詩小説へのはるかな道 第21話 第17回 びしょぬれ選手権
原詩: 雨にうたれて ー 中二病黒歴詩
雨にうたれてボクは立つ
雨にうたれて立っているキミ
髪から雨が
服から雨が
指先から まつげから 心臓から雨がしみこむ
”ボク 寒いよ”
”アタシ 寒いの”
びっしょり濡れたふたりは
それでも雨にうたれている
ーーーーーーー
詩小説: 第17回 びしょぬれ選手権
第17回 びしょぬれ選手権が始まった。参加者は30名。
優勝候補はこの二人だ。
エントリーNo.12、雨に打たれてボクは立つ。去年は惜しくも準優勝。
エントリーNo.13、雨に打たれて立っているキミ。栄えある去年の優勝者。
審査法は毎回変わる。今大会ではこうなっている。
髪から雨がしみこむ——加点対象除外
服から雨がしみこむ——加点対象
指先から、まつげから、心臓から雨がしみこむ——判断は難しいが、芸術加点あり
大会が降りしきる雨の中で始まった。
エントリーNo.13、キミはできるだけ水を吸収させようとスポンジの服をまとっている。
エントリーNo.12、ボクは紙おむつで服を作った。
時間がたつにつれ、どちらも吸収飽和点を超え、雨がしたたり落ちている。
エントリーNo.12、「ボク、寒いよ」
→実況「おっと、弱音か?審査員の目が光る!」
エントリーNo.13、「アタシ、寒いの」
→解説「語尾が柔らかい!これは逆に好印象か?」
びしょ濡れのふたりはそれでも雨に打たれている。
エントリーした30名はもちろん傘なし、レインコートなし、タオル持ち込み禁止。
観客は傘をさして見守る。
「がんばれー!あと3分!」
「去年より濡れてるよー!」
そして、ついに終了のゴングが鳴った。
審査が始まり、優勝は他を大きく引き離し、エントリーNo.12とエントリーNo.13の二人に絞られた。
「No.13の長い髪がびっしょり濡れそぼってたまらんですなあ、うひひ」
ひとりの審査員の発言に禿頭の審査委員長がもの申す。
「今大会の審査ポイントをようく思い出すのだ。髪は加点対象除外なのだ。わしのようなツルツルピカピカな頭では髪を雨でびしょびしょにすることはできぬからな。身体の差を審査に持ち込んではならぬぞ」
審査は続いた。
「No.12が濡れた顔を手で拭うとき、指先から飛ぶしぶきが美しいです」
「No.13の頬が雨に溶けたマスカラでいくつもの黒い線になっているのが、ちょっとホラーというか、いやそれが逆に魅力にもなってるんですが」
「No.12、紙おむつの服は吸水性でだんとつでしたね。雨を吸ってすごい重さになっていたはずなのに、よく耐えて立っていました」
「No.13、何色ものスポンジを縫い合わせた服は、虹色? 玉虫色? しっとりしてキラキラしてとっても美しかったです」
「心臓はハートですね。No.12の『ボク、寒いよ』とNo.13の『アタシ、寒いの』が続いて聞こえてきたとき、ぞくっとしたんです。なんか、心が通い合った場面を見たようで」
審査は終了した。
審査委員長はツルツルすべすべの頭を雨に打たれながら告げた。
「 第17回 びしょぬれ選手権の優勝者は、大会史上初めての二人同時優勝です。
エントリーNo.12と エントリーNo.13!!」
エントリーNo.12 ボクは両手を雨雲に向けて突き上げた。
エントリーNo.13 天を仰ぎ、マスカラの流れた顔を雨に洗わせていたキミは綺麗になった顔で微笑みVサイン、二連覇。
ふたりが向き合い強く抱き合うと、水しぶきが盛大にはじけた。
=====
ショートショート:雨の中で、ふたり
(わたしの原詩を読んで作ったAI君の作品です)
雨が降っていた。
街の音はすべて、雨粒に吸い込まれていた。
ボクは立っていた。
キミも立っていた。
傘を持たず、ただ雨に打たれて。
髪から雨がしみこむ。
服から雨がしみこむ。
指先から、まつげから、心臓から、雨がしみこむ。
「ボク、寒いよ」
「アタシ、寒いの」
言葉は、雨よりも静かに、深く、ふたりの間を流れた。
ボクはキミに触れようとした。
でも、濡れた手はすべって、空をつかんだ。
キミはボクを見た。
その目は、雨の中で濡れていた。
涙かどうかは、わからなかった。
ふたりは、ただ立っていた。
雨に打たれて。
それは罰でも、儀式でも、偶然でもなかった。
ただ、そうするしかなかった。
やがて、雨がやんだ。
雲が裂け、光が差した。
ボクはキミに言った。
「濡れてるね」
キミは笑った。
「うん、でも、乾くよ」
ふたりは歩き出した。
濡れたまま、でも、少しだけ軽くなって。
詩をショートショートにする試みです。
詩小説と呼ぶことにしました。




