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6. 馬車駅での出会い

幸いだったのか、その駅を見つけるのは簡単だった。

いや、簡単というより……


「道? 今どき自分の足で歩く旅行者がいるなんてね」

「ここを10分歩けば馬車駅があるのに、何をしているんだ?」


手取り足取り教えてもらうようなものだった。

近所の住民から田舎者扱いされて、ようやくニュービーと妖精は、王国の交通網が思った以上に優れていることに気づいた。


彼らは本当に10分もかからずに、村の近くの馬車駅を見つけることができた。

馬車駅は思ったより洗練された建物だった。


もし馬と馬車さえなければ、現代の簡易タクシー乗り場だと言っても信じられるほどだった。


地図と大都市行きの馬車?うーん、どちらもこの小さな駅にはありませんが。いっそ王国の停留所へ行かれるのはいかがですか?」

「王国の停留所ですか?」


私がうっかり聞き返すと、駅員は「とんでもない奴だ」という表情を浮かべた。


「いや、いくら旅行者だとしても、王国の停留所を知らないというのですか?」

「いえ…その…そういうことじゃなくて。そこまで行かなきゃいけないのかなと思って。地図一枚のために、そこまで?」


ニュービーはぎこちない口笛を吹きながら、ごまかした。

その言葉に、駅員は「あっ!」という顔をした。


「あ、すみません。旅人なら知らないこともあるでしょうね。最近、外部からの襲撃がまた頻繁になってきていて。」

「外部の人間が襲撃をなぜ……いや、するなんて。本当に危険ですね。」

「そうなんです。あいつら、疲れを知らないのか。みんなあのギルドという場所にじっとしていてくれればいいのに。」


異世界の常識を覚えるのはちょっと厄介だな。

確かに、ほとんどのプレイヤーがギルドに所属していることは分かった。

幸い、宿場の係員はわずかな疑念を捨て、説明を続けた。


「つい先日、外部の人間が当宿場を騙して地図を大量に買い占める事件まで起きたんですよ。そのせいで、王国の駅では厳重な手続きを経て地図を配布することになりました。」

「では、王国の駅へ行く切符はありますか?」

「もちろんです!ここから一番近い王国の駅である第3駅の切符をお切りしましょうか?」

「あ、はい。」


駅員は手際よく切符を切ってくれた。

幸い、そこへ向かう馬車の中では何事もなく済んだ(おまけに妖精はペット割引も受けたし)。


「うわあああ……」


妖精が吐くという些細な(?)出来事はあったが、大したことはなかった。

いや、一体なぜ空を飛べる奴が、いざとなると車酔いをするのか。

とにかく、馬車はガタガタと音を立てながら、森の小道を走った。


一時は緑と茶色しか見えなかった風景が変わった。

二人の目の前に第3駅が現れた。


「うわぁ…… ”

「うわぁ…」


確かにさっきの馬車駅も悪くなかったが、ここと比べるとやはり田舎の駅だったなという気がした。

ただ見ているだけでも、自然と雄大さが感じられた。

まるで、何というか……


「これ…駅じゃない?」

「駅?」

「あの、現実世界で見かけた…えっと…うん…」

「現実? ああ、君たち外部の人たちの世界のこと?」


妖精がささやきかけるように尋ねた。


「あ、うん。そうみたい。」

「『そうみたい』だって?」

「言葉の揚げ足を取らないでよ。現実の世界に長くいたせいか…なんで現実のことがなかなか思い出せないんだろう…」


ニュービーは首を横に振った。

確かに、一日も早く現実の世界に戻らなきゃいけない気がした。

このままじゃ家の住所まで忘れそうだ。

とにかく、どちらから見ても認めざるを得ないほど巨大な駅だった。


何よりも、ファンタジーらしい姿に現代的な建築が重ねられているなんて。


「おかしいな。シーカーワールドって、もともと本格的な中世ファンタジーゲームじゃなかったっけ?」


一体100年の間に何があったんだ、ゲーム内の世界まで現代風に変わりつつあるなんて。


ニュービーはすぐにその疑問を振り払った。

今、それが重要じゃないから。


ガタン!


馬車が降りた駅の正門には、少なくとも数千人はいるであろう人波が渦巻いていた。


「確かに、これくらいなら俺が紛れ込んでも大丈夫そうだな?」


木を隠すなら森に、人を隠すなら人混みに。

これくらいなら、ニュービーのようなプレイヤーが一人や二人混ざっていても不思議ではないだろう。


二人が中に入ると、駅内には様々なNPCが行き交っていた。

その中には、モンスターらしき連中さえ見えた。


「すごいな……」

「私はともかく、なんでそんなに感心してるの?」


新米プレイヤーの問いに、妖精は腕を組んでぶつぶつと文句を言った。


「私も外に出たかったんだ。でも、なぜか森から出られなかったの。」

「じゃあ、森の中に百年もいたってこと?」

「うん……だからすごく辛かったよ。」


ずっとそうぶつぶつ言っていたが、ニュービーを見てニヤリと笑った。


「まあいいさ。君に会ってから、こんな素敵な景色も見られてるじゃないか?」

「何よ、急にそんな照れくさいこと言ったら、くすぐったくないの?」

「もう!ちょっとほっこりしようものなら!ふん!」

「怒るのもまた上手ね……え?」


チリン。


<友達招待が届きました>

<「アリエン」さんを友達として受け入れますか?>


突然のメッセージウィンドウがニュービーの前に飛び込んできた。


「どうしたの?」

「あ、なんか変なメッセージが来たんだけど。ちょっと待って。」


彼は急いで画面を下にスクロールし、承諾と拒否の選択肢に指を動かした。

瞬間、彼は迷いに陥った。


『明らかに拒否した方がいいだろう?いや、拒否するのが罠じゃないか?』


決断を下せず、彼の指が宙を舞った。

すると。


「あら、ダメですよ。ダメ。」


誰かがニュービーの肩を掴んだ。


「ヒィッ――。」

「シーッ。」


彼の肩を掴んでいた一人の女性が、指を口元に当てて「シーッ」と声を立てた。

驚いて固まってしまったニュービーの代わりに、妖精が口を開いた。


「おい! あんた何してるの……」

「ダメ。言っちゃダメ。」

「それってどういうこと?」

「あなたがチュートリアル妖精だってことをみんなに自慢し回るつもり? 王国衛兵隊が喜ぶわね? 口を閉じて、ペットのふりをして。」


彼女の言葉に、妖精は口を閉ざした。

まさかあの子の口を封じられるとは思わなかった。


妖精が静かになると、彼女は再びニュービーに集中した。


「おかしいわね。どうやってギルドを出たのかは分からないけど、外でのヒントを教えてあげるわ。」


『何だ?俺がギルドを出たと思っているのか?』


何だ、この奇妙な勘違いは?

せっかくギルドを探すのに苦労したのに、相手は私がギルドを出たと思い込んでいた。

ニュービーはただ静かに頷いた。


「ふふ、それでも勘は鋭いですね。よし、じゃあ外でのサバイバル講座を始めましょう。」


彼女がようやくニュービーの目の前に姿を現した。

赤に金色のハイライトが入ったストレートヘアのおかげで、まるで燃えているような髪に見えた。

それに比べて洗練されたブラウスと黒いレザーパンツを見ると、誰が見ても洗練された都会人だった。


「さあ、とりあえず『承諾』を押してみてください。」


彼女がささやいた。

ニュービーは彼女の言う通りに「承諾」を押した。


<友達申請が受理されました。「アリアン」さんと友達になりました>

<友達の「アリアン」さんからチャットが届きました>


「ここに来るのは初めてですか?どこから来られたんですか?」

[まず、最初の裏ワザ。普段はステータスウィンドウが見えていても、空に向かって手招きしないでください。NPCの連中が全部見抜くんですよ。]


彼女は関係ない話を交えつつ、チャットで本題を切り出した。

これって、あのスパイ映画で、関係ない会話をしながら手振りで意思疎通する、あれのことかな?

ニュービーもすぐに彼女の行動に順応したようだった。


「あ、僕、ちょっと田舎の村から来たんで…でも家に帰りたいんだけど、ここがすごくごちゃごちゃしてて。」


残念ながら、彼はまだチャットの使い方が分からなかったため、ただ相槌を打つだけだった。

それでもニュービーがうまく応じてくれたので、彼女も満足そうな様子だった。


「家ですか?」

「はい、はい、家に帰りたいんですが……」

「ああ、そうだったんですね! そこですよね?」

「はい! そこです、そこ!」


理解してくれたのか?


「さあ、これを受け取って。」

[何かあったのかは分かりませんが。ギルドに戻るつもりなら、良い判断ですよ。]


その言葉と共に、彼女は紙を二枚手渡した。

一枚は文字が書かれた紙で、もう一枚は。


『地図だ!』


正直、どうやって地図を手に入れようか困っていたが、一気に解決した。


「ありがとう。でも、どうやって?」


ニュービーの質問に、彼女は無言でニヤリと笑い、チャットを送った。


[普段、道に迷ったユーザーさんのためにたくさん用意してあるんですよ。最近は手に入れるのが少し難しくなりましたが、へへ。]


彼女は満足げな微笑みを浮かべ、うなずいた。


「じゃあ、行かなくちゃ。無事に家に着けるよう祈ってます。」

[じゃあ、また今度。へへ。]


その言葉と共に、彼女はゆっくりと人混みの中に消えていった。

その時になって、ずっと口を閉ざしていた妖精が、息を荒くした。


「ふはっ! きつかった……」


さっき彼女の忠告を念頭に置いたのか、妖精が私に囁くように言った。


「でも、あの子は誰なんだろう? 怪しくない?」

「それはそうだけど……」


確かに怪しかった。

突然の助けなんて。


だが、もし彼女がプレイヤーなら、助けるなら助けるだろう。わざわざ同じプレイヤーを窮地に陥れるだろうか?わざわざNPCに都合の良いことをするだろうか?


「それでも、内部の人間を信じるくらいなら、いっそ同じ外部の人間を信じるよ。」

「そうだな……」


ニュービーの答えに、妖精も同意した。

もしかしたら? 思いがけない貴人かもしれない。


ニュービーは、もしかしたらという気持ちで、彼女がくれた紙に書かれたギルドへの道順と駅地図を比べてみた。


駅地図 <12番馬車駅:外部者たちの最後の抵抗拠点であるギルドが近接しているため、訪問者はご注意ください>

彼女の地図<12番馬車駅:ギルドへ入ることができる唯一の門があります>

おおまかに一致はしていた。


「どう?」


妖精は好奇心を抑えきれず、小声で尋ねた。


「だいたい合ってるけど……とりあえず12番馬車駅という場所を経由するみたいだ。」

「そう? じゃあ、そこは必ず行かなきゃいけないってことね。」


正直、もっと調べられるんじゃないかとは思えたが、ニュービーは分かっていた。


「どうせ俺が調べたところで、得られる情報は少ない。」

「そりゃそうだな。」

「むしろ情報を得るなら、どうにかしてギルドに行くことが重要だ。」


情報であれ支援であれ、とにかく同じプレイヤーの集まる場所に行かなければ、何も得られなかった。

ここでいくら粘って騒いでも、情報を得られるどころか、運悪く捕まればまた檻に閉じ込められるのは目に見えていた。


「どうにかして、とりあえずギルドに行こう。旅費を稼ぐために一つの村で長居しすぎたし。」


*


「うううう……」

「これは俺も知らなかったな。すごいな。」


せいぜい前に乗った荷馬車と大差ないだろうと思っていたのに。

今、目の前にある馬車は、これが馬車なのか地上を走る飛行機なのか区別がつかなかった。


二人の目の前にある馬車は、大きさだけで見ても3階建ての建物並みだった。


「わあ、こんな建物が動くの? そんなこと可能なのか?」


正直、初心者にとってはそれほど重要なことではなかった。

どうせゲームじゃないか?


魔法だろうが何だろうが、設定を適当に盛り込めば可能だった。

そう思っていたのだが……


「本当に……思いもよらない方法だな、これ。」


今、ニュービーの目の前には、あの巨大な建物サイズの馬車を引く獣が見えた。

いや、実のところ獣が何であれ、それも重要ではないのだが。

重要なのは、それがボスモンスターだったという事実だった。


「 一体どうやって調教したんだ?あれ、レイドボスじゃなかったか?」


シーカーワールドの素人でも知っているほど、シーカーワールドといえば思い浮かぶ有名なボス、ケロベロス・ドラゴンだった。

その名にふさわしく、凶暴な三つの竜の頭が四方八方に睨みを利かせていた。

奴らが暴れ出そうとするたびに、首にある異質な首輪が火花を散らした。

そのおかげで、奴らは怒り狂った状態でもじっと座って、怒りを鎮めざるを得なかった。


「これ、本当に大丈夫なのか?」

「えー、まあいいじゃん!大丈夫だろう!」

「一体何が何だかさっぱり分からない、この世界は一体。」

「もういい!いちいちそんなこと考えてたら頭が痛くなる、早く行こう。」


そうして妖精が先に中に入ろうとしたその瞬間。


「ちょっと待って!」


突然、王国の衛兵隊が立ちはだかった。

一瞬、ニュービーと妖精の二人は凍りついた。


一体何だ?何が間違っているんだ?チケットは確かに買ったはずなのに?

衛兵が穏やかな口調で親切に口を開いた。


「あ、すみません。ペットは荷物室に乗せなければなりません。」

「え? あ。」

「まさかペットではないのですか? ペットでないなら、言葉を話せる子供ですか?」

「あ…いえ、そうです。ペットです!」


妖精は慌ててニュービーに抗議の表情を向けたが。


『ごめん…』


妖精はそのまま荷物室へと向かってしまった。

それでも妖精の勇敢な犠牲のおかげで、ニュービーは束の間の平和を得ることができた。


『あ、このまま座って、束の間の平穏を楽しめるだろう?』


正直、ここまで来る間、ずっと緊張することばかりだった。

そうして席に着くと、ケロベロス・ドラゴンがしばらく暴れていたが、少しずつ動き始めた。


確かにシーガーワールドでも最強のボスの一人だと言われていた通り、その巨大な馬車が凄まじいスピードで動き出した。


「はあ、少しは休めるだろう。こうして景色も見て。」


素早く過ぎていくその風景を眺めていると、ひと時の平和を味わえるかと思ったが。


「ん?」

風景の中にあった小さな点が、次第に大きくなっていった。

そして、その大きくなった点が徐々に形を成していった。

ニュービーは思わず呟いた。


「恐竜?」


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