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2. NPCの逆襲

「左へ!」

「うわあっ!」


それでも一応ゲームだから、ゲームを全部手探りでやってみた新参者だった。

そこそこ使える反射神経のおかげで、飛んでくる鉄柵をかわした。


「なかなかやるな。新しい外部者は皆鈍いだけだと聞いていたが」


しかし、それは始まりに過ぎなかった。

すぐにNPCの男が鎖を引いて、あの巨大な鉄柵を回収した。

人を閉じ込めるための鉄柵を肩に担ぐ姿は、恐ろしいほどだった。


「一体何だ!何者だ、あれは!」

「何だって!お前みたいな外部人を捕まえる懸賞金稼ぎさ!」


新参者の苛立ちに妖精が不機嫌に返した。


「失礼だな、妖精。献身者と呼んでくれ」


その言葉に献身者が不満そうに返した。


「俺はあいつらとは違う。俺はただ王国のために動くだけだ。ましてや百年ぶりに現れた新たな外部者なんて…」


威嚇するように献身者が再び鉄柵をブンブン回した。


「間違いなく王国にとって莫大な資産になるだろう」


正直言って、ニュービーはこの現実が一体どうなっているのか全く理解できなかった。

しかし、一つだけ明確だった。


『あの鉄柵に入ったらXされる…』


あのクソNPCから逃れなければならなかった。


『俺にあの相手を倒せるわけないだろ?』


それに答えるかのように、献身者が鎖をくるくると回しながら、虚空で鉄柵を回転させた。

すると、木の葉が大量に舞い散り、狂ったような暴風が吹き荒れた。


『何だ?敗北イベントでもないのに…』


客観的に判断しただけでも、到底無理だった。

目の前にあの巨大なトラックのような鉄柵が飛んできても、どうすることもできなかった。


その時、妖精が立ち上がった。


せいぜい少し大きめのオウムほどのサイズの奴が、ニュービーの前に立ち、両腕を上げてガードした。

勇気は確かに立派だが…

そのちっぽけな体が何の役に立つというのか、ただ目をぎゅっと閉じようとした瞬間。


ニュービーの目の前で信じられないことが起こった。


テェン!!!


「どこへ、よくも!」


勇猛な叫びと共に、鉄槌のように飛んできたあの鉄柵が妖精に当たって跳ね返された!

目的を失い跳ね返った鉄柵は別の方向の木を粉々に砕いた。


「な、何だ!」


慌てて、ニュービーの頭が回り始めた。

配信しながらプレイしたゲームは数百本。

それほど多様なゲーム経験のおかげで、ニュービーはすぐに一つの結論に至った。


「お前、破壊不可オブジェクトか!」

「何?感謝もせずに、変な名前で呼ばないでくれ!」


普通のゲームでは現実と異なる常識が多い。

世界観最強の攻撃でも破壊されないかかしのように。

大抵は様々な理由で絶対無敵を付与したオブジェクトが存在するものだ。


妖精もその一つだったのだ。


「とにかく、俺があの鉄柵を食い止めてやるから、お前が攻撃しろ!」

「いや、逃げればいいじゃん!」

「今、あんな奴相手に逃げられると思うか? しっかりしろ! 人生を甘く見るな!」


やれやれ、妖精にまで人生の助言を受けるとは。

新米は少し悔しさも感じたが、とにかく正しい言葉だった。


「いや、俺があれをどうしろって…装備!インベントリ!」


とにかく何かしなければならなかった。


[装備]

外来者の服装

普通の革ベルト

[インベントリ]

- 古い剣(1)

最下級ポーション(3)

麦パン(10)

水筒(1)

10億イベント記念プレゼントボックス(1)

初心者無料パッケージボックス

(1)


惨めこの上ない所持品リスト。


そんな中、初心者と言えば必ず出てくる武器である古びた剣もあった。

まあ、元々初心者ならゴブリンみたいなのを倒すのにぴったりの武器ではあるが。


ただし、相手がプレートアーマーで武装し、人を閉じ込めるほど巨大な鉄柵を鉄槌のように振り回すとなると話は別だ。


結局、新米が選べる方法は一つだけだった。


『ついに命がけのガチャかよ!』


どうか、あの二つの箱から良いものが出てくれますように。

彼は急いで二つのアイテムを選択した。


[「10億イベント記念ボックス」「初心者無料パッケージボックス」を使用しますか?]

「はい!絶対にイエス!」

[10億イベント記念ボックスを開封しました!]

[「心を込めて作ったお祝いケーキ」を入手しました!]

「いらない!そんなもの!」


とりあえず一つはハズレ。

じゃあ残りは初心者専用ボックスだけ!


「お願い、お願い、お願い…!」


[初心者無料パッケージボックスを開けました!]

[初心者武器ボックスを入手しました!]

[初心者衣装セットを入手しました!]


「ちくしょう…!」


やっぱりな。

初心者ボックスから伝説の聖剣みたいなのが出るなんてウェブ小説の話だけだ。


今のニュービーにはこれが現実だった。


『一体どんなファンタジーゲームがファンタジーらしくないんだ!』


[初心者武器ボックス]

[武器を選択できます]

<初心者の剣>

<初心者の弓>

<初心者の槍>

<初心者の盾>


これじゃどうにもならない。


新参者は本能的に悟った。

彼は昔、最終ボス相手に古びた短剣で一日中戦っていた動画を思い出した。


『俺にそんなことできるか。いや、やらない』


ムンチキン転生ウェブ小説みたいなこともないし、かといって古参プレイヤーみたいに突出したゲームプレイ能力もない。

そんな新米プレイヤーが持ってるのはたった一つ。


「おい、いつまでそんなこと続けるつもりだ! 何かしろよ!」

「抗ボオオオオック!」


一瞬、静寂が漂った。

再び虚空で鉄柵を回していた献身者さえも呆れた顔だった。


「今…何だって?」

「降参するって。」

「呆れたな。突然こんな風に降参するって?」

「じゃあどうしろって言うんだ!何、できることなんて何もないんだ!」

「はあ… まあ、愚かにも突っ込んでくるよりはマシだろう。間違って殺すわけにはいかないからな。」


ガシャン!


彼はそう言うと、鉄柵を下ろした。


「入れ。」

「いや、降参したのに、そこまでしなきゃいけないのか?」

「お前みたいな外部の者の手口は、見透かしている。だが、油断などしない。」

「ちっ!」


キーッ


これ以上の交渉の余地はないとばかりに、彼は鉄格子を開けた。

ニュービーはゆっくりと鉄格子に向かって歩いていった。


「おい!頭おかしいのか?あそこに捕まって入ったらどうなるか分かってるのか!」


妖精はそばに寄り添い、ニュービーが捕まって入ったらどうなるかを言葉で浴びせた。

しかし、彼は耳の奥で聞き流すように、ただ鉄格子に近づいていった。


その時、いざとなると躊躇いが残ったのか、ニュービーが指をもじもじ動かし始めた。


「何してるんだ?」


献身者が今すぐでも彼を捕まえようとした瞬間。


「何だって!ハッピーバースデーだ!」


もぞもぞしていた手から突然ケーキが現れた。

そのケーキは真っ直ぐに献身者の顔に炸裂した!


ドスン!


「ぐっ!これは何だ!前が!」

「俺が他のことは知らなくても状況判断力はいいんだぜ!」


同時に彼がそのまま肩で押すと、献身者はそのまま鉄格子の中へ転がり落ちた。

彼は急いで鉄格子扉を掴みながら妖精に叫んだ。


「おい!早く閉めろ!」

「え、え?うん!」

ガチャン!ドカン!


「これで決着だ!」


初心者用武器でも使いよう次第だ。


「開けられない!このクソ外部の野郎!」


ドカン!ドカン!ドカン!


少し心配はしたが。

幸い、錠前代わりに掛け金に掛けた古びた剣が役目を果たしてくれた。


肝心の献身者は、扉を開けるどころか、目元に付いたクリームすら拭い取れていなかった。


その光景に妖精も感嘆するように口笛を吹いた。


「おいよ~っ。お前、思ったより頭いいな?」

「こんな見た目でも、俺ってのは創造力だけは抜群なんだぜ」

「創造力というより小賢しいだけじゃないか…」

「いいから!早く行こう!お前、道知ってるか?」

「もちろんさ!俺を信じてくれ!」


二人が急いで森の中へ消えた後。

その状況でも怒りを抑えきれない献身志が大声で叫んだ。


「忌々しい外部の侵略者ども!俺がこのまま見逃すと思うか!」


ガタガタ、ガタガタ!


「何があっても捕まえる!

お前たち異邦人全員を永遠の収容所に放り込むまでは止まらない!偉大なるPD様に誓って!」


*


正直なところ、新参者としてはまだこれが単なるサプライズイベントなんじゃないかと思っていた。

彼はすぐにそんな希望的観測など捨て去った。


『笑わせるな。いくら何でもこれは完全に一線を越えている』


我が国だけでも放送通信委員会の24時間監視を受けるゲームだ。


そのおかげでシーカーワールドでは、NPCがプレイヤーに危害を加えるどころか、わずかな不快感すら起こさないよう慎重を期すゲームとして有名だった。


なのに、そんな奴らが突然プレイヤー狩りだなんて。

とんでもない設定だ!


「うむ…くっ… 一体これからどうすればいいんだ?」

「心配するな、お前の行く末を責任持つ妖精様がいるじゃないか!」

「チュートリアルだけだろうな。」

「ん?」

「俺がこのゲームを初めてプレイするけど、知ってることは全部知ってる。お前チュートリアル妖精だろ。チュートリアル終了したらすぐに妖精王国だったか?あそこに戻る設定だったはずだ。」

「何言ってんの…?」

「ん?」

一体何て馬鹿げたことを言ってるんだという顔で妖精が返した。

「妖精に国なんてあるわけないだろ?」

「え?」

「俺はこの森で一生暮らしてきたんだ」

「そんなはずない…」

「何も知らなきゃ知ったかぶりすんなよ、な?」


そんなはずないのに?

なんと1時間を超えるYouTube動画でシーカーワールドを勉強したのに…

目の前の世界は事前に勉強したシーカーワールドと一致するものが一つもなかった。


結局、頭を下げて学ぶべきは新参者だった。


「じゃあ、君はどれくらい知ってるんだ?」


その言葉だけを待っていたかのように、妖精は威張った口調で言った。


「ふふふ、私ほどこの世の道理に詳しい妖精はいないわ!」

「ほう?本当か?」

「実は知らないんだ。妖精の同族に会えなくなって百年以上経つからね」

「おいおい…!」

「でも心配するな。君の思っているより、私は知っていることは多いから」


その言葉通り、妖精は思った以上に知っていた。

奴は地面にざっくりとこの世界の勢力図を描いて見せた。


「つまり…大まかに言うと、この世界には王国、ギルド、その他諸々があるんだ。」

「王国とギルド?」


地面には、さっき献身者というNPCの鎧に描かれていた盾の絵と、見るだけで息が詰まる城壁の絵があった。


「ここ、盾の紋章が王国、この城壁の絵がギルドだ。」

「何が違うんだ?」

「全然違うんだよ!」


妖精は極めて難解で退屈な説明を続けた。

新参者はその話を大まかに要約した。


「つまり、王国は私たちを嫌うNPC…いや内部者で構成された国家。ギルドは私たち外部者が集まった勢力ってことか?」

「うん!」

「はあ、これめちゃくちゃ複雑だな。」


正直、それ以外にもNPCとプレイヤー間の戦争だとか、モンスターを巡る利権争いだとか、本当に複雑で厄介な状況だった。

ただニュービーにとって重要なのは一つだけだった。


「とにかく安全ならギルドに行けってことか?」

「うん!」


爽やかな返事。


行く先も決まったから、そろそろ出発する時間だった。


「でも、君もついてくるのか?」

「当然だろ?」

「当然なのか?」


いや、なんでそんなに堂々としてるんだ?


「え、まあ、そうだな…」


とにかく一人より二人の方がましだった。

ましてやこの世界に関する知識が皆無の新参者にとってはなおさらだ。


「じゃあ、行く道は知ってる?」

「いや、知らない!」

「何…? おい、お前、知ってること多いって言ってたじゃん!」

「知ってることは多いって言ったよ。実際に経験したことじゃないから。俺は森でしか生きてこなかったんだ!」

「…」


大丈夫だろうか?

一瞬、不安がよぎった。


*


その不安はすぐに現実となった。

二人は一つの大きな問題に気づいたからだ。


「ところで、内部者と外部者の区別はどうするんだ?」

「知らないよ?」

「違う!お前、知ってること多いって言っただろ!何を知ってるんだ!」

「仕方ないだろ!この森には内部者(NPC)しか入ってこなかったんだ!」

「うーん…ちょっと待って。そういえば…」


『え?考えてみれば、あのNPCは俺が外部者かどうか聞いてきたな?』


新参者の頭に閃きが走った。

もし見ただけでプレイヤーだと見抜けていたら、尋ねたりはしなかったはずだ。

つまりそれは。


「とりあえず、俺の見た目がプレイヤーっぽく見えなければいいってことか?」


その言葉に妖精は一言で答えを出した。


「脱げ」

「え?」

「脱げって」



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