遠いのだと、諦めてしまいそうになる。

そんな時、いつも思い出すのは、昔、圭ちゃんが言った言葉と、幸一さんが言った言葉だ。

そんな時、木田由里ちゃんは私にクリティカルな質問をしてきた。

「ねぇねぇ、早貴ちゃんは好きな人いるの?」

一瞬その場の空気が凍った。

三谷さんがこっちを見る。

圭ちゃんは、少しうつむいて目をそらす。

「い、いるにはいるよ」

「そうか、私は言うまでもなく圭一のことが好きだぞ」

「わ、私だって圭ちゃんのこと好きだよ」

木田由里はいつものように自称圭一の嫁と言い放ったおかげで、私の今の言葉は恋人ではなく友達として好きだと、三谷さんは受け取ったようだ。

でも、圭ちゃんは、まだ私に返事をしていない。

圭ちゃんは私の気持ちに気付いたようで、私の弁当の出汁巻き卵を一つ掴んで食べた。

「美味い。早貴、お前は良いお嫁さんになれるよ。俺は好きだな、早貴の出汁巻き卵」

私は嬉しかった。圭ちゃんが、あの時――私が圭ちゃんのことが好きになった時――と同じことを言ったことが。

もしかしたら、圭ちゃんは、私に……

「あ、ありがとう」

私は笑顔で返した。

みんな私の笑顔が好きなようだ。

幸一さんに言われた通り、私は笑っていよう。

できるだけ……


放課後、私は掃除当番で、圭ちゃんが日直だった。

掃除が終わって、みんな帰った。

そして今、教室には私と圭ちゃんが二人きりだ。

「圭ちゃん、あの、そろそろ返事を聞いても良い?」

はっきりさせたい。昼のあの言葉は、俺の嫁合格だ、なのか、俺以外の人と付き合えよ、なのか。

「長い間待たせて悪いが、もう少しだけ待ってくれ。頼む」

 そう言った後、私はしつこく聞かなかった。

圭ちゃんは、私と一緒に帰ってくれた。

別れ道で、圭ちゃんは左に、私は右に曲がって、家に向かった。

圭ちゃんは今誰かと、ううん多分三谷さんと私を天秤にかけているんだろう。

迷うくらいなんだろう。

私はすぐに否定した。

三谷さんは美人で、料理も上手。ナイスバディで、穢れてもいないし、傷もない。どこに悩む必要があるだろうか。

やっぱり、あの二人は、付き合っているのかな?

それとも、これから圭ちゃんは、三谷さんに告白しようとしているのかな?

だったら、私は、邪魔できないよ。私なんかと付き合うよりよっぽど幸せな人生を送れると思うから。

好きな人の幸せを願うのは当然のことですよね、幸一さん……



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


幸一side

戦利品のイチゴホールケーキを俺は中森家に持って帰った。

「ただいま」

すっかり慣れたものだ。

台所には、早貴ちゃんがいた。今夜の御馳走を期待させる匂いが、鍋から漂ってくる。

どうやらすき焼きのようだ。牛肉の他に、馬肉が入っている。まぁ、こっちの方では、馬肉も食べられるから、特に不思議なことでもない。もう慣れたからな。

早貴ちゃんは、何かを耐えているかのように、黙々と具材を切っている。

「ただいま」

「あ、え? 幸一さん。お帰りなさい。いつの間に戻られていたんですか?」

「ついさっき。集中していたから鍵を開けたのも気付かなかったのかな?」

おかしい。早貴ちゃんは普段こんなことはない。

「ご、ごめんなさい」

最近なんともないことでも、早貴ちゃんは謝る。謝り癖が付いてしまったのか。

嫌われたくないから、嫌われて一人になるのが怖いから、すぐに謝るのだろう。

「何か手伝おうか?」

「いえ、あ、お風呂掃除頼んでも宜しいですか?」

いつもなら、良いんですか? のはずだ。

「ああ。何か悩み事があるなら俺に言ってくれ。俺に出来ることなら何でもするから」

と言って、俺はさっさと風呂場に向かった。

本当に恥ずかしいセリフだ。

まず、栓を抜いて、それから、風呂場の掃除にとりかかる。

お父さんが帰ってくるから、いつもより念入りにしよう。



風呂掃除が終わった頃、俺は台所に顔を出した。

既に料理が出来て、早貴ちゃんはソファーで一休みしていた。

「あ、幸一さん」

何やら元気がないようだ。

いつもそんな気がするが、事件の前の早貴ちゃんはもう少し明るかったな。

自信をなくしたのだろう。

俺はお茶を飲もうと冷蔵庫に向かって行こうとしたら、早貴ちゃんが後ろから抱きついてきた。

「ん……ぐす……」

泣いていたのか。

俺は何も言わずに、ただ立っていた。

早貴ちゃんの心臓の鼓動は早い。

「もう少しだけ、このままで、いさせてください」

早貴ちゃんに頼まれて、もう少しだけ立ち止まることにした。

しかし、タイミングが悪く、玄関の方でガラガラガラッという音がした。

「ただいま~」

早貴ちゃんのお父さん、真二さんが帰って来た。

リビングと玄関は近い。少し廊下を歩いて扉を開けると着く。

距離にして5mだ。

「おや? 仲が良いんだね」

「お帰りなさい、真二さん。あ、あはは。早貴ちゃんいつまでくっついているのかな?」

「お帰り、お父さん」

早貴ちゃんは、やっと俺を解放してくれた。

「御馳走出来てるよ」

「おお、今日は俺の好きな、すき焼きか」

「お風呂にする? ご飯にする? それとも……」

おい、そのセリフはなんなんだ?

「美貴の所に行ってくる。その後に飯だ」

美貴とは、早貴ちゃんの母親で、早貴ちゃんが五歳の頃に亡くなったらしい。

因みに、アルバムを見せてもらったが、早貴ちゃんに瓜二つだった。

早貴ちゃんは、茶碗に御飯をつぎ始めた。

俺は箸を用意した。



真二さんは、久しぶりの早貴ちゃんの料理を食べながら、出張先のことを話した。

「いや~なかなか楽しかったよ。ちゃんと仕事もしたけどな。ずっと部長の家に泊まっていたんだ」

お父さんは九州の福岡県の日本環境保全会社九州支部(九州環境保全会社)に出張していた。

因みに、俺の故郷である。

「部長夫妻と仲良くなったよ。今度こっちの方に用事があったら、家族一緒に泊まりに来てください、って言われちゃったよ」

真二さんは、誰とでも仲良くなれる人で、あまり怒らない人だ。

「そう言えば、部長さんには、息子さんが二人いるようだけれど。お兄さんは、社会人で、弟さんは大学3年生だって」

……

「真二さん、もしかして、計画課の部長ですか?」

「ああ、そうだよ。環境保全計画の仕事だったからね」

やっぱり。

「それ、俺の父です」

「あ、やっぱりそうか。何となくそんな感じがしたんだよ。名字も同じだし。俺も、早貴の話をしたよ。家庭教師の話も。まあ、名前は言わなかったけれどね」

早貴ちゃんは、驚きながらすき焼きを食べていた。

モグモグ……

「早貴、何か変わったことあったか?」

急に話を振られた早貴ちゃんは、俺を見た。

「こっちの方で、5人目の被害者が出たんだってな。幸い犯人は事故死して、被害にあった少女は生きているみたいだが」

目の前にその少女がいるのだが……

「あ、えっと、その」

「あの、真二さん。食後にちょっと大事な話があります」

早貴ちゃんが俺をチラチラ見ているので、俺は助け舟を出した。

「ん? ああ、分かった」



早貴ちゃんに風呂に入ってもらっている内に、俺は真二さんに大事なことを打ち明けた。

事件のことである。

「本当に、早貴が5人目の被害者なのか?」

「背中を見てもらえば分かります。本人に許可を貰って見せてもらってください」

真二さんは、脱衣所でタオルで体を拭いている早貴ちゃんに、扉越しに話しかけた。

「早貴、幸一君から話は聞いた。辛かっただろう。背中見せてくれないか?」

早貴ちゃんは、下着と寝間着のズボンを履いて、扉に背を向けて、シャツで胸を隠しながら、真二さんに

「扉を開けて良いよ」

と言った。

真二さんは覚悟を決めて、脱衣所の扉を開けた。

俺は包帯をリビングに用意した。

「早貴、本当に、背中に5が刻まれているんだな」

……

早貴ちゃんはシャツを着て寝間着を着た。

「これからどうするんだ?」

「今まで通り、暮らしていきます。どんなに辛くても、私は幸一さんと約束しました。絶対に自殺をしないって」

少し泣き出しそうな顔をする早貴ちゃんの頭を真二さんは撫で撫でした。

「う、幸一さんと同じことをするんだね」

「そうなのか? 俺は、美貴にしていたことと同じことをしているだけだよ」

「男の人はみんな、女の人の頭を撫で撫でするものなの?」

「まあな、泣きそうな子には。あと恋人同士なら」

恋人……私は、誰かと付き合えるのだろうか?

「私、お嫁に行けるかな?」

「嫁の貰い手か? 早貴が好きな人に告白しろよ。もしいないなら、お父さんと結婚するか?」

「うう、それは昔の話だよ。それに法律上できないよ」

「冗談だ。ただ、お父さんが寂しいのは事実だ。できれば、一緒に暮らしてくれると助かる。俺は料理出来ないからな」

そうだ、ずっとお父さんは、お母さんや私に家事を任せてきたんだ。私がいないとお父さんは困るんだ。

「でも、好きな人がいるなら、その人と結婚してこの家を離れるのなら、止めはしないよ。お父さんは早貴の幸せを望んでいるからな。幸一君だって、そうだよ。彼にはずっと、助けられっぱなしだよ。俺の代わりの話し相手だけじゃなくて、家事の手伝い、家庭教師、しまいには、命懸けで命の恩人にもなってくれたなんてね。いつかお礼しないとな。幸一君は何をすれば喜んでくれるか?」

話題を変えてくれたのかな?

「う~ん、何でも喜んでくれると思うよ」

「そうか。早貴をやったら喜ぶかな?」

「そ、それは、どう……かな?」

早貴ちゃんは両手の指を曲げて、親指を除く全ての指の第一関節と親指をすりすりこすり始めた。

「早貴、お前本当に美貴の子だな。そっくりだ。俺が美貴に告白する直前と。あいつは、俺と二人きりになって、向かい合った時にそういう風にモジモジしてた。何も言わなくても分かる。早貴、お前は好きなんだろ、彼のことが……」

「言わないで、お願い。本人には絶対に言わないで」

早貴ちゃんは、念を押して、お父さんにお願いした。

彼には絶対言わないで、と。



今夜は、俺は一人で寝ている。

早貴ちゃんはヌイグルミ(シロポン)を抱いて自分の部屋で寝ているはずだ。

お父さんは疲れて熟睡している。

「久しぶりに眠れるな」

最近、寝不足だった。早貴ちゃんに抱かれると、胸の鼓動が激しくなって眠れなかったから。


早貴side


「おかしい、今日もアレが来ない。とっくに来ていてもおかしくないのに。全然来ない」

何かがおかしい。

あの事件の日から、私の体がおかしくなったのかもしれないと、私は思った。

こんなことは、今までなかった。

アレが止まる原因は、もしかして……いやだ。そんなこと信じたくない、認めたくない。私はそんなこと望んでいない。

もし、そうだったらどうしよう。

もし、ああなったらその時は、正直にお父さんに言おう。

出来るだけ幸一さんには内緒で。



今日は、一人で寝た。さすがに、お父さんが帰って来ているので、幸一さんと寝るのは止めておいた。

「ん~、やっぱり、シロポンを抱くと、魘されないな」

シロポンとは、私が小さい時にお母さんに買ってもらった白いヌイグルミだ。

破れたところを縫っている内に、何の動物なのかイマイチ分からなくなってしまった。

アザラシなのか、ペンギンなのか、オットセイなのか、サカナなのか……

そんなことは置いておいて、昨日のすき焼きの残りを温めないと。

私は、階段を下りて、リビングに向かった。

そこには、既に起きていたお父さんが新聞を読んでいた。

「おはよう早貴。今日はゆっくりしているんだね?」

いつもより遅い時間に目が覚めたことに今の今まで気付かなかった。

時計を見ると、8時10分。

「あれ? 1時間遅かった?」

「まぁ、休日くらいゆっくりしなさい」

「うん。それにしても、お父さんと二人きりになるのって久しぶりだな」

お父さんは、顎に手を当てて、頷く。

「まぁ、出張していたからな。ところで、幸一君とは仲良くやっているようだな」

「う、うん」

何だか、唾液が苦い。

「敢えて聞かないが、良い人のお嫁さんになるんだぞ」

「……」

「早貴?」

う、突然、吐き気が出て、私はトイレに駆け込んだ。

「う、うえぇ~」

「早貴、大丈夫か?」

お父さんが背中をさすってくれる。

胃の中の物が全て出て行っても吐き気が止まらない。

胃液で、口の中が苦い。

「うう、ゲホゲホ」

幸一さんが階段を駆け下りてくる音が聞こえた。

「お父さん、早貴ちゃん、どうしたんですか?」

「いや、急に早貴が戻してしまって」

私、迷惑ばかりかけている。



少し吐き気がおさまった。

お茶を飲んで、口の中をすっきりさせた。

「眩暈はするか?」

「ううん、大丈夫」

幸一さんは、着替えに行った。

「お父さん、私どうなるの? お父さんなら知っているよね。お母さんもなったんだから」

「えっと、症状が良く分からない。吐き気だけか?」

「……私、アレが来てないの。事件の時、あの日から丁度、その……」

「もしかして、アレなのか?」

「つまり、その……」

幸一さんが戻って来た。



幸一side

「もしかして、早貴ちゃん、モーニングシックネスなのか?」

つまり、そういうことか。

「えっと、その……」

「ああ、そういう表現があったな。って何でそうなるんだ?」

「ソレを回避する薬があったのですが、それを使うと出血してしまって、ただでさえ血が足りない状態では使えなかったのです」

モーニングアフターピルのこと。

妊娠の可能性がある性交のあと、すぐに飲む薬。強制的に月経を起こし、避妊する薬だ。

事件の傷で、失血死しそうになった早貴ちゃんには、この薬は使えなかった。

避妊できても、死んだら意味がないからである。

 という医師の話を思い出した。

 あとは、妊娠しないことを願うしかなかったのだが……

「なるほど、そういうことか。なら、話は早い。すぐに病院に行こう。今日は土曜日だから、街の病院なら開いているかな?」

まさか、予定通りに街に行くことになるとは。

「安心していいよ、早貴ちゃん。それで、どうやって行くのですか?」

「列車で、1時間だ」

長い。

「耐えてくれよ、早貴」

こう言う時に限って、病院は空いていないのか。

因みに、入院した所には、手術が出来る産婦人科がなかった。

すぐに、支度をして、早貴ちゃんには着替えてもらって、すぐに行くことになった。

俺は、田中刑事に連絡をした。

早貴ちゃんが妊娠していたこと。今から街の病院に行くこと。

『金は俺が出す。こういうのも警察の仕事だ。一応、俺はあと1年ほど例の事件の担当で、事後処理まで任されている』

俺は安心して、電話を切り、財布の中身を確認した。

田中刑事は、飯原駅から列車に乗ってくるようだ。

恐らく、七宮駅で同じ列車に乗れるだろう。



七宮駅まで、約八分だった。

小さな旅館の向かい側に駅はあった。

駅の中の踏切を渡って反対側のホームに急いだ。

下り列車がカーブの手前まで来ている。

たった今、踏切の音が鳴り始めた。

列車が大きな音を立てながら、七宮駅に停車した。

平日なら、通学や通勤の人で満員になるだろう。

だが、今日は休日だ。予想通り、あまり人は乗っていなかった。

車掌さんがホームに降りて来て、乗降客の確認をして、切符を切っていた。

七宮駅は、無人駅で、切符は車内で車掌さんから買うのである。

八時四五分、定刻通りに列車は出発した。

俺達は窓を背に座った。真二さんが向かい側で、早貴ちゃんが隣に座っている。


「飯倉駅まで、三人」

お金は俺が出した。1200円だった。

真二さんが財布を家に置き忘れたのではなく、財布の中身が寂しいようだ。

「すまないな」

と、お父さんは言ったが、気にしていない、と言った。

「お金なら、心配しないでください」

「給料が入ったら返すよ」

後ろの車両には、タバコが似合いそうなおじさんが乗っていた。

それは、田中刑事だった。

早貴ちゃんは少々眠いようだ。うとうとしている。

吐き気が出て気持ち悪くなるより、眠っていた方が楽だろうから、早貴ちゃんに俺の肩をかした。

田中刑事は、頃合いを見計らって、扉を開けてやって来た。

「失礼します。私はこういう者です」

警察手帳を真二さんに見せた。

「ああ、手帳屋さんですか」

とても警察に見えない格好をしている。無精鬚が伸びて、少々寝不足のようだ。

「お嬢さんが被害にあった事件を担当している者です。話は幸一君から全て聞いています。民事不介入とはいえ、これも事件に関わることですから、警察が費用を負担します。ご安心ください」

まあ、個人的に助けたい気持ちが大きいが、それは表に出さないようにしよう。

「飯倉病院に電話をして、予約を入れておきました。女医さんにするように念を押しておきました」

被害に遭った女性は、産婦人科での治療の際、事件のことがフラッシュバックして、治療できない人もいる。

「一一時丁度に、治療を始めるようですので、この列車は、飯倉駅に九時三五分に着きますから、余裕があります。それまで、事件のことと、今後の私の仕事の話でもしましょうか」

田中刑事は、淡々と話し始めた。



事件の内容と、田中刑事がパトロール中に、犯人と早貴ちゃんを見つけたこと。

カーチェイスを他の人に任せて、救急車を呼んで早貴ちゃんを病院に連れて行ったこと。

病院で、血が足りない時に、俺が命懸けで血を分けていたこと。

学校でのことは本人から言わないようにお願いされていたから話さなかった。

「以上で、事件の話を終わります。まだ、半分時間が残っていますね」

田中刑事は、さらに自分の過去の話をし始めた。


例の事件で、最愛の婚約者(早百合)を殺されたこと。

自分が警察なのに、自分の大切な人を守れなかったこと。

なんとか捜査員に任命されたこと。

必ず犯人を捕まえて、刑務所で一生罪を償わせてやろうとしたが、結局死なせてしまったこと。

そういう話をしている内に、柿で有名な下田駅を過ぎた。

あと四駅程で飯倉駅に着く。

すーすー、という寝息が俺の耳元でする。

よく眠る子だな。妊娠すると眠くなるとは聞くが、もしかして早貴ちゃんは乗り物に乗ると眠くなるのか? 確か俺と飯原駅で会った時も、寝過ごしたとか言っていたはずだ。

それにしても、この構図はなんだ? 本当なら隣にいるべき人は真二さんのはずだが。真二さんは特に気にした様子はないようだ。早貴ちゃんの話し相手を頼むくらいだから、これくらいのことは目を瞑るのか?

あっという間に、桜ヶ丘駅を過ぎて、早貴ちゃんを揺さぶって起こしてあげた。

隣駅が飯倉駅である。




病院に着くと、色々面倒なことは田中刑事がやってくれた。

早貴ちゃんは、ソファーでゆっくりしている。

「とりあえず、必要な書類は書いたから、すぐ呼ばれるよ。一応一人治療室についていけるみたいだから、誰が良い?」

「それじゃ、お父さん、一緒に来て」

中森さん、と呼ばれて、二人は中に入った。

「何か期待していたのかな?」

「いいえ、何も」

田中刑事は俺に聞いてきた。

「自分が選ばれたら良いなとか思ったか?」

「いいえ、ただ単に早貴ちゃんに選んでもらいたかっただけですよ。こちらから言うもんじゃありませんから」

淡々と答える。

そう言えば、真二さんはカバンを持ってきたが、今日も仕事があるのだろうか? 

それとも、やり残した仕事でもあるのだろうか。

真二さんの会社はこの街にある。

日本環境保全会社グループひとつ、信州環境保全会社の支社がここ、飯倉市にある。

地図で調べたら、病院の北西にあった。

田中刑事は何も喋らなくなった。

病院というところは静かにしないといけない場所だが、静か過ぎる。

この沈黙というか、カートが動いて行くガラガラという音しか聞こえない状態が一秒一秒を長く感じさせた。


 手術は二日間に分けて行われる。一日目は、子宮口を開くための器材なり、水で膨らむ海藻なりを使い、病院に一日泊まるのである。

「幸一君、早貴を頼むよ。俺は仕事に行ってくる」

 今日病院に泊まるのは俺と早貴ちゃんで、真二さんは会社に泊まる。田中刑事は飯倉署に泊まるようだ。

「警視庁の特別捜査員ってのは、便利だぞ。ただし、難解な事件を担当するから、当然と言えば当然の待遇だが……」

 早貴ちゃんは麻酔が効いていて、良く眠っている。

 病室では、俺は早貴ちゃんの手を握って寝た。

 一緒に眠っていたら、色々問題があるだろうから。

 そして、翌日の午前九時に、二日目の手術が始まった。

 真二さんが治療室に入り、俺と田中刑事が外で待つ。


一時間もせずに手術は無事成功した。

因みに、手術というのは、人工妊娠中絶と言う。


ただ、この手術には時々、不妊症になるという副作用がある。

「……」

早貴ちゃんは元気がない。

麻酔が切れて、目が覚めたばかりらしい。

事件のことがフラッシュバックしたのか、それとも……

「ふう……痛かったです」

痛かった。なんとも悲しい話だ。

麻酔を打って寝ていても、夢の中で、魘されていたのかもしれない。

痛い思いをして、嫌な思いをして、気分が悪くなって戻して、手術の時も痛みを伴うのである。

本当に、女性は大変だ。男尊女卑なんてもってのほかだ。

何故、女性は大切に扱われてこなかったのだろうか?

子供を産めるのは女性だけなのに。

俺が病院のロビーで、早貴ちゃんの隣に座りながら、そんなことを考えていると、田中刑事は、別れを告げて、帰って行った。

事件の事後処理、レポートを書いているのだろう。



①デート 改


お父さんは、外で携帯電話で誰かと話をしている。

どうやら仕事らしい。出張から帰ってきたから、色々と忙しいようだ。


「済まない、幸一君。俺はまだ仕事があるから、早貴を頼む。夕食は一緒に食べようか。色々お礼もしたいから。一八時に会社のロビーで待ち合わせよう。早貴、元気出せよ」

「うん。私は大丈夫だよ。行ってらっしゃい」

それじゃ、と言って、お父さんは急いで会社に向かった。

あっという間に二人きりになった。

そのまま、ゆっくりしていた。

医師の話だと、安静にしなくてはならないようだ。

休憩室で三時間ほどゆっくりして、病院を出た。


さて、あと六時間あるな、どうしよう。

俺はこの街を知らない。

道案内を早貴ちゃんに頼むことにした。

ただ、持ち合わせの金が、五〇〇〇円しかない。

この文章を英訳する時には、withがいるような気がするが、そう言うことは置いておいく。Withは携帯しているという意味を含む。なければ、持っているお金(全財産)を意味する。まぁ、前後関係から判断して、一応理解してもらえるだろうが、試験だと三角か×になる。

「八十八銀行でお金をおろそうと思うんだが、銀行の場所教えて」

「あ、はい。こっちです」

駅前通りに、八十八銀行はあった。

五〇万円をおろして、早貴ちゃんが待っている入口に向かった。

「それでは、アップルロードに行きましょう」

南東に向かって歩くこと五分、アップルロードに着いた。

アップルロードとは、リンゴの並木道のことだ。

昔この町で、火事があり、その教訓として、道幅を広くしたらしい。

近くに公園があり、噴水が見えた。

そう言えば、俺はずっとトイレを我慢していた。

噴水の近くのベンチにある人物がいた。

「あれ、圭ちゃん?」

「さ、早貴! 何でここにいるんだよ?」

「病院行ってきたんだよ。治療してきた」

東圭一は、そわそわとしている。何かまずいところでも見られたか?

それはおいておいて、奥の方で何か動いたような気がする。

「トイレ行ってくる」



② 改

と言って俺は一度公園の下にあるトイレに向かった。因みに、ここの公園の下は駐車場になっている。

用を足して、トイレから出ると、長い黒髪をまっすぐおろした少女が、噴水の方に歩いて行った。俺は早貴ちゃんの方を見たが、圭一君と何か話しているようだ。俺は公園の周りを静かに歩く。角を曲がって、少し歩くとそいつはいた。

「む~、これは、修羅場? 圭一と美華ちゃんのデートの待ち合わせ場所に、早貴ちゃんが謎の男性とともに現れた?」

状況説明ありがとう、謎の少女。

「そこで何しているんだ?」

「ふえ?」

肉まんをくわえまま振り向いた。

「……」

気のせいか? 何か既視感があるような。

「む、謎の男性!」

「俺もここから見ておくか、修羅場を」



早貴ちゃんside


「早貴、あの人誰だ?」

圭ちゃんはトイレに向かって歩いていく幸一さんを指差した。

「家庭教師の吉田幸一さん。私の命の恩人だよ」

「そうか……この前は悪かったな、ずっと待たせておいて、また待ってくれだなんて」

校舎の屋上の話と、教室の話。

「いいよ。急いでいたんだよね。気にしてないよ」

私は、圭ちゃんにもう一度自分の気持ちを伝えよう。

「圭ちゃん、私、圭ちゃんのこと、今も好きだよ」

圭ちゃんは、とても驚いた。



まさか、また告白してくるとは思わなかった。そんな顔をしているように思えた。

しかし、実際はそうじゃなかった。

「み、美華……」

「圭一君、もしかして二股? 酷いよ」

私の後ろには三谷美華さんがいた。

二股って?

「圭一君、説明して。どうして中森さんがいるんですか?」

「偶然だよ」

はっきりと堂々と言った。

「そう……中森さん。私と圭一君は恋人同士なの。あきらめてください」

恋人同士。そうか、圭ちゃんは、三谷さんと付き合えたんだ。

「そっか。良かったね圭ちゃん、三谷さんとお付き合いできて……」

やっぱり失恋だった。泣きたい気持ちを抑えて、私は二人に訊く。

「二人はいつから付き合っているの?」

「今日から1ヶ月前の下校途中からです」

1ヶ月前……ちょうど、私が圭ちゃんに告白した後だ。

事件の日の後も付き合っている素ぶりは見せてなかったけれど、あの日から何となく、二人の態度が変わっていたから、もしかしたらと思っていたけれど……

「いつからそんなに仲良くなっていたの?」

「大雨が降った金曜日、全校集会があった月曜日の前の週の金曜日です」

事件の日だ……

「午後5時頃ですよ。軒下で雨宿りをしているときに二人っきりで1時間くらい話している内に仲良くなりました」

御守りにナイフが刺さったのと同時?

「そうなんだ。私も、そんな雨宿りしたかったな…… ははは、私とは大違いだね」




「中森さんもどこか別の場所で雨宿りしていたのですか?」

「うん。事件に遭ったんだ……私は、もうお嫁に行けないよ。傷だらけだし、穢れているし」

三谷さんは驚いた。どうやら、事件の話は、三谷さんにもしていなかったようだ。

「そ、う、ですか。中森さんが、あの事件の……」

「早貴、その……」

大丈夫だよ……なんて、軽く言うことはできない。たとえ、元気づけるためだとしても。

 圭ちゃんは幼馴染が苦しんでいるのに、苦しめたのは自分のせいかもしれないが、何もできないのが悔しい。そんな顔をしていた。

何も言えずに、沈黙だけがその場を支配していた。



幸一side


「何だか、大変なことになっちゃった」

謎の少女は、慌てふためく。

「早貴ちゃんが、あの事件の被害者で、圭一のことが好きで、告白したら、圭一の恋人の美華ちゃんが現れて、振られて、それを見ちゃった私はどうすればいいんだ?」

「とりあえず、落ち着け。俺が向こうに行って、場の空気を変えるから」

「む、頼んだ!」

謎の少女は右手の親指を立てて見せてきた。

「ああ」

と真似をして、俺は元来た道を戻り、あたかもトイレから戻ってきたかのように振る舞って修羅場に行った。

「あれ、早貴ちゃん、そちらの方は友達?」

「あ、はい。三谷美華さんです。圭ちゃんの、恋人です」

グラマラスな体格の女性はこっちを向いた。恋人という言葉を強調して言った。

「こちらは、私の家庭教師の吉田幸一さんで、命の恩人です」




俺は圭一君の方を見て、反応を窺うことにした。

「二人はお似合いのカップルですね」

二人は少し戸惑っている。

「あ、ありがとうございます」

これで精一杯か。

「で、あそこにいるのは、友達?」

話題を変えよう。

「え?」

指を差した。

すると、指を差された本人が茂みから出てきた。

「由里ちゃん!?」

「由里!?」

「む~、見つかってしまったか」

と言いつつ、俺に文句があるような顔をした。隠れているつもりだったのか?

「話は聞いたよ、早貴ちゃん」

どこかで聞いたようなセリフだな。話は聞いたよア●パ●マ●……か

「本当に事件の被害者だったんだね」

仲良しの幼なじみに知られてしまった。圭ちゃんは、由里ちゃんにも話していないようだ。

「気にしなくていいよ。傷があっても、早貴ちゃんは早貴ちゃんだよ」

あまり傷、傷と言わない方がいいんじゃないか?

「私、病院に行ってきたんだよ。人口妊娠中絶っていう手術を受けてきたよ。それでも、お嫁に行けると思う?」

要は堕胎歴があるということだ。

「大丈夫だよ。料理上手だし、優しいし、可愛いし、親切だから、もし誰も振り向いてくれないときは、私の嫁になるといいよ!」

ここは笑うところか?



「あはは、ありがとう。由里ちゃんは優しいね」

冗談は程々にしておいた方が良いと思う。

「早貴ちゃんは早貴ちゃんだよ。これからも、ずっと友達だよ」

恥ずかしいセリフだな。だが、こういうことを言ってくれる友達は大切だな。

木田由里は、公園の時計を見上げた。

「あ、もうこんな時間だ。用事があるから、それじゃ!」

逃げたな。

「私も、そろそろ行くね。二人の邪魔したらいけないから。二人とも、幸せになってね。(私の分まで……)」

早貴ちゃんは、こみ上げて来る涙を流さないように我慢して、二人に背を向けて、公園を出て行く。

「早貴ちゃんのことは気にせず、デートを楽しんでくれ。俺がなんとかして元気づけるから」

俺は、二人にそう言い残して、早貴ちゃんの後についていき、公園を出た。



早貴ちゃんは我慢出来ずに、俺の胸を濡らす。

「撫で撫で……」

上目使い禁止!

「うう……」

まだ泣きやまない。

「大丈夫だよ。早貴ちゃんは良いお嫁さんになるよ」

頭をずっと撫で撫でしてあげている。

「うう……相手がいないです」

「これから出会うかもしれないよ。早貴ちゃんは可愛いし、優しいし、料理上手だから、大丈夫だよ」

木田由里と同じことしか言えないのが情けない。

「傷だらけで汚れています。病院で手術も受けました。こんな私でもお嫁に行けますか?」



俺が由里ちゃんと同じことを言ったからって、俺にも同じ質問をするなよ。

あと、そんな目で見つめないでくれ。

「大丈夫だよ。好きなだけ泣いた方がいいよ」

裏通りのベンチに座った。

俺は横で泣き止まない早貴ちゃんの頭を撫で続けた。

いつのまにか、早貴ちゃんは眠っていた。

「泣き疲れて寝たか」

まだまだ子供だな。

俺はずっと、ベンチに座って動かないであげた。

いつの間にか、膝枕になっていた。

どんな夢を見ているのだろうか。

幸せな夢ならいいのだが、圭ちゃんに振られたばかりだ。

ずっと大好きだった幼馴染に振られたんだ。

長い間返事を待っていて、期待した分、悲しい思いをしている。

俺が支えてあげないと、早貴ちゃんの心は救われない。

絶対に早貴ちゃんを幸せにしようと思った。

たとえ、誰と結ばれようとも……


ED


次回予告

「今日は約束通り、幸一さんと街でお買い物です」

「デ、デートと言えるものなのでしょうか?」


次回 最愛物語 第9話 告白

「俺は早貴ちゃんに話さないといけないことがある」

「私も幸一さんに伝えたいことがあります」









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