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1. ログアウト禁止

本物と偽物など存在しない。

その言葉と共に、我々に自由意志を与え真実に造り給い

我らを生かし給うた方よ、我らは今なおその方を讃え奉る…

どうか我らにバグなきようお導き給え

無限のコーディングの賛美をお受け賜れ…


- 開発者PDへの賛美歌 -


*


まるで誰かがソウル市民を全員拉致して一か所に集めたなら、こんな光景だろうと思えるほど前代未聞の人波がここに満ちていた。

もし空を飛び回る妖精たちとプレイヤーたちのステータス画面さえなければ、現実と錯覚するほどの仮想空間。

こここそがゲーム史の全記録を塗り替えているゲーム内のイベント広場だった。

そしてそこには、ひときわ騒がしいあるJUTUBERがいた。


「こんにちは!全てのゲームを初心者でプレイする男、スーパーニュービーです!」

快活な挨拶とは裏腹に、周囲は冷ややかだった。

「何だよ、あの新参者?」

「あのさ。毎回新作ゲームを2時間だけやって終わりにする初心者コスプレの奴。」

「ああ、あいつ?だから毎日罵られてるんだよ」

「むしろ罵られて人気でもあればまだしも、アグロだけ集めてずっと下手くそだからな」


JUTUBERとして罵られるのは日常茶飯事とはいえ。

やはり、弱点をそうやってピンポイントで突かれると痛いものだ。

おかげでスーパーニュービー(ゲームID)の言葉が途切れた。


「うむ、うむ!ちょっと喉に何か詰まったみたい…ちょっとNGして…さあ、今日やってみるゲームはなんと!同時接続10億のあのゲーム!史上唯一無二の仮想現実MMORPGゲーム!シッカーワールドです!それでは早速見ていきましょう…」

[ああ、まもなくイベントが開始されます。中継サーバーの安定のため、他の放送を全て停止しますのでご注意ください。]

[アカウント「スーパーニュービー」様の連携されたJUTUBER放送を中断します。]

「いや、そんなのどこにあるんだよ!おい、問い合わせ!問い合わせ!」

[こんにちは。シッカーワールドの問い合わせチームAIです]

[回答、シッカーワールド運営チームは正当な理由によりプレイヤー様の配信を停止させることがあります]

[シッカーワールドの個人情報保護及び契約事項をご確認ください!]

「いや、じゃああそこで配信してるJUTUBERたちは?」


スーパーニュービーが慌てて他の配信中のプレイヤーたちを指さした。


[確認中…該当者はJUTUBER『メロメロ』様で、現在JUTUBERとして138万人の登録者を保有し…]

「いや、それじゃなくて!配信がなぜできるんだってば!」

[回答、当該者は現在シッカーワールド運営陣と専属契約を結んでおります。]

「専属契約?そんなのあったっけ?」

[回答、配信平均視聴者300名以上、またはJUTUBER登録者10万名以上のプレイヤーの場合、自動的に専属契約が結ばれます。]


彼のJUTUBER登録者数は1520名、そして平均視聴者数は…11。

決して多いとは言えない数字だった。

それも皆、彼の配信プレイを見て嘲笑う者たちだった。


「どうせ下手くそなのも悔しいのに…」


結局今日の配信は空振りだった。

彼にできるのは、このままイベントを楽しむか、ログアウトした状態で家で憂鬱にベッドに横たわるかだけだった。


「他のゲームの配信を見てみようか…」


現在、全てのゲームJUTUBERと配信者たちがシッカーワールドに集結していた。

もちろん視聴者たちも同様だった。

そんな状況で他の配信をしても何の意味もなかった。

身動きが取れず、イベントだけに集中せざるを得なかった。


クググググググン!


突然、大地全体が轟音を立て、唯一空いていた空き地にピラミッドのような構造物が飛び出してきた。


同時に膨大な数の花火や蝶々など、あらゆる効果が炸裂した。


<わーい!!! 皆さん、こんにちは!>

<皆さんのプレイを責任持つ韓国支部のイベントチーム長!チェジロです!>


その構造物の間から飛び出してきた人物。

元々はそれなりに成功していた配信者だったらしいが、ゲーム会社にスカウトされたとか何とか。


「有名になればどこでも連れて行ってくれるんだな…」


自分を嘲笑し軽んじていた連中が、いざチェジロの登場には皆が歓声を上げる。

意味のない身振り一つに、ただの空咳一つにも皆が歓声を上げた。

有名さえなれば、無数の者たちがあのように歓迎してくれる。

有名さえなれば、あのように様々な人々が取り入ってくる。

スーパーニュービーは、じわじわと這い上がってくる劣等感を抑え込んだ。


『俺だってやらせてくれれば、ちゃんとできるのに…』


そんな考えを巡らせ、感情を落ち着かせようとしたその時。

突然、空中でチュートリアル妖精たちがぼんやりと空を見上げていた。

舞台を大騒ぎにしていたチェジロも、突然言葉を止めて上を見た。

続いて、皆が空を見た。

妙な黄金色が空を覆い尽くすと…

続いて、皆を覆い始めた。


*


どれほどの時間が経っただろう。

イベント広場には誰も存在しなかった。


「ううっ…」


たった一人を除いて。

スーパーニュービーが目を開けた瞬間、信じがたい光景が広がっていた。


「何だ… 何が起きたんだ?」


明らかにワールドカップやオリンピックを同時に開催しても集まりきれないほどの群衆だったのに…

今ここには静寂だけが満ちていた。

ただ木の葉がサササと音を立てるだけだった。


「バグか?それともみんな切断されたのか?」


理解できないことではなかった。

仮想現実だろうと何だろうと、とにかくゲームではないか?

サーバーだけで100万人以上のプレイヤーが参加中だったというから、サーバーがダウンしてもおかしくなかった。


「そんな中で俺だけ落ちなかったのか?」


無駄なことだけ運がいいなんて…昔からそうだった。

昔から?でも、妙に過去がよく思い出せないな…


「あー…知らん。ログアウト。」


静か。


「…?ログアウト?ステータスウィンドウ?」


静寂…


「何だよ?音声認識エラーか?」


チリン


[%%$#^%!@#$@%....%$#%@$#...@%@#]


「な、何だよこれ?なんで?」


ステータスウィンドウは表示されたものの、状況はさらに深刻化した。

メニューのステータス画面には、到底読めない文字ばかりが並んでいた。


「そ、えっと…あ、アカウント!そうだ、アカウントの方に行けば緊急ログアウトキーがあるはずだ!」


チリン


[アカウントUID : #!$@%#@%---%3#2#4@4]

アカウント名 : #!@! ニュービー

レベル : 1

[ステータス]

HP : 100

MP : 50

体力 : 10

筋力 : 10

敏捷 : 10

知力 : 10

[TIP : その他にも様々な活動で新しいステータスを発見できます!]

...


「これじゃない、これも違う…」


数えきれないスクロールの末に『緊急ログアウト』を発見した。


[緊急ログアウト]

[緊急時に押してください]

今が緊急時じゃないって言うのか。

グッ!


「…」


10秒…1分…何も起こらなかった。

ありえないことだった。

人が死ぬような事態だけは防ぐため、あらゆる安全装置を設けることで有名なゲームだった。

そのおかげで世界で最も安全なゲームという称号も得ているのに。

その時になってようやく、ニュービーは自分が何に巻き込まれたのか悟った。


「何だよ!出せ!何やってんだ!早く出せ!さもないと訴えるぞ!訴えてやる!何十億も搾り取るからな!だから早く出してくれ!!!」


ただし、気づいたからといって理性的にはならなかった。

ニュービーはこの事態を受け入れられず、虚空に向かって大声で叫び続けた。

それでもこのゲーム会社は、訴訟を恐れていないかのように沈黙を守った。


「出してくれ!お願い…!誰か助けて!」

「何だ…誰だ?」


それでも叫びは効果があった。

茂みを掻き分けて誰かが現れた。

中世風の古びたプレートメイルを纏った男だった。

胸元の盾の紋章が印象的な鎧に、山も川も経験したような中年だった。

その男は呆れた顔でニュービーを見つめた。


「ああ、助かった!助かったぞ!」

「助かったって?何の話だ、それ?」


彼は到底話が通じないニュービーを見て呆れ返った。

それも無理はない。

NPCである彼の立場からすれば、10分もかからない距離に村があるのに遭難者とは。

そもそもシカーワールド史上最大のイベントだったため、誰もが知る場所で起きたのにも理由があったのだ。

いずれにせよ、彼は目の前の男の姿をじっと見始めた。

現実で見れば特徴のないジーンズにワイシャツを合わせたカジュアルな格好だが、確かにこんな中世ファンタジーゲームの住人には独特に見えるはずだった。


「ふむ…妙な服装だな。君はどこ出身だ?」

「え?それがどういう…あ…」


新参者の顔が歪みかけた。

彼がNPCだと気づいたのだ。


「まさか…NPC…いや、シークワールドでは内部者って言うのか?内部者ですよね?」


いつも2時間だけゲームを軽く触って終了する配信スタイルだが、ニュービーは配信前にそのゲームについてあらゆる研究をする方だった。

おかげでシークワールドの設定もある程度は知っている。

シークワールドのNPCは全て独立したAIで構成された存在だった。

特にゲーム会社はプレイヤーがゲームに没入できるよう工夫していた。

まるでディズニーランドのキャストのように。

そのおかげでNPCたちはプレイヤーを異世界から来た外部者と見なしていた。

自分たちはこの世界に生きる原住民だと。


「正確には外部から来た英雄だったか…そんな設定…」

「内部者?待て…まさかお前が…」


すると、彼の眼差しが変わった。

今すぐ何かしようという構えだった。


「え…えっ?」

「お前、外部者か?」

「はい、はい!そうです!外部者です!」

「確かにその服装。この世界に足を踏み入れた外部者は皆、そんな奇妙な服装だったと聞いていたが…」


彼は腰の辺りでそわそわしていた手を離した。


「奇妙なことだ。今なおこの世界に足を踏み入れる外部者がいたとは」

「え…?」


それはまた何て馬鹿げた話だ?

同時接続者最大10億、プレイヤー数20億を超えるゲームに新規プレイヤーがいないなんて?

誰が見てもでたらめだった。


『何だ?イベントNPCだからあんな態度なのか?それともバグった奴か?』


運も最悪だな。

初めて会ったのがNPCなのに、バグか何かで現実感覚もない奴だなんて。

今まで不運な人生を送ってきたと自負する新米プレイヤーだが、これは酷すぎないか?


「何をおっしゃっているのですか?ついさっきまでここには外部人が溢れていたのに」

「…?」


その言葉にも、むしろそのNPCは狂人を見るような目で彼を見つめるだけだった。


「何を言っているのだ?ここは100年以上前から立入禁止区域だったぞ」

「100年前?」


それはまた何の話だ?

まったく、理解できなかった。

ここは現実の10分が1年なのか?

いや、そんなはずはない。

シークワールドは現実と同じく24時間だった。

そもそも『現実よりも現実らしく!』がシークワールドゲーム社の哲学なのに。


「あの、すみませんが、今何年ですか?」

「まったく馬鹿げた質問だな…」


確かに馬鹿げた質問ではあるが。

聞かずにはいられない。


「今2125年じゃないのか?」


とんでもない答えに、ただ何も考えられなかった。

ただ全部夢だったらいいのにと思った。

ありえない現実を受け入れられず呆然とする新参者の前に、男は腰のあたりではなく自分のポケットの中をまさぐり始めた。


「とにかく驚きだな。100年ぶりに現れた新参の外部者とは」

「あ、はい。ええ…まあそうでしょうね」


今や自暴自棄になったようなニュービーに、彼は何かを取り出して見せた。

また何か?


「あれは何ですか? えっと、新人の祝いのプレゼントパッケージみたいなものですか?」

「相変わらず外部人は理解できない言葉ばかり並べるんだな。まあ祝いのプレゼントではあるな」


それは黄金色の丸い球だった。


「さあ、受け取れ」


彼はその黄金の球をニュービーに投げつけた。

ニュービーがそれを掴もうとした瞬間。


「うっ!妖精キック!」


一瞬で場面が激変した。

どこから現れたのか、拳ほどの何かが飛んできて黄金の球を弾き飛ばした!

そこまでは良かったのだが。


「このバカ、何やってんだ!」


まるで跳弾のように黄金の球を弾き飛ばした、その小柄な妖精の蹴りが今度はニュービーの顔を直撃した。


「クエッ!」

「このバカ、何やってんだ?」


ちっぽけな奴の蹴りがどれほど強烈か、ニュービーはその場で倒れ込んだ。

突然の事態に呆然とするニュービーとは違い、その男は正確にその存在を察知した。


「な、何だ?チュートリアル妖精…?」


男は妖精を猛獣でも見るかのように慌てて後退した。

ただ理解不能な状況が繰り返されるだけの新人だけが怒りを吐き出した。


「一体全体何なんだ!また今度の!」

「頭おかしいのか?なぜ自ら牢獄に入ろうとするんだ!」

「何言ってんだ!」

「見ろ!」


慌てて立ち上がった新米プレイヤーが妖精が指さした場所を見た。

草むらに落ちた黄金の球が突然光り始め、

ピーイーイーーン!ガシャッ!ガシャジャジャッ!

不気味な金属音を立てて黄金色の鉄格子へと変貌した。

人間も閉じ込められるほど巨大な鳥籠のような形状だった。


「な、何だ…!あれが!」


ニュービーが何か尋ねる前に、男はすでにその鉄格子の場所へ後退していた。


「一体何てことを!このクソNPCめ!」


そのクソNPC男は返事代わりに、巨大な黄金の鉄格子を左手で持ち上げて肩にかけると。

恐ろしい風の音と共に、鉄格子に繋がれた鎖をくるくると回した。

ブン!ブン!ヒィィィィン!

すると、恐ろしい風の音と共に、鉄柵が鉄槌のように空中でくるくると回転した。

人間大の鉄槌とは、恐ろしいことこの上ない。


「くそ妖精め…出来上がったパンに灰を撒くような真似を…」


そう言うと、彼は今にも襲いかかろうとする構えを見せた。


「おまえが素直に捕まらないなら、俺が自ら檻に入れてやる」


そう言うと、彼は鉄柵を空中で回しながら威嚇した。


「な、何だよ!このNPC!頭おかしいのか?」

「まだ正気じゃないのか!しっかりしろよ!」


見た目とは裏腹に、荒っぽい口調の妖精がそのまま新参者の頭を殴りつけた。


「グワッ!やめてくれ!ちっぽけな奴の拳がなんでこんなに痛いんだ!」

「いいから!来るぞ!」

「何が来るっていうんだ!」


ヒューーイン!ガシャーン!


その巨大な鉄柵がニュービーに向かって飛んできた。


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